生活保護ガイド

高齢者の生活保護、親族が確認しておくべき2つのこと

生活保護受給者のうち、約4割を高齢者が占めています。

生活保護を受けている高齢者は、単身または夫婦で暮らしている場合が殆どです。

ただし、身寄りが全くないという場合は少なく、ご兄弟や子どもがご存命でいらっしゃるケースがあります。

生活保護を受けていた高齢者が死亡した場合、遺族はどのように対応すれば良いでしょうか?

葬祭扶助と、亡くなられた方ご本人の生活保護費の返還についてご説明します。

生活保護を受給していた高齢者が亡くなった場合

生活保護受給者に限らず、人が死亡した場合には7日以内に必ず戸籍の死亡届を出さなければなりません。

死亡届を出していなければ、埋火葬許可証を受け取ることができず、葬儀を行うことができません。

生活保護を受けていた方が死亡した場合、福祉事務所に届け出る必要があります。

葬祭の費用は、身内の負担が優先されますが、本人が残した預貯金・現金などの遺留金品があればそれらが充てられます。

葬祭扶助制度について
亡くなった被保護者ご本人と同じ世帯に属していたご遺族の場合、葬祭扶助制度が適応されます。
しかし、亡くなった被保護者が単身であった場合、ご遺族とは世帯は別々ですので、葬祭扶助制度を利用することはできません。
あくまで生活保護世帯であるご遺族が葬儀費用を捻出できない場合に支給されます。
葬祭扶助は、検案・死体の運搬・火葬または埋葬・納骨その他葬祭のために必要なものの費用として支給され、対象となるのは故人の子、父母、祖父母、孫、兄弟姉妹(扶養義務者)です。
故人が生活保護を受けていたからといって、必ず葬祭費用を負担しなくて良いというわけではありませんのでご注意ください。

亡くなった被保護者の分の生活保護費は返還義務があるの?

通帳の預金について
生活保護を受給していた世帯の一員が亡くなった場合、その分の生活保護費はどうなるのでしょうか?
まず、生活保護受給者が保護を必要としなくなった場合、速やかに保護の廃止が決定されます。
過去のケースでは、生活保護の趣旨に反する目的ではなく、不正受給によって貯蓄した者でなければ、亡くなる前に支給された生活保護費でも返還を強制されなかったという事例があります。
しかし、死亡したことの事実の把握が遅れ、廃止決定の前に振り込まれてしまった翌月分の保護費については債権として扱われ、返還の処理が必要となります。

生活保護を必要としている高齢者は、単身または夫婦で暮らしていらっしゃる場合が多いといわれています。

ご自身の親や兄弟といった親族に生活保護者がいるなら、先を見据えて確認しておくべき項目は様々あります。

特に、葬祭扶助制度は生活保護者のご遺族が必ず受けられる制度であると勘違いされている方が多いようですのでご注意ください。

また、金銭的な援助ができないからといって親や兄弟と縁を切るのではなく、身近にできる心のケアや生活の支援なども親族の務めであるといえます。

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