生活保護受給者が過去最多となっており、その生活保護費をめぐる問題があとを絶ちません。
そんな中、国や地方公共団体の会計などの検査や監督またはその適正化を図る「会計検査院」は19日、生活保護制度のひとつでもある「就労支援」のための保護費約1億2千万円が、生活保護受給者が自立する為の資格取得や就職といった成果につながっていないという事実を指摘しました。(2009年~2010年度に支給されていた分)
また、一部では、計約9500万円をも多く生活保護就労支援として受給者に支給していたことも判明し、厚生労働省に改善するように求めました。
そもそも生活保護費とはいったいどんなものがあるのか?
詳しくは生活保護の種類をご覧ください。
さて問題になっている就労支援は、生活保護では「生業扶助」というものの中に含まれますが、就職のための研修や教材費、資格取得の費用に充てられる「技能習得費」がまさにこの就労支援費になります。
技能習得費は2009年度は1人あたり原則として年間7万円までで、事情に応じて一部で38万円まで認められていました。それをトータルで見てみると、2009年~2010年度には東京や大阪など23都道府県で約6億9千万円が生活保護受給者に支給されていています。
検査院は、その生活保護の「生活扶助の技能習得費」をくまなく調べた結果、そのうちの260自治体の2849人への生活保護費(技能習得費)支給に問題を見つけたとしています。その額が1億2千万円にも。
問題となっている嘘の技能習得費の主な例を見てみると・・・
生活保護受給者が資格試験を受けるなどと言って、生活保護費(技能習得費)を受け取りながら、実際は資格など取っていないといった例は825人。
また、「車の免許を取る」という理由で約31万円を受け取ったのにもかかわらず、教習所には2日しか通っていなかったり、「簿記検定試験を受験する」と言って約10万円をもらいながら約8万5千円を試験代以外の私用に使ったりしたということがあげられました。
生活保護で支給される最低生活費よりも低い所得にもかかわらず、生活保護を受給せず自分の力で生活している方もいる反面、生活保護受給者が技能習得費を活用して一日も早く自立した生活を目指すどころか、嘘をついて少しでも補助金をもらおうというようなことが今後増えないようにしていただきたいと思わざるを得ません。
不況や生活保護受給者のモラルの問題もありますが、生活保護を受給しないで頑張っている方たちのためにもせめて成果の出ないような生活保護費は厳しく管理し、改善していって欲しいところです。