生活保護ガイド

生活保護基準引き下げ、8月からどうなるの?

8月から生活保護基準引き下げが決定

今年1月時点で、生活保護の受給者の数は215万人を上回りました。支給総額も年3兆数千円にのぼっています。現在も申請する人の数は増える一方です。この現状が国や自治体の負担が大きいために、生活保護費のうち食費や光熱費などにあたる「生活扶助」を、8月から3年間をかけて3段階で引き下げる方針です。これによって国の生活保護予算は今より年670億円(6・5%分)減る見通しです。

実際の支給額がどのくらい減るのかは家族構成や地域などで異なりますが、家族の多い子育て世代への影響が大きいとみられています。都市部に住む40代夫婦と小中学生の子ども2人世帯の場合、現在の生活扶助は月約22万2千円ですが、8月から約21万6千円に減り、15年度以降は約20万2千円になる見通し。また、年越しの経費として年末に支給する「期末一時扶助」も今年12月分を減らす方針です。

生活保護を受けている人はなぜ増え続けている?

今回の生活扶助の引き下げの決定で一番つらい思いをするのは、やむを得ず生活保護を受給をしている人ばかりでしょう。生活保護を受けている人が増え続けているので、仕方がないという声が聞こえてきそうですね。しかし増えているといっても、生活保護を利用できる条件の人のうち実際に申請が受理されている人は2割といわれています。逆に8割の人が申請しない、または申請が受理されないなどの理由で生活保護を利用できずに生活保護基準以下の収入・資産での生活を強いられています。日本の生活保護はそういった「受給漏れ」が大きな問題となっています。また、一番の増加要因は、低年金・無年金による高齢者が増えていることです。

生活保護費引き下げによる生活の変化は?

生活扶助の引き下げは生活保護を受けている人だけの問題ではありません。最低賃金の金額は「生活保護にかかる諸施策との整合性を図る」とされているため、1ヶ月フルタイムで働いた場合に生活保護基準を上回るよう定められています。最低賃金額も生活保護基準と連動していますので、基準が引き下げられれば最低賃金も引き下げられ、給与所得が減少します。また、最低賃金という労働条件の基盤が引き下げられることは、労働条件全体を悪化させることに繋がります。

生活保護費の引き下げでは国や自治体の財政負担は減りますが、被保護者や低所得世帯の暮らしに良い兆しを見通すことができるでしょうか。むしろ本当に生活保護を必要としている受給者の生活を苦しめ、保護からの自立が難しくなっていきます。先ほど述べたように、直接的な引き下げではなく高齢者の低年金・無年金による受給や、被保護者が自立できる支援策の充実など、見直すべき課題は他に残されているという指摘もあります。

生活保護の申請を考えている方へ。お役立てください。
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