前回の医療扶助の範囲で解説した通り生活保護には8つの扶助があります。
ここでは、高齢者が気がかりな介護扶助について解説します。
介護扶助とは?
介護扶助とは、要介護者及び要支援者が最低限度の生活を維持するための介護や支援を、困窮のために受けられない場合、介護サービスや福祉用具の貸与が受けられるようにするための扶助です。
介護扶助の範囲
- 要介護者対象
- ・居宅介護(居宅介護支援計画に基づき行うものに限る)
・住宅改修
・施設介護
・移送(生活保護制度によるもの) - 要支援者対象
- ・介護予防(介護予防支援計画に基づき行うものに限る)
・介護予防福祉用具
・介護予防住宅改修
・移送(生活保護制度によるもので介護保険外)
介護扶助の内容は基本的に介護保険の保険給付の対象となるサービスと同じ内容です。
支給方法は現金支給ではなく現物支給(サービスの提供)
※ただし、住宅改修、福祉用具購入等は金銭給付
生活保護と介護保険の関係
生活保護の扶助の種類のうち、主に介護保険に関係するのは介護扶助です。
- 第1号被保険者…65歳以上
第2号被保険者…40歳~64歳未満で尚且つ医療保険加入者
介護保険の被保険者でない者…40歳以上65歳未満(医療保険未加入者)
介護保険法による第1号被保険者又は第2号被保険者の場合、9割は介護保険が負担し1割が自己負担となります。この1割の自己負担分が介護扶助費として支給されます。
医療保険料を納められない生活保護者を受給している人の大多数が介護保険の未加入者と言えます。
こうした人が要支援または介護状態になった場合、全額自己負担になってしまいますが、もちろんそんなことはなく生活保護費のなかの「介護扶助費」という予算で利用者の負担なしに現物給付の形で支払われます。
自治体によって申請の仕方や様式が違うのが現状なので、詳しいことが知りたい方や、内容について相談したい方は福祉事務所に相談する必要があります。
連載記事
→【生活保護の疑問】高齢者の生活保護 扶養義務の範囲(1)
→【生活保護の疑問】高齢者の生活保護 扶養調査の流れ(2)
→【生活保護の疑問】高齢者の生活保護 医療扶助の範囲(3)