11月19日、自民党の生活保護プロジェクトチーム(世耕弘成座長)が生活保護法改正案の骨子をまとめました。
その内容は、活保護受給者への食費など、地方自治体が「現金給付」か「現物給付」かを選択できる制度の導入が柱となっています。また、ジェネリック医薬品(後発薬)の原則使用も医師に求めており、20日の会合で提示しています。
生活保護は医療扶助(医療費)などを除き原則、現金で給付しています。しかし、生活保護費を搾取する貧困ビジネスが社会問題となっており、現物給付活用を盛り込んだ内容になっています。
生活保護の現物給付の対象となるものは、食費や衣服代に充てる生活扶助などです。
具体的には生活保護受給者に現金の代わりに、食品と交換できるクーポン券を配ったり、電子マネーなどの形で生活費を支給し、使途を限定したりすることを検討しているとのことです。
食品などを直接配るわけではないですが、使い道を限定したクーポン券などは現物給付の一種とされるとしています。
※生活扶助基準額の例
憲法で保障する最低限度の暮らしができる「最低生活費」の水準。厚労相の告示で定められています。例えば、食費、被服費、光熱費などの日常生活費をまかなう生活扶助が基本です。
現段階では、標準3人世帯(33歳、29歳、4歳)の場合、最も高いランクの神奈川県横浜市では172,170円。地方郡部等は、135,680円が現金で支給されています。その他、必要に応じて、住宅扶助、医療扶助等が支給されるという仕組みです。
しかし、生活保護対象者への「新仕分け」が17日実施され、生活費などの現行保護額については、低所得者の生活水準などを考慮しながら「生活保護受給者の就労意欲をそがない水準にすべきだ」と指摘しています。
また、過剰に診療することを抑制する対策として、医学的に困難な事情がある場合を除いて、ジェネリック医薬品(後発薬)の原則使用を求める提言(新仕分け)は、20日の閣議後、その評価結果は「さまざまな意見あり、一般的にも義務化されていないので、そこはこれからの検討課題」と慎重な姿勢を見せています(三井厚生労働相)。
さらに、以前から議論されていた、全額公費負担となっている生活保護受給者への医療費について、自己負担の導入も論点であり、生活保護制度の見直しは、衆院選の争点の一つとなっています。
厚生労働省によると、今年7月の生活保護受給者は前月比9192人増の212万4669人で過去最多を更新、生活保護受給者は増加の一途をたどっています。
既に神奈川県横浜市などでは、就労支援の強化が実施されていますが、同省はさらなる積極的な就労支援で生活保護からの自立につなげるための「生活支援戦略」を年内に策定する方針とのことです。