生活保護ガイド

生活保護費、子育て世帯母子家庭世帯では働くより高収入

民主党は安倍内閣が生活保護費を3年かけて740億円削減することを決めたことに対して、「生活保護受給者の生きる希望や、自立する意欲を減退させかねない」などと国会で反発を強めています。
本当に生活保護の助けが必要な人への保護は維持すべきだが、現状では、年収500万円のサラリーマン世帯に相当するような生活保護世帯まであることに、不公平感は拭えません。

まずは、生活保護の生活扶助を不公平感が出ないよう適正化し、さまざまな影響がなるべく生活保護世帯以外及ばないようにするということが大前提でなければ、低所得者から生活保護受給者への移行になるのではないでしょうか?

不正受給の増大や「働くより生活保護を受給した方が楽だ」といったモラルハザードが拡大しているのも事実であり、生活保護費が過去最多になっているひとつの原因でもあり深刻な問題なのです。


【生活保護と一般就労者の収入】

実際、生活保護世帯の手取りを、同じ家族構成の「サラリーマン世帯」が確保するには、どのくらいの収入が必要かを比較すると、サラリーマン世帯には、社会保障や各種税負担もあるため、より高い収入がなければ生活保護世帯の手取りを越すことは出来ないという結果が出ています。

例えば、夫婦と子ども4人の世帯の生活保護支給額は年間413万円。しかしサラリーマン世帯では、社会保険や各種税金負担分があるので、額面で490万円を稼がなければ生活保護世帯と同じ収入にはならないということに。
さらに生活保護受給者は、さまざまな扶助があるため、医療費の自己負担がかからなかったり、NHK受信料が無料だったりするので、実質的には年収500万円のサラリーマン世帯を上回る金額を、税金から受け取っているのです。

平成11年時点で、働いている人の平均年収は409万円となっており、正社員でも515万円だそうです。6人家族なら、正社員でも生活保護受給でも大して収入の差がない状態ですね。


【生活保護の母子世帯と一般母子家庭世帯の収入】

また母子家庭においては、子ども2人の場合316万円、子ども1人の場合277万円の年収がないと、生活保護を下回ります。例えば時給1000円で1日8時間、1カ月に24日働いたとしても年収は230万円。正社員であっても賞与などは除いて月給19~20万円以上で年収230万円にしかなりません。子ども1人の場合の生活保護費277万円を超えるには、月給23万円以上の稼ぎがなければなりません。
これでは生活保護の母子家庭の方が、もう一度社会へ出て働こうとする意欲は湧かないのでは?と言われています。

しかし、低所得者でも生活保護を受給できる条件を満たしているのに受給していない人が70%にもなるそうです。母子家庭においても生活保護を受けずに、その他のさまざまな援助や非課税などで何とか生活を遣り繰りしている方も多いのです。
そういった低所得の母子家庭世帯が今回の生活保護の引下げからのダメージとして、就学援助など受けれず、さらには課税対象になれば、生活保護に入る手前の母子家庭世帯は生活保護を受給する道を選ぶ人も増えるでしょう。

これからも増え続けると予想される生活保護者数に対し、予算として12兆円必要となるだろうとされています。しかし国の生活保護費を増加させないことを考えると、生活保護の支給水準を下げたり現物支給にしたり就労の義務化対策などで、生活保護から自立させていくことが重要だと専門家からは指摘されています。


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