生活保護ガイド

母子家庭で生活保護を受ける際に知っておきたい出産のこと

離婚などの事情で母子家庭になる人の中には、妊娠中の人もいます。子育てをしながら、ましてや母体で働きに出ることはとても難しいことでしょう。生活保護を受けるまえに、出産の事について知っておきましょう。

生活保護を受けながら出産できる?

過去にこんなケースがあり、生活保護を受給しながらの出産についてニュースになりました。
2012年3月の事です。京都府宇治市のケースワーカーが、生活保護を申請した母子世帯の女性に対し、異性と生活することを禁止したり、妊娠出産した場合は生活保護に頼らないことを誓わせたりする誓約書に署名させていました。
この30代男性職員のケースワーカーは生活保護の申請者に対し、
「妊娠・出産した場合は、生活保護を打ち切る」
「母子世帯には異性と生活することを禁じる」
「生活保護費削減のため、子どもの養育費を獲得する」
などを約束させる誓約書に署名させていたのです。

生活保護を受けているからといって、私的なことに口を出されるいわれはありません。
このケースワーカーが作った誓約書には、「受給中はぜいたくや無駄遣いをせず、社会的モラルを守り、節度ある生活をすることを誓う」などという項目もありました。これについては、生活保護を受けているのだから当然だと感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、生活保護を受ける権利があって受給しているのですから、こんな過度の私生活への干渉は許されません。生活保護を受けているからといって、出産をしてはいけないという考えこそが、人権を傷つけていることになるのではないでしょうか?

母子家庭の生活保護で重要な出産扶助

母子家庭においては、多くの人が受給している生活扶助などに加え、出産扶助も重要な意味合いを持ちます。出産扶助は、生活が困難な状況で出産を控えている際に行われる給付です。
ほとんどのケースでは、シングルマザーとなっている人が利用しています。妊娠期は、通院をはじめ、至る所で経費が掛かるものです。そういった中でやりくりが困難な場合は、この制度を申請する事で、ある程度負担を軽減させることができます。

出産扶助とは
生活保護を受けている世帯に出産を控えている方がいる場合に出産にかかわる費用を負担するための扶助です。
出産扶助は出産に必要な分娩、衛生材料などの費用として24万円を上限に支給されます。
生活困窮者が出産をするときに行われる給付であり、原則として、金銭により給付されます。市販の妊娠検査薬などのは支給されないので各自生活扶助からまかないましょう。
最近では国による出産費用貸付、市区町村による「入院助産補助」などの制度を優先して扱いますので出産扶助の利用は少なくなっています。

母子家庭で生活保護を受けながら出産をすること

母子家庭の抱える問題は、仕事と家庭を両立させることが難しく、求職活動も仕事に役立つスキルの習得もじゅうぶんにできないことです。だからこそ子育ての負担を軽減し、適切な職業訓練を行なえば、貧困に陥っている母子家庭の母親は、働く女性たちと同じレベルの仕事をこなせるようになっていくでしょう。
母子家庭で生活保護を受給しながら出産をすることは、相当な覚悟が必要になります。先ほど述べたように、周囲から厳しい視線で見られることもあるでしょう。しかし、大切なのは生活保護を受けながらでも子供を育て上げる覚悟を持ち、また自立の意志を忘れないことです。

母子家庭で生活保護の受給を考えている方へ。お役立てください。
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