生活保護を申請するとき、「あなたは資産を持っていますか?換金できそうなものはすべて売り払ってください」と言われることでしょう。もちろん、生活保護の申請をしたいと思っているなら、コツコツと積み立ててきた貯金も切り崩して生活をしてからではなりません。では、生活保護を受けながら「もしも」の時のために貯金をすることは認められていないのでしょうか?
生活保護費を節約して貯金したい
生活保護は「健康で文化的な最低限度の生活を保障するもの」ですから、貯金ができるほどの余裕があるなら受給をやめるべきだという見方をされてしまいます。それでも、何かあった時のために貯金しておきたいと思うのは当たり前ですよね。
しかし、無断で貯金をしていると生活保護が打ち切られる可能性があるので注意が必要です。基本的に生活保護で受給したお金を節約して貯金することは違法ではありませんが、その金額が大きければ、生活保護なしで数年は暮らしていけるだろうと判断されてしまうでしょう。
生活保護費を受け取りながら貯金をするときには、その目的が最も重要になります。贅沢品やブランド品を買うためではなく、エアコンなど生活にどうしても必要なものがある場合や、生活保護から自立するための費用であればケースワーカーが貯金を認める例も多いようです。
では、ケースワーカーに生活保護を受給しながら貯金をしたいと相談したとき、どんな目的なら認められるでしょうか?その一例をご紹介します。
子どもの大学進学のための生活保護費の貯金
2013年5月、厚生労働省は生活保護受給者が子供の大学進学のために保護費を貯金することを認める方針を固めました。それまでは、貯金を認めるケースは明確に決まっておらず、自治体によって認可するかどうかは様々でした。生活保護費の貯金が認められていたのは、高額な生活必需品(エアコンなど)を購入する場合などに限定されていましたが、受給世帯の子供が経済的に自立するための後押しとしています。
その背景としては、生活保護を受けていた世帯の子供が大人になっても生活に困窮してしまう「貧困の連鎖」を断ち切ることができないためだとされています。そのため、確実に就職や資格取得に繋がる進学費用の貯蓄は認められるようになりました。
しかし、8月から生活保護の基準額が引き下げられました。子どものいる世帯ほど引き下げ幅は大きく、その中から食費などを切り詰めて進学費用を捻出することはますます難しくなっています。
横浜市に住む生活保護受給世帯の引き下げ額の例
夫婦(40歳代)と小・中学生:22万2000円→21万6000円
母(40歳代)と子ども2人:21万5000円→20万9000円
生活保護世帯の子供が高校に通うのにかかる費用は保護費として支給されますが、大学の進学に関してはその対象ではなくなります。一般の高校の進学率は9割を超えていますが、大学は5割程度にとどまります。そのため、大学進学のための生活保護費の貯金は認めれるようになりましたが、現実的には子どもは生活保護世帯を離れて、奨学金やアルバイトで進学費を工面する必要があるでしょう。
生活保護を受けながら生命保険に入れるの?
生活保護を受けながら、生命保険に入ることは貯蓄をしていることになるの?という疑問を持つ方も多いでしょう。
生活保護を申請するには、預貯金や不動産、生命保険などの資産がないことが条件となっています。あくまで資産として認められる生命保険ですから、多くの場合は掛け捨て型の保険は契約が認められています。
生活保護を受給していひとが加入できない生命保険には以下のようなものが該当します。
- 養老保険
- 終身保険
- 個人年金保険
- 学資保険
では、掛け捨て型で加入していた保険金を受け取れるとき、そのお金はどうなるのでしょうか?
受け取った保険金は、自治体に返還しなければならなくなります。そして、受け取った保険金が今まで受給した生活保護費を上回っているなら、返還した残りの額を手元に置くことができます。しかし、その分を生活費に回すことができると判断されるので生活保護は一時的に停止されることになるでしょう。
生活保護費を貯金したい場合、または生命保険に加入したい場合、いずれも事前にケースワーカーに相談しましょう。申請する際に聞かれなかったことでも、後々発覚した貯蓄が認められないこともあります。生活保護を受けることにも責任があることを自覚し、そのつもりがなくてもあなた自身が不正受給になってしまわないように注意しましょう。
生活保護の申請を考えている方へ。お役立てください。
→生活保護はどうやって申請するの?
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