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厚生労働省が方針固める「後発薬を原則に」生活保護受給者に強制

厚生労働省が2017年11月7日に来年度から生活保護受給者が医療機関で薬を処方してもらう際に、安価な後発薬(ジェネリック医薬品)の使用を原則とする方針を固めました。

これは、全額公費で賄う受給者の医療費を抑制する目的とするものです。

「生活保護受給者だけに原則使用」が差別という批判を受ける原因

後発薬は先発薬と違った添加物が配合されていたりするため、そもそもの薬に対するデータが少なく、薬剤師が患者に対して十分な説明が難しいことから、今までと同じ効果が得られるのか?自分の体に合っているのか?受け取る方は多少なりとも不安が残ります。

実際、厚生労働省の調べでは、医師が生活保護受給者に後発薬を処方しなかった理由の実に67%が本人の希望によるものだと結果が出ています。

厚生労働省では生活保護受給者に対し、今までも後発薬の使用を促してはいましたが、希望する方には先発薬を処方するなど、選択する自由がありました。

しかし、今回問題になっているのは「生活保護受給者だけに原則使用」という部分です。

 

受給者の使用率が1%上昇すると公費10億~15億円を削減できるとはいえ、生活保護受給者だけに後発薬の使用を強いるのは、今後「差別」だと批判の声も出てくることが懸念されます。

増え続ける生活保護受給者と後発薬問題

前項でも述べた通り、使用率がたった1%上がっただけで億単位の公費が削減できる「後発薬問題」。

平成26年施行の改正生活保護法に、厚生労働省が「医師が使用可能と認めた場合、受給者はできるだけ後発薬を使用するよう努力規定を盛り込んだ」のも生活保護受給者が増え続けていることによって国の予算が圧迫されていることが原因でしょう。

それに続いての今回の方針は多少強制感があるものの、先発薬が全くダメというわけではなく、後発薬の在庫がない時や、病状によって先発薬が望ましいと医師が判断した場合を除き、原則として後発薬を処方してもらうようにすると厚生労働省は考えていますので、先発薬使用への扉は完全には塞がれていないようです。

今後の生活保護受給者に対する後発薬使用問題に注目していきたいと思っています。

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