生活保護ガイド

生活保護基準引き下げに反対する声も

約214万人が受給し、過去最多を更新する生活保護費。現在でも申請を志願する人の数は増える一方です。しかし、8月から生活保護費のうち食費や光熱費に当てられる「生活扶助費」の基準額が引き下げられます。引き下げを目前に、生活保護受給者はもちろん、受給者を支援する人や、生活保護を申請したい人などを中心とした生活保護費引き下げに反対する声が強まってきています。

生活保護費引き下げは違憲?申請者などから反対運動の動き

生活保護費の引き下げの基準は、「健康で文化的な最低限度の生活」、つまり生存権保障水準そのものを決めるとても重要な基準です。この水準が下がれば最低賃金も目標額が下がり、労働条件に大きな影響が及ぶことになります。生活保護を受けている人や、これから申請したいと思っている人だけの問題ではないのです。
既に2013年1月22日の時点で14万を超える生活保護費の引き下げに反対の署名が集まっています。

さらに、生活保護基準の引き下げは憲法違反だとして全国生活と健康を守る会連合会(全生連・安形義弘会長)は、8月からの引き下げに対して都道府県への不服審査請求をするよう生活保護利用者に呼びかけています。

生活保護を申請するまえに覚えておきたい審査請求とは?

生活保護の申請が許可されたのち保護費が引き下げられた場合に役所から送られてくる保護決定通知書には、「この決定について不服がある場合は審査請求をすることができます。」という内容が記されています。この文章を役所が審査請求をできることを教える教示文といいます。国民は誰でも役所が行った決定に不服や不満があれば審査請求ができるようになっています。
生活保護を受給している方が泣き寝入りしないための大切な制度で、自動車の保有、交通費支給、母子加算復活などは審査請求で制度を改善させ、違法な申請却下をやめさせ、保護利用者の権利を拡大してきました。

審査請求の手続き方法

「審査請求」を都道府県へ提出します(福祉事務所を通してでも申請可能です)。
審査請求書の書き方

  • 審査請求人の住所・氏名(印)・年齢
  • 審査請求にかかる処分
  • 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
  • 審査請求の趣旨及び理由
  • 処分庁の教示の有無
  • 審査請求の年月日

審査請求書提出後は、処分庁からの弁明書とそれに対する請求人からの反論書のやりとり、口頭意見陳述を述べて、自治体から裁決がおります。

全国生活と健康を守る会連合会には「いまでも冠婚葬祭の費用が出せません。基準切り下げで、命を削れというのですか」「食費を切り詰め、ガス代節約のため冬もシャワーで我慢。いまもぎりぎりで、今後が切実に心配です」など、不安と怒りの声が寄せられているそうです。
安形会長は「基準切り下げは、就学援助や最低賃金、年金など国民生活全体の引き下げにつながります。全生連は、『納得できない。切り下げをするな』と、世論を動かす規模での審査請求運動を全国的に呼びかける」と訴えます。

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