生活保護ガイド

生活保護の不正受給 対策・通報・罰則について

生活保護の不正受給に対する罰則や対策が強化される中、まだまだ不正受給者が後を絶たないのが現状です。

そもそも生活保護の不正受給とは、文字どおり「生活保護を不正に受け取っている」ことです。
その考えの裏には、「申請さえうまくとおれば、働かなくても国の税金で食べていける」とか、「働くより生活保護費の方が多くもらえるし」などといったモラルハザードのなにものでもありません。

本当は働ける状態であるにもかかわらず、生活保護の申請の段階でうまく嘘をつき、さまざまな手口で申請を潜り抜けるのです。しかもその手口は年々酷くなっている状態にあるのです。

生活保護の不正受給の主な実態について

・例え働ける状態だとしても、精神的な病気であるといって診断書を提出し、受給資格を得る
・生活保護受給中に、受給資格を失うような生活態度であるにもかかわらず保護費を受給し続ける
・所得や車の名義など、申請段階で嘘の申告を行い、生活保護費をできるだけ多く受け取っている。
などがあげられます。

そして今現在では、200万人を越える生活保護受給者が存在しているといわれます。
その中の1%強(約2万5千人)が生活保護を不正受給していると推測されます。
しかし、これはわかっている範囲での人数なので現状はもっともっと多くの不正受給者がいるでしょう。

生活保護を不正受給の罰則について

(1)はじめから不正に受給しようという目的で、申請し受給したような悪質な場合

  • ・不正受給額分の徴収
  • ・生活保護法による罰則(3年以下の懲役又は30万円以下の罰金)

※ただし、詐欺罪などの刑法が適用出来る場合には、刑法が優先になり、「生活保護費支給の打切」などが行われます。

(2)悪質な目的ではなく、勘違いや申告漏れによる生活保護費のもらいすぎの「不正受給」の場合

  • ・不正に受給した分の金額の返還命令が出される
  • しかし、ちゃんと不正受給分の金額を返還すればそれ以上の罰則はないので、その後も受給を続けるなら返還命令後は速やかに支払うことが大切です。

生活保護の不正受給をしている人を見つけたら通報すべき?

同じ地域に暮らしていれば、生活保護の不正受給かもしれないと気付くことも多かったり、知り合いが不正受給していると聞いていたりすることもあるでしょう。
そんな時は、実際に生活保護の支給をしている市役所や生活保護担当の民生員に通報するのが常套手段です。
しかし、市役所の職員は基本的に即調査してくれる場合は少ないのが現実です。

一度役所に通報して動いてもらえなくても、仕方ないと割り切って、何度も諦めず具体的な内容で手紙やメールなどでも通報してみるのもいいかもしれません。詳しい不正受給の状況を伝えることがポイントとなります。

しかし、生活保護の不正受給は、危険な方々が関連するケースも多いことから、不正に関する通報はご自分のプライバシーがもれないような注意を払うことも大切です。

今後の生活保護の不正受給対策

さいたま市では4月から、生活保護業務を扱う保護課内に「生活保護適正化推進チーム」を設置し、不正受給の防止や貧困ビジネスへの対応強化を図ると発表になりました。
担当職員4人を配置し、悪質な不正受給者には刑事告訴を検討したり、無届け施設への入居者には、居宅移行支援をしたりします。部局を横断した不正受給への対策組織を作るほか、8月以降には警察OBの配置もしていく予定とのことです。

横浜市などでは、すでに警察OBの配置などで悪質な不正受給を分析して見抜き、県警に被害を届ける際の手続きも手伝ってもらうなど不正受給対策が行われています。その効果については、まだ聞こえてきませんが、横浜市やさいたま市以外の地域においても不正受給への対策強化が今後も出てくるでしょう。
生活保護という制度が、正規に生活保護を必要とする方のために活用されるよう、不正受給は許してはならないし、不正受給への対策強化しかり、まわりの市民の方々の通報という協力も、不正受給者の減少に繋がることを願います。

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