生活保護ガイド

生活保護費引き下げの影響②~最低賃金どうなる?

生活保護費の引き下げによる影響はどうなるのか?
前回の記事で、横浜市などの都市部では生活扶助が減らされる母子家庭や子育て世帯への影響を述べましたが、引き下げがもたらす影響は最低賃金にも及びます。

最低賃金は、2007年最低賃金法が改正され「健康で文化的な最低限度の生活を営む」ことができるようにと、生活保護との「整合性に配慮する」とされてきました。
このことからもわかるように、最低賃金と生活保護は強く連動しています

ですから、生活保護費が引き下げが実施されれば、今後どのような影響が最低賃金にもたらされるのか?生活保護を受給していない低所得者にも不安が募ります。

■事実、最低賃金は生活保護を下回る

現在の全国平均の時給は749円です。最低賃金で定められたこの時給でも生活に困窮している方が多くいるのが現状であるのに、生活保護との「整合性」を口実に最低賃金まで抑えられれば、働くことへの希望を断たれるばかりか、「健康で文化的な最低限度の生活」など出来るわけがないのではないのでしょうか?

これまで生活保護と最低賃金の整合性について、厚生労働省は「生活保護を下回らない水準」にすることだとしています。
しかし、最低賃金は生活保護を下回っている「逆転現象」になっています。最低賃金を引き上げを求める労働者や労働組合は全国どこでも時給1,000円以上の要求をかかげる運動に取り組んでおり、2007年~2012年の間に62円上げることができました。

しかし、生活保護との「逆転現象」はいまだに解消されていないのが現状。
生活保護費を少なくみせ、最低賃金を実態より高くみせる意図的計算の結果、逆転現象は減ってきているように思われていますが、生活保護費引き下げが実施されても、現実は「生活保護を受給した方が低い最低賃金で働くよりも生活が楽になる」というところは、否定できません。

実際に全労連などの最低賃金の算定を調査している団体によると、現在の最低賃金は、全国すべて生活保護の水準以下だと指摘しています。国のごまかした計算式をただし、時給1,000円以上にすることを求めて戦っている神奈川労連は、まともに計算すれば全国どこでも時給1100円以上になるとしています。

■生活保護費を引き下げないで最低賃金の引き上げを

景気回復には、増え続ける生活保護費の全体の問題はありますが、生活保護費を下げるより、最低賃金を引き上げ低所得者の生活水準をあげるべきだという声もあります。
生活保護費を引き下げることなく、最低賃金を引き上げることで、生活保護受給者にとっても低所得者にとっても健康に働いて暮らせる生活の確保ができるのではないでしょうか?
政府は、中小企業への助成策を強化し、最低賃金の引き上げをしていくことが重要だという指摘も。


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