生活保護ガイド

生活保護費引き下げへ。厚生労働省が生活保護見直し案公表。 一律引き下げは危険!

生活保護制度の見直し案を1月16日、厚生労働省は公表しました。
生活保護制度の見直し案において、積極的に就労活動に取り組む生活保護受給者の方には「手当」を支給し、保護費の一部を積み立て、生活保護が終了した後に受け取ることができるという「就労収入積立制度」の創設を検討するとしています。

また、これまで低所得世帯より生活保護世帯の方が生活水準が上回る「逆転現象」が問題になってきましたが、その検証結果も「社会保障審議会の作業部会」の調査により公表されました。
その検証結果に基づいて、生活保護費のうちの「生活費にあたる生活扶助」の支給しすぎを無くし適正化を図ることと、生活扶助基準の具体的な引き下げ幅については今後検討する意向を示しています。

社会保障審議会の作業部会:「低所得者の一般的な生活費より、生活保護費の支給基準額が高い」などの問題に着目し、2013年度は支給基準を5年に1度見直す年になっているので、その見直しに向け昨年10月から作業を進めている。

生活扶助の引き下げをする根拠になったものとは、「夫婦と子ども2人(4人世帯)」や「夫婦と子ども1人(3人世帯)」が、低所得世帯の一般的な生活費よりも約2万6千円も多く保護費が支給されているという結果で、生活保護を受けていない低所得世帯よりも保護世帯の方が余裕のある生活をしていることは、「最低限の生活を保障する制度上、適切ではない」という理由から、保護費引き下げへ向かうことになったとされています。

ですが、今回の作業部会の検証結果では、上記の生活保護世帯以外では、バラつきが大きく見られたそうです。
例えば、母子1人の母子家庭世帯では7,200円、20~50代の単身世帯では1,300円。夫婦と子どもの3人以上の世帯の26,000円から比べると、生活保護受給世帯間でも平等とは言いにくいです。
さらに、60歳以上の1人暮らし、夫婦2人暮らしの生活保護世帯はというと、「一般的な生活費より保護費の支給額が下回る」という結果が出ており、生活保護費を受給しているとしても、高齢者世帯は子育て世代の保護世帯からすると余裕とはいえません。

つまり、生活保護受給者の保護費支給額を一律に引き下げるということは、許されないので適正化を図りつつ生活水準のバランスを見ていかなければ、生活保護世帯の多くを占める高齢者世帯の受給者だけを苦しめてしまいかねないでしょう。

生活保護受給者や弁護士らでつくる市民団体は、「支給水準の引き下げは、健康で文化的な最低限の生活を脅かすものだ」と批判しています。
また、生活保護費が引き下げられると、保護を受けていない低所得者が「就学援助制度や介護保険の免除基準」などを受けれない人もでてくるのではないか?という意見も。

生活保護費引き下げに関しては、平等不平等の問題以外にも、他の制度との関連もあり単純にはいきませんが、生活扶助における食費での「フード券」たる引き換え券や、生活保護でも占める割合が多い医療費問題の対策案「ジェネリック医薬品の使用」などで、全体的な生活保護費の削減をしていく流れが強くなっているようです。


生活保護費支給額を見たい方はこちらをご参照ください。
(低所得世帯の生活費は平均約120,000円。今回の検証で厚生労働省が基準にした額)

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