◆生活扶助費引き下げについて
生活保護費のうち日常生活費にあたる「生活扶助」の基準額について、2013年度から3年間で670億円減らす方針を、1月27日に政府は決めました。(約6.5%、国費ベース)
さらに、年末に支給する「期末一時扶助金」(1人1万4000円)もカットします。(70億円のカット)
つまり、生活扶助費を総額740億円(約7.3%)減額するとしています。
生活保護費の削減は、2004年度以来9年ぶりとなり、下げ幅は過去最大と最悪な状態です。
麻生太郎(副総理兼財務相)と田村憲久(厚生労働相)が来年度当初予算について会談し、政府の引き下げ方針に合意。1月29日に閣議決定します。
生活扶助費の減額開始は8月からです。(7月に行われるの参院選への影響を考慮する為)
2013年度は221億円の減となります。
◆どのような生活保護世帯が、引き下げ幅が大きいのか?
厚生労働省の試算によれば、生活保護受給世帯の96%は保護費が減ると言われています。
71%の世帯は削減幅「5%以下」ですが、2%の世帯は「9~10%」減ります。
例えば、横浜市などの都市部では、40代夫婦と小・中学生の4人世帯の場合でみると、2015年度以降は今より2万円のマイナス。(月々の生活扶助費20万2000円)
しかし、70代以上の単身者は3000円減の7万4000円で、町村部では大きく変わらないとされています。
生活扶助基準額が一般の低所得者の生活費より特に高いのは、人数の多い子育て世帯です。
今回の削減は子育て世帯などの削減幅を大きくし、逆に単身の高齢者は削減幅を抑えます。町村部の60代は逆に1000円増になるとのこと。
◆生活保護の医療費「医療扶助」について
2013年度には医療扶助費の削減を目指します。(医療費は全額税金から負担)
以前から提案されている、安価な後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用を原則とすることなどで削減します。(450億円分)
◆就職に必要な経費とされる保護費について
就職に必要な経費とされる保護費を110億円減らします。
その分を就労意欲の高い人に渡すための、新たな保護費の財源にしていきます。
◆生活保護を受けていない低所得世帯への影響について
住民税が非課税となる「所得基準」などは、生活保護の基準額を考慮し定められています。
2004年度は生活保護費を減額したことによって、住民税を払わねばならない人の「所得基準」も下がりました。
よって前の年までは住民税が非課税だった人でも、新たに課税される人が増加しています。
その件について、田村厚労相は1月27日「生活保護と関係ない人まで課税されて生活が困ることは避けたい」旨を述べたとのことです。
その他、生活保護費の引き下げによって及ぼすであろう低所得者への影響について、次号へ続く。