生活保護受給者への就労支援が行われていますが、神奈川県労働局の調べでは、県内の相談者数と就職者数はここ半年で年間目標人数の約3割にしかなっていないとのことです。
厚生労働省の就労支援事業とは、高齢者や障害などの理由がある方は別にして、就労意欲がある生活保護受給者を対象とし、生活保護からの一日でも早い自立を目指しています。
各自治体の福祉事務所と連携して、同事務所が生活保護受給者本人の意思のもと、ハローワークに取り次ぎ、就職につなげていくという仕組みです。
しかし神奈川県労働局では、本年度は3010人の生活保護受給者から相談を受け、そのうち1430人を就職に結びつけることを目標にしてきましたが、今年4月から9月までに実際の相談者は929人であり、そのうち就職したのは497人でした。それぞれ、目標としていた人数の3割程度という結果にとどまっている状態です。
その対策として、ハローワーク出張所の開設による生活保護受給者とハローワークの距離を近づけることで、通う時間と就労意欲のロスをなくし、生活保護の相談者や受給者などへの職業紹介を強化するために、9月時点で、神奈川県横浜市では、市内の3区役所にハローワークの出張所を開設するよう国に求める方針を固め、今後は全18区への開設を目指しています。
さらに、横浜市以外にもハローワークの出張所を市役所や区役所などに開設する取り組みは全国に広がっており、神奈川県内では、相模原市がことし4月から就職支援センターに開設。綾瀬市は10月から市役所1階に開設。
神奈川県労働局職業対策課は、上記の取り組みを無駄にしない為にも「対応する生活保護受給者が就労意欲があるかどうかの線引きは福祉事務所の担当者によって違うが、就労意欲がある人を送り出してもらっている。相談人数を増やす目的で、高齢だったり障害があったりする方を取り次いでもらっても、ハローワークのサービスが生かせない」と述べており、相談者・就職者の数値目標達成だけを目指すことには慎重に捉えているようです。
一方で、「支援対象者を柔軟に捉えてもらい、まずはハローワークに取り次いでもらうことも必要」とも。
相談者数からみた就職者数は半数を超えていることもあり、まずは相談に結びつけてもらおうと、福祉事務所からハローワークへの交通費がかかる場合は同事務所からの要請次第でハローワーク職員が同事務所に出向くケースもあるそうです。
また、「早め早めに生活保護受給者を就労支援していかないと、受給期間が長くなるほど就労意欲がそがれてしまうため、福祉事務所にさらに協力を要請していく」と話しています。
こういった協力体制にある横浜市の取り組みが、結果的に生活保護受給者の相談者数、就職者数の増加に繋がっていくことを期待したいことろです。