現在の生活保護の受給者は215万人を上回り、申請を志願する人の数も増え続ける一方です。生活保護の受給者のうち70万人が高齢者世帯であり、一番多く割合を占めています。その理由は、受け取っている国民年金の額だけではどうしても暮らしていけないという高齢者が増えているからです。
年金を受け取りながら生活保護の申請はできる?
年金と生活保護の併用は可能です。
年金と生活保護を同時に受給する場合は、受け取っている年金の額が生活保護制度で定められている最低基準を下回っているときの差額分が生活保護から支給されます。つまり、年金と生活保護を併用しても最低基準額以上の収入にはならないということです。この最低基準は自治体によって異なりますが、高齢者単身世帯の最低基準が7万円と定められている場合、それを下回る年金の受給額でなければ生活保護を申請しても受理されません。支払われている年金が月6万円程度であれば、基本的に生活保護が廃止になることはありません。
生活保護費の例はこちらで確認できます。
年金と生活保護の同時受給を申請する前に考えなければならないデメリット
「国民年金をまじめに納めているのがばかばかしい!老後は生活保護に頼ったほうが得だ」という声を良く耳にしますが、本当にそうでしょうか?
生活保護を申請する際には、預貯金がないことが大前提です。そして車やアクセサリーなどの現金に変えられる資産を売り払い、それでも十分な生活費を得られない場合に生活保護の申請が受理されます。それまで移動を主に車でしていた場合でも、自分の足でいけるところまで行動範囲が狭めれてしまいます。そして生活保護を受給できたとしても、所有できる家電や娯楽品の購入などに制限があり、老後のゆとりのある生活とはかけ離れた状況になるでしょう。
特に問題になっているのが、生活保護を受けるために孤立化している高齢者が多くなっているということです。生活保護を申請するには頼れる身寄りがいないことが条件であるため、生活保護で暮らしている高齢者は孤独に一人暮らしを送っているケースが多く見られます。悲しい思いをしながら孤独死をしてしまう人が多いことも事実で、平成20年の内閣府の調べによると年間1万5000人程度の高齢者が死後4日以上を経て発見されています。
年金と生活保護の同時受給まとめ
生活保護に頼ればいいという考えから、国民年金を納めても意味がないという意見もあります。しかし、生活保護を申請しても受理されるかどうかは全くわかりません。しっかりと国民年金を納めるなどして、老後の生活の支えを自分で作っておかなければ、生活保護が受給できない状態に陥ったとき困るのは自分自身です。老後には趣味を持って豊かな暮らしをしたいと望むなら、生活保護の申請を思いとどまった方が良いかもしれません。生活保護は本当に生活する手立てがなく、どうしても暮らしていけない人のためにある制度です。できる限りの自立できる力を駆使して、それでも苦しいときの最後の手段という捉え方が最良でしょう。
また、生活保護に対する良くないイメージが浸透している日本では、生活保護を受けている高齢者に対しても冷ややかな目線が注がれることもあります。しかし、今は働き盛りの若い世代が年金をもらうようになる頃には、全体の人口の40%近くが65歳以上の高齢者になるといわれています。自分たちが同じ思いをしないで済む環境を作るには、今から高齢者が住みよい環境でいられるための意識改革が必要です。生活保護を申請したいと思っている高齢者には経済的な支援だけではなく、体力面や精神面でサポートできることはたくさんあるはずです。身近にいる高齢者に少しでも手を差し伸べてあげることが大事なのではないでしょうか。
生活保護の申請を考えている方へ。お役立てください。
→生活保護のメリットとは?
→生活保護を申請するには?
→生活保護の受給条件って?
→生活保護ではいくらもらえるの?