これまで、生活保護を受けている、受けたいと思っている方の立場でさまざまな疑問やニュースを紹介してきました。生活保護窓口での水際作戦が問題になっている今、ケースワーカーの背景にはどんな事情があるのでしょう。今回は生活保護のケースワーカーのお仕事についてご紹介していきます。
生活保護のケースワーカーってどんな人?
ケースワーカーというのは福祉事務所で現業を行う職員の通称です。現業というのは、相談援助の第一線で働く職員のことです。現業員、築担当員、ソーシャルワーカーといった呼ばれることもあり、生活保護に限らず、障碍者や児童、高齢者の相談業務を担当する職員も含まれます。簡単な言葉にまとめると「福祉・介護・生活の相談員」の人たちのことです。
ケースワーカーのお仕事って?
生活保護のケースワーカーは、主に以下のような仕事をしています。
- 生活困窮者の相談にのる
- 必要な援助を行って相談者の自立支援をする
- 必要におうじて、生活状況についての聞き取り調査のために家庭訪問を行う
ケースワーカーの業務の一つに「家庭訪問」があります。家庭訪問は、生活保護受給者の生活状況を把握するために行われます。主に8:30~17:30の訪問時間で、事前に連絡を取り、指定日時に自宅にいてもらうようにするようです。しかし、不正受給の疑いのある世帯には抜き打ちで家庭訪問が行われることもあります。半年に1回を目安に、聞き取り調査が行われます。
収入はもちろんですが、職歴、病状、資産、配偶者との連絡状況、車の使用実績、求職活動情報など日常の生活に関することを質問します。また、調査だけではなく、最近の生活で困ったことや、悩みごとの相談など話し相手としての精神的な支援を行うこともあります。
生活保護のケースワーカーが不足しているって本当?
ケースワーカーの数は社会福祉法によって定められています。生活保護受給世帯はケースワーカー一人あたり「市部で80世帯」・「郡部で65世帯」を受け持つことを標準的なケースワーカー数としています。
しかし、2012年の全国平均受け持ち世帯数はケースワーカー一人当たり93世帯と標準を大きく超えてしまっています。一日ごとに生活保護受給者は増え続け、一世帯に充てられる時間が少なくなっているのが現実です。2013年にはケースワーカーの増員が定められましたが、各地方自治体の判断次第となっているため、財政が苦しい市町村で実現されることは難しいでしょう。生活保護法の改正で扶養義務の取り締まりや、不正受給対策などの取り決めがなされましたが、ケースワーカー不足も生活保護が抱える大きな問題といえます。
生活保護についてお悩みの方へ、お役立てください。
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