生活保護受給者が実名・顔出しで登場する少し珍しい雑誌があるのをご存知ですか?
その名も「はるまち」。
生活保護に対する良くないイメージをなくしたい。そんな想いで作られている季刊雑誌です。
社会活動家 湯浅誠さんが語る生活保護の現状と偏見
「あまり評判が良くない生活保護だが、それでも215万人の「命」をつないでいる。」
社会活動家であり雑誌発行の中心でもある湯浅さんが語った言葉です。
今、生活保護を受けている世帯は今年7月の時点で過去最多を記録、厚生労働省の調べでは162万8905世帯で、統計を取り始めた1951年以降最も多くなっている状況です。
その中の14%が子どもです。
生活保護と聞くと、不正受給などの報道からあまり良くないイメージを持っている方もいるかもしれません。
しかし、全体に占める不正受給の割合はわずか1.8%にしかすぎず、ほとんどの方がやむを得ない事情で生活保護を利用している事を知って欲しいと湯浅さんは語ります。
「はるまち」はそんな良くないイメージを変えるための一つの手段だといいます。
どんな雑誌なの?生活保護受給者の顔が見える「はるまち」
雑誌「はるまち」は、書籍流通には乗っていません。
手売りとカフェなどの委託販売が中心の1冊200円(税込)の雑誌ですが、持ち出しも多いといいます。
内容としては、生活保護受給者の方が雑誌の表紙を飾り巻頭で普段の生活ぶりをインタビューに答えるといったものです。
生活保護に対する理解を深める情報誌として、季刊で10号までの刊行を目指しています。
生活保護を知る事で社会の見え方が変わる事を願う雑誌
世間の生活保護受給者を取り巻く環境から、生活保護受給者であることを自ら発信するという発想は当事者にとってそう簡単に思いつくものではありません。
しかし、雑誌の中で顔を出し、実際の生活ぶりを伝える、そうする事で生活保護家庭に育った人のありのままの姿を伝える事ができ、当事者も孤独の頑張りや我慢から解放されるそうです。
特別楽をしているわけでもなく、いつもいつも暗く過ごしているわけでもない、誰でも知っている「普通」の日常がそこにはあります。
湯浅さんは「生活保護を利用している人たちの生活を知らないことから生まれる偏見は、知る事によって少しでも解消されるはずです。」と雑誌創刊に対する想いを語っています。
「はるまち」をきっかけに生活保護は身近なものであるという少し違った社会の見え方が浸透する事を願った湯浅さんの取り組みでした。
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