政府が2018年2月9日に生活保護法などの改正案を閣議決定したことはお耳に新しいかと思います。
今回の改定では、生活保護法、生活困窮者自立支援法、社会福祉法、児童扶養手当法の4つの法律を一括していますが、その中でも「高齢者に関する改定」について着目したいと思います。
生活保護の高齢者が安心して暮らせる2つの法律改定
高齢者を巡る住宅について、直近で衝撃的だったのは札幌にある自立支援施設「そしあるハイム」の火災です。
生活保護受給者を含む入居者11人が亡くなるという心痛いニュースでした。
通常、消防法では自力での避難が難しい入所者が一定の割合を超えた場合には、スプリンクラーを設置する義務が課されています。
しかし、この自立支援施設では各部屋に火災報知器はありましたが、スプリンクラーは設置されていませんでした。
そのような背景もあってか、生活保護を受給している高齢者が安心して暮らせる場の必要性が改めて注目されています。
そんな中、改定された法律は以下のようになっています。
- 1、無料定額宿泊所のうち、病院への付き添いや服薬指導などの生活支援も行う施設を新制度「日常生活支援
住居」に位置付け、財政面で支援する - 2、無料定額宿泊所にとどまる施設に対する規制を強化する
特に、2つ目は消火設備や避難訓練の実施などを最低基準として義務付け、自治体が事業者に改善命令を出せるようになったことで、高齢者がより安心して暮らせる環境が整いつつあります。
今回の改正案はいずれも2020年4月施行予定になっています。
生活保護費平均1.8%削減でも高齢者の住みやすい環境を考えた法改正
今回の改正とは別に、2018年10月から生活保護受給額を段階的に平均1.8%削減すると政府の決定がなされています。
そのような中でも、高齢者が住みやすい環境を考慮した法改正であると言えるでしょう。
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