生活保護ガイド

生活保護申請の前に!子どもの将来を見据えた世帯分離

生活保護は世帯単位で申請すること

「家族と一緒に住んでいても、様々な事情で自分だけ生活保護を受けたい。」
たとえば、自分は病気で働けずに子どもと一緒に生活保護を受けているが、高校の卒業を控えている子どもには生活保護に縛られずに自由に生活をして欲しいと思うこともあるでしょう。しかし生活保護を申請する場合、基本的には世帯単位で認定されることになっています。

同じ家に一緒に住んでいる人がいれば、お互いに影響することはたくさんあります。電気代、水道代などの光熱費は家族全員で使っているはずですし、家族そろって食事をすることが一般的です。そう考えると、家族の中で一人だけ生活保護を申請し、完全に家計を別々にすることは現実的ではありません。どうしても個人的に生活保護を受けたいという場合には、世帯から抜けなければなりません。

生活保護の申請の前に子どもの将来を考える

通常生活保護を受給している子どもは、高校を卒業したら基本的には就職しなければなりません。働ける年齢になったら、まずは生活保護から抜け出すことが大事だからです。自分の子どもが学びたいことを諦めて就職することに、心が痛まない親御さんはいませんよね。
また、子どもが高校卒業後に就職を希望しても、より良い環境で就職活動を行うことができないことも多いでしょう。多くの生徒が大学への進学を目指す中、就職に力を入れていない高校に届く求人票は限られ、自力で企業を探さなければらなくなります。大学に通っている就活生と比べられると、どうしても差が開いてしまいます。こういった生活保護世帯の貧困の連鎖が問題になっています。
子どもの将来のために、生活保護を申請する前にどんな打開策があるか考えてみてはいかがでしょうか。

世帯が同じでも別世帯として計算する特例

生活保護を家族で受給している方、または生活保護の申請を考えている方にぜひ知っていただきたいのが、世帯分離についてです。
世帯分離とは、住民票上で現在の世帯から世帯員の一部を分離して、世帯を分けることをいいます。世帯を分けることで、生活保護を抜けられるようになります。

世帯分離ができるのは次のような場合です。

  1. 生活保護を受けている世帯と生活保持義務関係者(夫婦・親と中学生以下の親子の間柄)になく、保護を必要としない人が、生活保護を受けている人の世話をする目的で転入した場合
  2. 保護を必要とする親などが、生活保持義務関係にない世帯に転入してきた場合
  3. 世帯分離の扱いを受けて、入院や施設に入所していた人が6ヶ月以内に再入院、再入所し、その期間が長期にわたる場合。
  4. 入院患者の場合
    ア:生活保持義務関係以外の世帯員は六か月以上入院を要する人
    イ:生活保持義務関係でも脳卒中や精神病などの患者で入院が一年を過ぎ、かつ長期の入院が必要な人
    ウ:一般の病気やケガでも入院が三年をこえ、かつ長期にわたる人
  5. 養護老人ホームなど施設に入っている人
  6. 保護を開始する時点で在学している大学生や高校卒業後の新卒者がすぐに各種の専修学校に修学した場合(高校や夜間学校は生活保護を受けながら通学できます)

子どもの将来のための世帯分離

子どもが近々結婚の予定がある、または進学する予定があり、その世帯から転出することが決まっている場合に、その子どもだけ生活保護から抜けることができます。そうすることで、子どもの収入を申告しなくてもよくなります。今までの家に住みながら、進学や結婚のための資金を自分で貯めることができるようになります。

しかし、生活保護を受けている以上、生活をしていくのに精一杯な状況が続きます。学費や結婚資金を親が支援してあげることは難しくなるでしょう。18歳未満の子どもがいる家庭で生活保護の申請をする前に、子どもが少しでも多くの選択肢を選べる環境を考えてみませんか?

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