母子家庭や生活保護世帯など、経済的な貧困世帯の子供達は、育ち盛りにもかかわらず、実に様々な理由で十分な食事が取れないケースが多いのをご存じでしょうか?
そんな子供達のために低料金でお腹いっぱい食べられる「子ども食堂」という支援がいま、全国に広がっています。
「子ども食堂」とは?支援の内容と貧困の深刻さ
今回ご紹介するのは福岡県久留米市の「くるめこども食堂」です。
同市では、子供の2割(42万人)が貧困、ひとり親世帯の3割が経済的理由で食料を買えなかった経験があるという深刻な調査結果も出ています。
そんな子供達にお腹いっぱい食べてもらいたい!その想いから商店街のイベントスペースに開設され、毎月最終日曜日にカレーライスを提供しています。
子供達の負担は300円。絵を描いたら100円引きでおかわりも自由なのだそう。
1日で40人の子供に100皿を提供する日もあるとの事です。
運営する河野大助さんが語るのは、昔ながらの大人の必要性。「自分が子供の頃は近所のおっちゃん、おばちゃんが何も聞かずに世話を焼いてくれた。そんな大人が必要」という想いです。
子供達にあえて事情を聞かない、気軽に立ち寄って悩みを相談できる居場所づくりも兼ねてカレーライスを提供し続けています。
福島県いわき市でも深刻化|子供の貧困と事例
子供の貧困が深刻化しているのは久留米市だけではありません。
福島県いわき市でも子どもの貧困率が1985年の10.9%から2012年には16.3%になるなど、子供の貧困は増える一方、特にひとり親世帯の貧困率は54.6%にものぼります。
中にはこんな心が痛くなる事例も市には報告されています。
- 医療費がなく、虫歯になっても治療ができずに痛みを我慢。中学生で総入れ歯になった子供。
- 保育園で発熱。親を呼ぼうとする保育士に「呼ばないで。」と頼む子供。
- 夏休みに入り給食がなくなり、休み明け10キロも痩せていた子供。
特に、保育園の子供の例は、自分が熱を出すと親が仕事を休んだり大変な思いをすると小さいながらも理解しなくてはならないほど貧困問題の重大さを浮き彫りにしたケースといえます。
また、同市では震災後、相双地区から避難されてきた子供達の経済的な貧困も加わっているので、早急な支援や対策が求められています。
そんな中、ある市営住宅の管理人をしている方が「母子家庭の生活の厳しさがわかる。朝の通学安全の旗持ちの時、ポケットにおにぎりを入れておき、『ご飯食べたか』と聞き、首を横にふると渡すんだ。」と語っています。ちょっと温かい支援のお話しでした。
自費や寄付など善意で運営「子ども食堂」の役割り
子ども食堂に通ってくる子供達は様々な重たい事情を抱えています。
母子家庭であったり、生活保護を受けていたり、時にはネグレスト(育児放棄)や虐待の被害を受けていたり。
自費や少ない寄付だけでも運営を続けるのは、そんな子供達の問題を解決、または適切な支援を行うためです。
子供がお腹いっぱいでホッとできる居場所を作ることが重要、そうでなければ子供の本音も聞き出せないと、運営する方々は強い意志で「子ども食堂」を続けています。
真の支援はそんな気持ちから始まるのかもしれません。
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