生活保護ガイド

生活保護 12月16日の衆議院選挙後 自民党政権下の生活保護どうなっていくのか?

12月16日、第46回衆議院選の投開票が行われましたが、その結果、保守の野党自民党が大勝し、自民党総裁の安倍晋三元首相(58)が再び首相に返り咲きました。安全保障計画や、経済の再膨張を推進する機会を手にすることができたと言えるでしょう。

3年前に、自民党の支配下からの変化を約束して政権の座に着いた野田佳彦首相率いる民主党は、有権者から厳しい審判を下される結果となりました。
野田首相は、衆議員選での敗北の責任を取って、民主党代表を辞任する意向を示しています。

しかし、投票率は低く、有権者の間には本当に選びたい政党がなかったという声も多かったのが現状。安倍氏も、今回の選挙結果は、自民党への信頼が回復し選ばれた訳ではなく、民主党の政治的混乱に有権者が支持しなかっただけだという認識をしているとのこと。

そこで、安倍氏率いる今後の自民党政権下において、生活保護の問題はどうなっていくのでしょうか?
民主党政権下では、生活保護制度の見直しを検討していましたが、16日の投開票の衆院選が決まった11月以降、生活保護への議論は宙に浮いたままの状態。選挙が終わった今、新政権である自民党が、早期に生活保護への対策を講じなければ、国や地方の歳出が増え続ける懸念があります。

生活保護受給者は2008年秋のリーマン・ショックを契機に急激に増えています。現在は、過去最多の213万3905人という生活保護受給者数を記録。10数年間で2倍以上の増加です。

このような増え続ける生活保護受給者数の自体を重く見て、厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会の特別部会は、生活保護制度の見直しに関する報告書を、11月28日の会合でまとめ、13年度予算編成に反映させる予定でした。
しかし、衆院選が決まった為、会合は延期され、政権交代の可能性があるとして、新政権発足まで、生活保護費への協議を棚上げすることにしていました。

生活保護制度見直しのための厚生労働省の特別部会の検討案
 ①最低賃金よりも高額に支給されている生活保護費の水準の見直し
 ②不正受給者への罰則強化
 ③過剰な医療への是正に向けた指定医療機関の見直し
 ④薬価の低いジェネリック(後発薬)の積極的な活用
などを検討しています。

一方、新政権である自民党は、次のようにまとめています。

これまでの自民党の生活保護制度の見直し案
 ①医療機関の受診回数の制限
 ②ジェネリック使用の義務化
 ③生活保護の給付水準の1割削減
 ④介護保険の対象のサービス縮小
 ⑤選択制で現物給付
などの独自の改革案を打ち出しており、特別部会はこれまでの協議内容を見直す可能性があるとしています。

安倍総裁は「社会保障費もなるべく効率化を図っていく必要がある。生活保護費を数千億円削減することはできる」と述べていると言います。

新内閣発足までは、衆院選挙から10日間程度かかるとみられ、13年度予算編成は越年が避けられない状況でしょう。新政権である自民党は、年明け早々から生活保護費を含む歳出のあり方を、短期間で詰める必要に迫られます。しかし、切羽詰まった状況下での協議となれば「弱者切捨て」との批判を生活保護受給者や、これから申請しようと考えている方などからも招いてしまうので、慎重な議論が求められます。

しかし、生活保護の具体的な政策が定まらない中でも、生活保護受給者や申請者にとっては、困窮する実情は変わりなく、例えば、神奈川県横浜市の中区の生活保護受給者の6割を占める寿町では、生活保護受給者は10月末で5802人であり、心身に不安を抱える方も多く、そのうち健康で就労可能な生活保護受給者は376人しかいないそうです。横浜市中区の担当者によると、日雇い労働しかやっていなかったり、ハローワークの利用方法が分からなかったりする方が少なくないそうです。
横浜市でも働きたい方は多いが、就職先が少ないというのが現状で、生活保護受給者や生活保護申請者の為には、まず就労支援への具体的な取り組みをし、就職先を確保できるような態勢を作っていくことが何より大切だと指摘しています。

【参照】
生活保護の申請方法
生活保護申請方法(横浜市の場合)
生活保護の医療扶助
生活保護の眼鏡作成