身寄りのない生活保護受給者がなくなった時、残されたお金は「遺留金」として扱われます。
ご家族と同居している方が亡くなった時には、ご家族が残された財産を相続したり処分したりするのですが、身寄りのない方が亡くなると、遺留金は自治体の管理下に置かれます。
今回問題となっているのはこの自治体預かりの遺留金がなんの手続きもなされないまま放置されているというものです。
調査で発覚、生活保護者の遺留金の実態
生活保護を支給している都道府県や市区のうち、受給者が比較的多い74自治体を対象に「遺留金」について調査(読売新聞調査)した結果、合計8億円もの金額が自治体に保管されていることが分かりました。
- 生活保護受給者の遺留金
- 1.大阪市…約6億9400万円
2.北九州市…4200万円
3.川崎市…3800万円
生活保護費が全国最多の大阪市が突出する結果となりましたが、その他の市区でもかなりの金額がなんの処理も手続きもされないまま、自治体に眠っているのが実態のようです。
なぜ手続きしないの?自治体と遺留金の関係
遺留金を処理する場合、戸籍謄本をさかのぼって調査して、相続人がいるかどうかを確認し、もし相続人がいない場合は、家庭裁判所が選任する相続財産管理人により「遺留金」は管理されます。
しかし、最終的な管理人に行きつくまでの費用が、故人の遺留金よりはるかにかかるため、自治体は手続きをせず、塩漬している現状です。
費用は個々のケースによって変わりますが、数十万から100万円もの金額がかかってしまうそうです。
その費用はもちろん自治体もちなので、私たちの税金が使われます。財源の乏しい自治体としても、頭を悩ます結果に…。国に改善策を求める事態となっています。
本来あるべき遺留金のあり方とは?
生活保護受給者であった故人の遺留金は、本来自治体が責任を持って最終的な相続財産管理人に行きつくまで手続きを行わなければなりません。
しかし、その手続きにかかる費用が遺留金をはるかにしのぐものであった場合、自治体が足踏みしてしまうのも理解できます。
かといって、これらの遺留金をこのままにしておくことも出来ませんし、このような事態は今後さらに増えていくことは容易に予想されます。
国は自治体から求められている改善策を、法改正という形で答えること、さらにその内容が生活保護受給者のために役立つものであれば、なお望ましいと思われます。
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