皆さんは生活保護費の中に、「期末一時扶助」という項目があるのをご存知でしょうか?
この期末一時扶助は「急に減らされた」という誤解が生じやすく、その仕組みについて特筆したいと思います。
生活保護「期末一時扶助」とは?誤解されやすい理由
◆期末一時扶助とは?
あまり聞き馴染みのない「期末一時扶助」について簡単に説明しますと、年に一回、12月分の保護費に上乗せされて支給される、いわゆるお餅代というものです。
では、支給されるといくらになるのか?3つのケースを挙げてみます。
- 1級地―1の単身世帯の方(例:60代単身)
基準額133,490円+期末一時扶助13,890円=支給される金額147,380円 - 1級地―1の2人世帯の方(例:40代夫婦)
182,201円+22,650円=204,851円
※(上記13,890円よりの上げ幅 8,760円) - 1級地―1の3人世帯の方(例:30代夫婦と7歳子供1人)
221,863円+23,340円=245,203円
※(上記22,650円よりの上げ幅 690円)
期末一時扶助はお正月のお飾りやお餅代を名目に支給されます。そのため、二人から三人に人数が増えても690円と上げ幅はあまりないのが特徴です。
特にお飾りなどは一家に一つで十分という考え方です。
◆なぜ誤解されるのか?
お正月を迎えるにあたり何かと嬉しい期末一時扶助ですが、これが誤解を招くには下記のような理由が挙げられます。
- 年末に一度しか支給されない期末一時扶助のことを知らない
- 1月の保護費に上乗せされると勘違い(本当は12月です!)
そもそも支給されることを知らない場合、単身の方を例に挙げると、1万3千円程度の金額のため、上乗せされても気付かないケースや、知っていたとしても、貰えるのは1月と勘違いされているケースが多く見られます。
両者共に、12月と1月の総支給額を比べるともちろん1月の方が低い(通常の金額に戻るから)ため、生活保護受給者から「何の連絡もなしに突然減らされた!」と市役所に苦情の電話が殺到するのです。
増える分には問い合わせはしませんが、減った分はすぐにクレームになる、シビアな金銭感覚が露呈した問題と言えます。
増えても減ってもケースワーカーに相談・確認
期末一時扶助について少しでもご理解頂けたら幸いですが、これに限らずどのような名目でも、支給額が増えたり減ったり「いつもと違うな?」と感じたらすぐにケースワーカーに聞いてみると余計な誤解を抱かずに済みます。
また、今回特筆した期末一時扶助は、つつがなく年を越すための扶助でもありますので、お餅を食べてこたつで暖まる、そんな幸せを感じられる使い道であって欲しいと思います。
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