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生活保護「冬季加算」見直しへ|どうなる?命の最終ライン

皆さんは生活保護に「冬季加算」というものがあるのをご存じでしょうか?

冬の暖房費や防寒具代として生活扶助に加算されて支給されるものです。

この冬季加算の金額が今問題になっています。

生活保護の生活扶助「冬季加算」の概要

生活保護「冬季加算」とは?
冬季において増加する光熱費や被服費等の増加需要に対応するものとして、11月~3月の5ヶ月間、生活扶助基準に上乗せして支給するものです。
冬季加算の支給基準は?
厚生労働省の資料によると、冬季加算地区区分(Ⅰ区~Ⅵ区)が設定されていて、それを基準に世帯人員、級地別に冬季加算額が計算されています。

※ 北海道で世帯数3人の場合…北海道(Ⅰ区)で世帯人数3人の欄を見ると、34,240円となっています。

生活保護の冬季加算引き下げへ議論始まる

政府は、生活保護の生活扶助のうち冬場の11月~3月に渡って加算される冬季加算の支給額を一部地域で引き下げる検討に入りました。
北海道や東北の一部地域で生活保護の冬季加算額が低所得者の光熱費より3,000円ほど上回っているという指摘があったため、引き下げ検討に至ったのです。

厚生労働省の1か月当たりの平均暖房費比較データ
・生活保護の受給世帯の支給額…9,067円
・低所得世帯の光熱費…6,539円

そのような中、財務省の家計調査をもとに家庭の光熱費を試算したところ、冬場の北海道と関東の支出の差は約2倍にとどまっているという結果もでています。

こうした実態も踏まえて、政府は冬季加算について「経済実勢を踏まえてきめ細かく検証し、その結果に基づき必要な適正化措置を15年度に講じる」としています。

「冬季加算」減額検討のニュースに生活保護受給者から心配の声

命の最終ラインでもある生活保護の「冬季加算」引き下げ。

過去幾度か行われた引き下げによってますます生活費を節約しなければならない中、今回の冬季加算減額検討のニュースを受けて生活保護受給者は今後の生活を心配する声が挙がっています。

生活保護受給者に支払われる冬季加算の引き下げは、法律の定めるところの「健康で文化的な最低限度の生活」を送るのに本当に適当なのでしょうか?

また、生活保護受給者の中には、病気などで働く事ができず家にいる時間が長く光熱費が多くかかるケースもあるため、政府内では引き下げによって命の最終ラインが崩壊してしまうことを危惧する声もあがっています。

その他にも、今回の試算をもとに冬季加算の引き下げを行うかどうか慎重な意見もでています。

引き下げるべきか?現状維持か?冬季加算をめぐる論争に今後注目していきたいと思います。

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