生活保護費と最低賃金をめぐる「逆転現象」とは?
最近ニュースで取り上げられている「逆転現象」。
生活保護受給者の支給額が正規の職につき最低賃金で働いた場合の収入より上回ってしまう現象の事をいいます。
では、上回ってしまうと、どうなるのでしょうか?
仕事を持ち、懸命に働いていても、報われない…。そんな社会が出来上がっているのです。
これでは、働く人々の仕事への意欲が下がるほか、生活保護受給者が自立する意欲を失うとの声もあがり、社会問題になっていました。
そのようななか、厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は29日、2014年度の最低賃金の目安を前の年より16円高い780円とし、2014年10月から順次適用することを決めました。
この引き上げ幅の大きさは、実に4年ぶりで、所得を増やして消費を増やし、デフレ脱却につなげようという政府の姿勢が反映したものと言えます。
- 最も高い最低賃金
- 東京都…888円(+19円)
神奈川県…887円(+19円)
大阪府…838円(+19円)
- 最も低い最低賃金
- 鳥取県、高知県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、沖縄県…677円
この決定により、生活保護費が最低賃金を上回る「逆転現象」は、各都道府県で順次解消される見込みです。
生活保護受給者の自立への刺激に…。
最低賃金が600円台に留まる地方でも例外なく改定が行われ、その適用は2014年10月からとなります。
こういった改定を受け、「逆転現象」が解消されると、頑張って働けば働いた分だけ自分に報酬として返ってくる、そんな働く喜びを得られる社会になっていけるのでは?という期待感が高るとともに、失いかけていた仕事への意欲も高まります。
最低賃金が改定された方々の生き生きと楽しく働く姿を見る事により、生活保護受給者の方々が「よし!次は私も!」と働く意欲を高められれば、今後自立してゆく生活保護受給者が増えるかもしれません。
働く人々にはありがたい、生活保護受給者にとっては自立への良い刺激となれるような改定であることが望まれます。
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