生活保護ガイド

生活保護基準引き下げによるダメージとは?自民党の生活保護法改正案に懸念  

11月20日に了承された、自民党の生活保護法改正案の骨子では、「生活保護の基準を引き下げ」「生活扶助の食費などを現物給付」「医療扶助の適正化による受診回数の制限やジェネリック医薬品の採用」「不正受給の罰則強化」といった生活保護受給者に厳しい内容でしたが、12月16日の衆議院選挙で自民党が政権を担うことになり、いよいよこれらの生活保護法改正案が実現する可能性がでてきました。

生活保護については、世論も生活保護の不正受給や、某お笑いタレントのような高所得者の親族が生活保護受給者の扶養をしないことなど、反感を抱いているだけに自民党の生活保護法改正案には容易に賛成するように思われます。

しかし、自民党が掲げる生活保護法改正案は、生活保護受給者への対応が厳しくなるだけではありません。
生活保護を受給していない国民全体にもダメージが来るだろうということを知っておかなければなりません。

まず、「生活保護基準の引き下げ」は、住民税課税基準も同時に引き下げられることになるでしょう。そして、これまで低所得で非課税世帯であった世帯でも、収入が増えていないにもかかわらず、課税の対象になってしまいます。
さらに、住民税の課税額によって定められている国民健康保険料や介護保険料、保育料なども、生活保護基準の引き下げによって納める金額が増えることになると考えられます。
また、生活保護基準の引き下げで、最低賃金の引き下げも画策してくる可能性も無きにしもあらずでしょう。

「医療扶助での受診回数の制限」においては、自民党は「人命軽視」と言われても仕方ない改正案だといわれています。生活保護受給者で医療扶助を利用している方は、ほとんどが高齢者、傷病者、障碍者であり、医療を常時必要としている方々です。自民党は、医療扶助の改正を実現すれば、こういった病気を抱える方々に必要な受診を制限して、限度が越えれば受診できないということに繋がり、生活保護の高齢者や傷病者を追い込む形となりかねないでしょう。
こういった生活保護での医療費の見直しになった背景には、マスコミで騒がれたある一部の医療機関での過剰受診により、医療費が無駄に使われているという印象になったことがあげられます。
しかし、生活保護受給者のすべてが過剰な受診や大量な薬剤を受け取っているわけではありません。ただ一部の生活保護を悪用する医療機関の問題であるものを、医療扶助の抑制といったものに課題をすり替えてしまっているのではないだろうか?という意見も。

「生活扶助の現物給付」や「親族の扶養」などの案にも問題や反対意見もありますが、自民党の政権下になったといっても、選挙公約が支持されたから選ばれたというわけではないと自覚しているようなので、実際にこの生活保護の改正案が実施される場合でも、国民全体への負担増になるだろうということを踏まえると、自民党の生活保護の見直し案への懸念の声を今後の自民党は、聞く耳を持っていることでしょう。

生活保護基準とは
(生活保護支給額例)横浜市、宇都宮市、郡山市、さくら市、八千代市、小山市、東海村、茅ヶ崎市