生活保護を受けながら貯金はできるの?

生活保護を申請するとき、「あなたは資産を持っていますか?換金できそうなものはすべて売り払ってください」と言われることでしょう。もちろん、生活保護の申請をしたいと思っているなら、コツコツと積み立ててきた貯金も切り崩して生活をしてからではなりません。では、生活保護を受けながら「もしも」の時のために貯金をすることは認められていないのでしょうか?

生活保護費を節約して貯金したい

生活保護は「健康で文化的な最低限度の生活を保障するもの」ですから、貯金ができるほどの余裕があるなら受給をやめるべきだという見方をされてしまいます。それでも、何かあった時のために貯金しておきたいと思うのは当たり前ですよね。
しかし、無断で貯金をしていると生活保護が打ち切られる可能性があるので注意が必要です。基本的に生活保護で受給したお金を節約して貯金することは違法ではありませんが、その金額が大きければ、生活保護なしで数年は暮らしていけるだろうと判断されてしまうでしょう。

生活保護費を受け取りながら貯金をするときには、その目的が最も重要になります。贅沢品やブランド品を買うためではなく、エアコンなど生活にどうしても必要なものがある場合や、生活保護から自立するための費用であればケースワーカーが貯金を認める例も多いようです。
では、ケースワーカーに生活保護を受給しながら貯金をしたいと相談したとき、どんな目的なら認められるでしょうか?その一例をご紹介します。

子どもの大学進学のための生活保護費の貯金

2013年5月、厚生労働省は生活保護受給者が子供の大学進学のために保護費を貯金することを認める方針を固めました。それまでは、貯金を認めるケースは明確に決まっておらず、自治体によって認可するかどうかは様々でした。生活保護費の貯金が認められていたのは、高額な生活必需品(エアコンなど)を購入する場合などに限定されていましたが、受給世帯の子供が経済的に自立するための後押しとしています。

その背景としては、生活保護を受けていた世帯の子供が大人になっても生活に困窮してしまう「貧困の連鎖」を断ち切ることができないためだとされています。そのため、確実に就職や資格取得に繋がる進学費用の貯蓄は認められるようになりました。

しかし、8月から生活保護の基準額が引き下げられました。子どものいる世帯ほど引き下げ幅は大きく、その中から食費などを切り詰めて進学費用を捻出することはますます難しくなっています。

横浜市に住む生活保護受給世帯の引き下げ額の例
夫婦(40歳代)と小・中学生:22万2000円→21万6000円
母(40歳代)と子ども2人:21万5000円→20万9000円

生活保護世帯の子供が高校に通うのにかかる費用は保護費として支給されますが、大学の進学に関してはその対象ではなくなります。一般の高校の進学率は9割を超えていますが、大学は5割程度にとどまります。そのため、大学進学のための生活保護費の貯金は認めれるようになりましたが、現実的には子どもは生活保護世帯を離れて、奨学金やアルバイトで進学費を工面する必要があるでしょう。

生活保護を受けながら生命保険に入れるの?

生活保護を受けながら、生命保険に入ることは貯蓄をしていることになるの?という疑問を持つ方も多いでしょう。
生活保護を申請するには、預貯金や不動産、生命保険などの資産がないことが条件となっています。あくまで資産として認められる生命保険ですから、多くの場合は掛け捨て型の保険は契約が認められています。

生活保護を受給していひとが加入できない生命保険には以下のようなものが該当します。

  • 養老保険
  • 終身保険
  • 個人年金保険
  • 学資保険

では、掛け捨て型で加入していた保険金を受け取れるとき、そのお金はどうなるのでしょうか?
受け取った保険金は、自治体に返還しなければならなくなります。そして、受け取った保険金が今まで受給した生活保護費を上回っているなら、返還した残りの額を手元に置くことができます。しかし、その分を生活費に回すことができると判断されるので生活保護は一時的に停止されることになるでしょう。

生活保護費を貯金したい場合、または生命保険に加入したい場合、いずれも事前にケースワーカーに相談しましょう。申請する際に聞かれなかったことでも、後々発覚した貯蓄が認められないこともあります。生活保護を受けることにも責任があることを自覚し、そのつもりがなくてもあなた自身が不正受給になってしまわないように注意しましょう。

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生活保護申請の前に!子どもの将来を見据えた世帯分離

生活保護は世帯単位で申請すること

「家族と一緒に住んでいても、様々な事情で自分だけ生活保護を受けたい。」
たとえば、自分は病気で働けずに子どもと一緒に生活保護を受けているが、高校の卒業を控えている子どもには生活保護に縛られずに自由に生活をして欲しいと思うこともあるでしょう。しかし生活保護を申請する場合、基本的には世帯単位で認定されることになっています。

同じ家に一緒に住んでいる人がいれば、お互いに影響することはたくさんあります。電気代、水道代などの光熱費は家族全員で使っているはずですし、家族そろって食事をすることが一般的です。そう考えると、家族の中で一人だけ生活保護を申請し、完全に家計を別々にすることは現実的ではありません。どうしても個人的に生活保護を受けたいという場合には、世帯から抜けなければなりません。

生活保護の申請の前に子どもの将来を考える

通常生活保護を受給している子どもは、高校を卒業したら基本的には就職しなければなりません。働ける年齢になったら、まずは生活保護から抜け出すことが大事だからです。自分の子どもが学びたいことを諦めて就職することに、心が痛まない親御さんはいませんよね。
また、子どもが高校卒業後に就職を希望しても、より良い環境で就職活動を行うことができないことも多いでしょう。多くの生徒が大学への進学を目指す中、就職に力を入れていない高校に届く求人票は限られ、自力で企業を探さなければらなくなります。大学に通っている就活生と比べられると、どうしても差が開いてしまいます。こういった生活保護世帯の貧困の連鎖が問題になっています。
子どもの将来のために、生活保護を申請する前にどんな打開策があるか考えてみてはいかがでしょうか。

世帯が同じでも別世帯として計算する特例

生活保護を家族で受給している方、または生活保護の申請を考えている方にぜひ知っていただきたいのが、世帯分離についてです。
世帯分離とは、住民票上で現在の世帯から世帯員の一部を分離して、世帯を分けることをいいます。世帯を分けることで、生活保護を抜けられるようになります。

世帯分離ができるのは次のような場合です。

  1. 生活保護を受けている世帯と生活保持義務関係者(夫婦・親と中学生以下の親子の間柄)になく、保護を必要としない人が、生活保護を受けている人の世話をする目的で転入した場合
  2. 保護を必要とする親などが、生活保持義務関係にない世帯に転入してきた場合
  3. 世帯分離の扱いを受けて、入院や施設に入所していた人が6ヶ月以内に再入院、再入所し、その期間が長期にわたる場合。
  4. 入院患者の場合
    ア:生活保持義務関係以外の世帯員は六か月以上入院を要する人
    イ:生活保持義務関係でも脳卒中や精神病などの患者で入院が一年を過ぎ、かつ長期の入院が必要な人
    ウ:一般の病気やケガでも入院が三年をこえ、かつ長期にわたる人
  5. 養護老人ホームなど施設に入っている人
  6. 保護を開始する時点で在学している大学生や高校卒業後の新卒者がすぐに各種の専修学校に修学した場合(高校や夜間学校は生活保護を受けながら通学できます)

子どもの将来のための世帯分離

子どもが近々結婚の予定がある、または進学する予定があり、その世帯から転出することが決まっている場合に、その子どもだけ生活保護から抜けることができます。そうすることで、子どもの収入を申告しなくてもよくなります。今までの家に住みながら、進学や結婚のための資金を自分で貯めることができるようになります。

しかし、生活保護を受けている以上、生活をしていくのに精一杯な状況が続きます。学費や結婚資金を親が支援してあげることは難しくなるでしょう。18歳未満の子どもがいる家庭で生活保護の申請をする前に、子どもが少しでも多くの選択肢を選べる環境を考えてみませんか?

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諦めないで!生活保護の申請を却下されたときには

生活保護を受給したいと思った場合、いきなり申請の書類を提出するわけではありません。まずは、福祉事務所の生活保護相談窓口でケースワーカーと面接をします。そこで自分が条件に合っているかどうかしっかりと調べたうえで福祉事務所に行ったものの、申請の前にその場で断られてしまうケースさえあります。申請は却下されてしまっても、どうしても生活できないからもう一度きちんと話を聞いて欲しい・・・そんなあなたに不服申し立てのチャンスがあることをご存知ですか?

申請前の相談で断られてしまうケースも

「生活保護の受給条件に合っているはずなのに、どうして申請することを断られるの?」
というケースは多く見られます。
「息子さんのところに一緒に住めば食べていけるだろう」
「あなたは働ける環境だから職を探しなさい」
「家の中にあるものを売って、本当に売るものがなくなればまた申請にきてください」
といった断られ方をする場合もあります。もちろんできる限り自分で手を打つことが条件ですが、実際には親族と疎遠であったり、病気や怪我で職を見つけることが困難であったり、売却しても大きな収入になるようなものがないなど生活保護を受けなければどうしても生活できないという人も多いでしょう。
福祉事務所としては、なるべく受給者を少なくしたい心理がありますので、チェックは厳しくなり、時には冷たい態度を取られることもあります。しかし、ここで諦められるようなら始めから相談に行きませんよね。生活保護の相談をしたのに、十分に取り合ってもらえなかったと感じた場合、弁護士などの法律の専門家など心強い相談相手を探しましょう。

申請を却下された場合の不服申し立て

生活保護の申請をすると、申請日から2週間以内に保護開始か、申請却下かが決まります。審査が長引いて2週間に間に合わない場合でも30日以内に決定することになっています。通知は書面にて行われますので、福祉課から通知が届きます。

通知の結果に納得できない場合、または30日を経過しても通知が来ない場合には、審査請求を行うことができます。審査請求は福祉事務所を通して行うこともできますが、福祉事務所が審査請求を受け取り拒否される申請者が続出しているので自分で書式を用意して提出する場合が多いようです。

審査請求書の書き方

  • 審査請求人の住所・氏名(印)・年齢
  • 審査請求にかかる処分
  • 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
  • 審査請求の趣旨及び理由
  • 処分庁の教示の有無
  • 審査請求の年月日

審査請求の審理は原則として書面のみで行われ、請求のあった日から50日以内に採決を行わなければならないことになっています。これを過ぎても採決がない場合には審査請求が棄却されたと考えます。

生活保護の申請の前に考えること

「働き口がなくなれば生活保護を受ければよい」
「母子家庭ならかならず生活保護を受けられる」
「年金なんか払わずに、老後は生活保護に頼ればよい」
というような誤った考えを持ってはいけません。ニュースで取り上げられているような、生活保護を受けている人が裕福な生活をしているように見えるのはほんの一例に過ぎません。また、実際に生活保護を受けている人より最低基準以下で生活している人が多いという事実からみても、申請が簡単に受理されるとは考えられません。あくまでもどうしても生活できない人のための制度であるということを心にとどめ、自立する意識を強く持ちましょう。

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年金だけでは暮らせない!増え続ける生活保護の申請者

現在の生活保護の受給者は215万人を上回り、申請を志願する人の数も増え続ける一方です。生活保護の受給者のうち70万人が高齢者世帯であり、一番多く割合を占めています。その理由は、受け取っている国民年金の額だけではどうしても暮らしていけないという高齢者が増えているからです。

年金を受け取りながら生活保護の申請はできる?

年金と生活保護の併用は可能です。
年金と生活保護を同時に受給する場合は、受け取っている年金の額が生活保護制度で定められている最低基準を下回っているときの差額分が生活保護から支給されます。つまり、年金と生活保護を併用しても最低基準額以上の収入にはならないということです。この最低基準は自治体によって異なりますが、高齢者単身世帯の最低基準が7万円と定められている場合、それを下回る年金の受給額でなければ生活保護を申請しても受理されません。支払われている年金が月6万円程度であれば、基本的に生活保護が廃止になることはありません。
生活保護費の例はこちらで確認できます。

年金と生活保護の同時受給を申請する前に考えなければならないデメリット

「国民年金をまじめに納めているのがばかばかしい!老後は生活保護に頼ったほうが得だ」という声を良く耳にしますが、本当にそうでしょうか?
生活保護を申請する際には、預貯金がないことが大前提です。そして車やアクセサリーなどの現金に変えられる資産を売り払い、それでも十分な生活費を得られない場合に生活保護の申請が受理されます。それまで移動を主に車でしていた場合でも、自分の足でいけるところまで行動範囲が狭めれてしまいます。そして生活保護を受給できたとしても、所有できる家電や娯楽品の購入などに制限があり、老後のゆとりのある生活とはかけ離れた状況になるでしょう。

特に問題になっているのが、生活保護を受けるために孤立化している高齢者が多くなっているということです。生活保護を申請するには頼れる身寄りがいないことが条件であるため、生活保護で暮らしている高齢者は孤独に一人暮らしを送っているケースが多く見られます。悲しい思いをしながら孤独死をしてしまう人が多いことも事実で、平成20年の内閣府の調べによると年間1万5000人程度の高齢者が死後4日以上を経て発見されています。

年金と生活保護の同時受給まとめ

生活保護に頼ればいいという考えから、国民年金を納めても意味がないという意見もあります。しかし、生活保護を申請しても受理されるかどうかは全くわかりません。しっかりと国民年金を納めるなどして、老後の生活の支えを自分で作っておかなければ、生活保護が受給できない状態に陥ったとき困るのは自分自身です。老後には趣味を持って豊かな暮らしをしたいと望むなら、生活保護の申請を思いとどまった方が良いかもしれません。生活保護は本当に生活する手立てがなく、どうしても暮らしていけない人のためにある制度です。できる限りの自立できる力を駆使して、それでも苦しいときの最後の手段という捉え方が最良でしょう。

また、生活保護に対する良くないイメージが浸透している日本では、生活保護を受けている高齢者に対しても冷ややかな目線が注がれることもあります。しかし、今は働き盛りの若い世代が年金をもらうようになる頃には、全体の人口の40%近くが65歳以上の高齢者になるといわれています。自分たちが同じ思いをしないで済む環境を作るには、今から高齢者が住みよい環境でいられるための意識改革が必要です。生活保護を申請したいと思っている高齢者には経済的な支援だけではなく、体力面や精神面でサポートできることはたくさんあるはずです。身近にいる高齢者に少しでも手を差し伸べてあげることが大事なのではないでしょうか。

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生活保護を申請する前に知っておきたい扶養義務

生活保護を受給するための条件の中に、扶養義務者からの扶養を活用することが定められています。頼りになる親族や身寄りからのできる限りの援助をお願いすることが必要になります。では、具体的に扶養義務がある人はどんな人なのでしょうか?

法律で定められている扶養義務は最大で3親等まで

法律の条文では、「家庭裁判所は特別な事情がある場合は3親等以内のものまで扶養義務を負わすことができる」とあります。親等数は、自分を0とし、親子関係を1親等と数えます。3親等は、層祖父母、叔父叔母、甥姪、曾孫にあたり、それより近しい人に扶養義務があると定められています。

しかし実際には、層祖父母や曾孫に援助を求めるのは難しいことです。現実的には直径家族の例が多く、親・子供・兄弟・夫婦からの援助を求める場合がほとんどです。特に、福祉事務所から強く扶養義務を求められるのは「夫婦」と「未成熟の子」の二通りだけになります。これは、法律の解釈をそのまま生活保護を申請する人に適応しようと思うと、混乱が起きてしまうことから、「親族の方のできる範囲で、扶養をお願いします」ということになっています。

生活保護を申請すると、親族に扶養義務についての通知が届きます

生活保護を申請すると、申請者本人にどの程度の援助ができるかを調査する通知が届きます。「金銭面」「入院した際」「電話連絡」など、金銭だけではなく、精神面や体力面で援助できるかという質問に答えなければなりません。先ほど取り上げたように、通知が届くのは3親等の親族まで。生活保護を申請するとなると、身内に知られることは覚悟しなければなりませんね。

生活保護の申請に悩む人に手を差し伸べること

生活保護の申請をためらう人の中で、一番抵抗があるのはこの扶養義務の部分だと考える人も多いでしょう。
「ふるさとの両親に心配をかけたくない」
「独立した子ども達に心配をかけたくない」
といった意識が生活保護を申請することをためらう要因になっています。

実の親、兄弟といっても、別の家計の人を扶養することは簡単なことではありません。扶養義務者であっても「私に扶養の意思はありません」ということを意思表示すれば断ることができるケースも多くあります。ですが、その後誰の援助も受けずに孤独に生活保護費で暮らしていく申請者本人のことを思い浮かべてみてください。扶養義務者にとって経済的な支援は難しくとも、精神的に、体力的に支援することはできるかもしれません。生活保護を受けなくても自立していける方法を一緒に考えることも、立派な支援になるのではないでしょうか。

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母子家庭で生活保護を受けるメリットとデメリット

生活保護を受けることは必ずしも良いことばかりとはいえません。特に母子家庭では子育てのことを考えたうえで申請する必要があります。母子家庭で生活保護を受ける場合にどんなメリットとデメリットがあるか比較してみましょう。

母子家庭で生活保護を受けるメリット

経済的な安心を得ることができる
母子家庭で特徴的な問題は、仕事と家庭を両立させることが難しく、スキルの習得にも時間がかかるためなかなか十分に収入を得る仕事に就くことができないことです。生活保護を受けることは、最低限度とはいえ生活が保障される暮らしができることが最大のメリットです。
税金や医療費を負担しなくてよい
お子さんが幼いうちは、発熱や怪我など少しの体の変化が心配ですよね。利用できる病院が限られていることなど、不自由な面もありますが、治療費がなくて病院に通えないという不安からも解消されるでしょう。また、生活保護を受けることでさまざまな税金の負担が免除されます。

その他生活保護を受けるメリットについてはこちらで紹介しています。
生活保護のメリットとは?

母子家庭で生活保護を受けるデメリット

貯金をすることができない
支給された生活保護費を預貯金にまわすことは禁じられています。生活をするうえで必要最低限の金額を支給するわけですから、貯金にまわすお金はないとみなされます。お子さんが進学したいと思うときなど、その資金が準備できなくては不自由な思いをさせてしまうことになりますね。
家賃に上限がある
生活保護を受けながらアパートや借家で生活しようとすると、家賃の上限があります。生活保護を申請したいと考えるなら上限額内で住める賃貸をさ探さなければなりません。お子さんのことを考えるとお部屋の広さだけではなく、音が響かないかなどを考慮すると選択肢も限られてくるでしょう。
生活費以外で使ってはいけない
生活保護費は、最低限の生活を保障するものです。借金の返済や賭け事はもちろん禁じられ、娯楽品の購入も限られます。お子さんがいらっしゃる母子家庭世帯では、お子さんに我慢をさせなければならならないこともあるでしょう。
自動車を持つことができない
生活保護を申請しようと思うと、車を手放さなければならなくなることも考えましょう。生活の行動範囲が狭まることをや、幼稚園・学校などの通える範囲が限られてくることも視野にいればければなりません。
扶養親族に援助要請の連絡が入る
生活保護を受けていることを回りに知られたくないという母子家庭のお母さんの声はよく耳にします。しかし福祉事務所のほうから定期的に援助確認の連絡が行き、親族に迷惑をかけることになってしまいます。

母子家庭を応援する制度

生活保護を受けることは、最低限の生活は保障されますが自由の利かないことも多くあります。母子家庭では、自分ひとりの問題ではなく、お子さんの将来のことも考えたうえでの選択が迫られます。生活保護は良い面だけではなくデメリットもあることを知り、お子さんにとって、自分にとってよりよい生活のためにはどうすればいいのかひとつずつチェックしましょう。
また、母子家庭で生活保護を申請する前に、利用できる制度は最大限に活用しましょう。
母子家庭で受けられる制度はこちら

母子家庭で生活保護の受給を考えている方へ。お役立てください。
母子家庭で生活保護を受給するには?
生活保護を申請するには?
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生活保護ではいくらもらえるの?

生活保護基準引き下げに反対する声も

約214万人が受給し、過去最多を更新する生活保護費。現在でも申請を志願する人の数は増える一方です。しかし、8月から生活保護費のうち食費や光熱費に当てられる「生活扶助費」の基準額が引き下げられます。引き下げを目前に、生活保護受給者はもちろん、受給者を支援する人や、生活保護を申請したい人などを中心とした生活保護費引き下げに反対する声が強まってきています。

生活保護費引き下げは違憲?申請者などから反対運動の動き

生活保護費の引き下げの基準は、「健康で文化的な最低限度の生活」、つまり生存権保障水準そのものを決めるとても重要な基準です。この水準が下がれば最低賃金も目標額が下がり、労働条件に大きな影響が及ぶことになります。生活保護を受けている人や、これから申請したいと思っている人だけの問題ではないのです。
既に2013年1月22日の時点で14万を超える生活保護費の引き下げに反対の署名が集まっています。

さらに、生活保護基準の引き下げは憲法違反だとして全国生活と健康を守る会連合会(全生連・安形義弘会長)は、8月からの引き下げに対して都道府県への不服審査請求をするよう生活保護利用者に呼びかけています。

生活保護を申請するまえに覚えておきたい審査請求とは?

生活保護の申請が許可されたのち保護費が引き下げられた場合に役所から送られてくる保護決定通知書には、「この決定について不服がある場合は審査請求をすることができます。」という内容が記されています。この文章を役所が審査請求をできることを教える教示文といいます。国民は誰でも役所が行った決定に不服や不満があれば審査請求ができるようになっています。
生活保護を受給している方が泣き寝入りしないための大切な制度で、自動車の保有、交通費支給、母子加算復活などは審査請求で制度を改善させ、違法な申請却下をやめさせ、保護利用者の権利を拡大してきました。

審査請求の手続き方法

「審査請求」を都道府県へ提出します(福祉事務所を通してでも申請可能です)。
審査請求書の書き方

  • 審査請求人の住所・氏名(印)・年齢
  • 審査請求にかかる処分
  • 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
  • 審査請求の趣旨及び理由
  • 処分庁の教示の有無
  • 審査請求の年月日

審査請求書提出後は、処分庁からの弁明書とそれに対する請求人からの反論書のやりとり、口頭意見陳述を述べて、自治体から裁決がおります。

全国生活と健康を守る会連合会には「いまでも冠婚葬祭の費用が出せません。基準切り下げで、命を削れというのですか」「食費を切り詰め、ガス代節約のため冬もシャワーで我慢。いまもぎりぎりで、今後が切実に心配です」など、不安と怒りの声が寄せられているそうです。
安形会長は「基準切り下げは、就学援助や最低賃金、年金など国民生活全体の引き下げにつながります。全生連は、『納得できない。切り下げをするな』と、世論を動かす規模での審査請求運動を全国的に呼びかける」と訴えます。

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母子家庭で生活保護を受ける際に知っておきたい出産のこと

離婚などの事情で母子家庭になる人の中には、妊娠中の人もいます。子育てをしながら、ましてや母体で働きに出ることはとても難しいことでしょう。生活保護を受けるまえに、出産の事について知っておきましょう。

生活保護を受けながら出産できる?

過去にこんなケースがあり、生活保護を受給しながらの出産についてニュースになりました。
2012年3月の事です。京都府宇治市のケースワーカーが、生活保護を申請した母子世帯の女性に対し、異性と生活することを禁止したり、妊娠出産した場合は生活保護に頼らないことを誓わせたりする誓約書に署名させていました。
この30代男性職員のケースワーカーは生活保護の申請者に対し、
「妊娠・出産した場合は、生活保護を打ち切る」
「母子世帯には異性と生活することを禁じる」
「生活保護費削減のため、子どもの養育費を獲得する」
などを約束させる誓約書に署名させていたのです。

生活保護を受けているからといって、私的なことに口を出されるいわれはありません。
このケースワーカーが作った誓約書には、「受給中はぜいたくや無駄遣いをせず、社会的モラルを守り、節度ある生活をすることを誓う」などという項目もありました。これについては、生活保護を受けているのだから当然だと感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、生活保護を受ける権利があって受給しているのですから、こんな過度の私生活への干渉は許されません。生活保護を受けているからといって、出産をしてはいけないという考えこそが、人権を傷つけていることになるのではないでしょうか?

母子家庭の生活保護で重要な出産扶助

母子家庭においては、多くの人が受給している生活扶助などに加え、出産扶助も重要な意味合いを持ちます。出産扶助は、生活が困難な状況で出産を控えている際に行われる給付です。
ほとんどのケースでは、シングルマザーとなっている人が利用しています。妊娠期は、通院をはじめ、至る所で経費が掛かるものです。そういった中でやりくりが困難な場合は、この制度を申請する事で、ある程度負担を軽減させることができます。

出産扶助とは
生活保護を受けている世帯に出産を控えている方がいる場合に出産にかかわる費用を負担するための扶助です。
出産扶助は出産に必要な分娩、衛生材料などの費用として24万円を上限に支給されます。
生活困窮者が出産をするときに行われる給付であり、原則として、金銭により給付されます。市販の妊娠検査薬などのは支給されないので各自生活扶助からまかないましょう。
最近では国による出産費用貸付、市区町村による「入院助産補助」などの制度を優先して扱いますので出産扶助の利用は少なくなっています。

母子家庭で生活保護を受けながら出産をすること

母子家庭の抱える問題は、仕事と家庭を両立させることが難しく、求職活動も仕事に役立つスキルの習得もじゅうぶんにできないことです。だからこそ子育ての負担を軽減し、適切な職業訓練を行なえば、貧困に陥っている母子家庭の母親は、働く女性たちと同じレベルの仕事をこなせるようになっていくでしょう。
母子家庭で生活保護を受給しながら出産をすることは、相当な覚悟が必要になります。先ほど述べたように、周囲から厳しい視線で見られることもあるでしょう。しかし、大切なのは生活保護を受けながらでも子供を育て上げる覚悟を持ち、また自立の意志を忘れないことです。

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生活保護から脱したい!母子家庭の仕事選びのポイントとは?

子育ても忙しく働き口も見つからないなど、やむを得ない理由で生活保護を受けている母子家庭の方の中でも、いつかはしっかり自分で働いて子供に健やかに育ってほしいと願う気持ちがあるはずです。そんな生活保護を受けている母子家庭のシングルマザーの方へ、仕事を選ぶ際に考えておくとよいポイントをご紹介していきます。

母子家庭で生活保護を受給していれば働くだけ無駄?

働いて収入を得たら受給される金額が減ってしまうのなら、働いても無駄なのでは?と思う事があるかもしれませんが、そんなことはありません。
稼いだ金額が全て保護費に反映されるわけではなく、働いて得た収入は必要経費(交通費・社会保険料など)をのぞいたほか、その額に応じて仕事をする意欲を高めるために「勤労控除」が認められています。母子家庭でも生活保護に頼り切りではなく、自立したい意志と働くことそのものが、シングルマザーとして胸を張って生活できる第一歩ではないでしょうか。

母子家庭の生活保護でも大丈夫!シングルマザーの仕事選びのポイント

母子家庭になってからの転職は、独身や夫がいる場合とは違い、仕事の選び方の基準も変わってきます。実際に働いてみて、条件が合わないからと何度も転職を繰り返すと、自分にも子どもにとっても負担になってしまいます。短い職歴を繰り返すとどうしても採用されにくくなっていきますので、長期的に頑張れる仕事を見つけましょう。
まずは、譲れない最低限の希望勤務条件を整理すること。生活に必要な給与額、子育てと両立できる勤務時間、休日や休暇など最低限のボーダーラインを決めることが大切です。

必要な収入額:最低限いくら年収・月収が必要か
勤務可能な時間帯:子供を預ける場合は何時から何時まで勤務可能か
通勤時間:通勤には何分ぐらい時間をとれるか
残業時間:残業にはどの程度対応できるのか、まったく無理なのか
必要な休日・休暇:休みの希望曜日、年末年始など必要な休暇

この5つについてまずは必要最低限の条件を挙げてみましょう。子供が幼く一緒にいる時間を少しでも多く取りたければ、給与は高くなくてもいいから就業時間が少ない近所の仕事がいいかもしれない…。子供が高校生や大学生で教育費が多くかかる時期であれば、残業が多くても給与が高い 仕事 に就く必要があるかも…。仕事への希望条件は子供の年齢や周囲のサポート環境によっても異なってきます。

母子家庭のシングルマザーに人気の資格とは?

1位 ホームヘルパー
ホームヘルパーは、介護に必要な技能の習得をする資格。人の役に立つ仕事がしたい・積極的に人の世話をする事が好きな人など、介護にはボランティア精神も必要な事から、プロとして活躍するには2級以上の取得が理想です。この職業は現在、人材が不足しているため、多くの地方自治体からも補助金の給付を行っているため、生活保護を受給しながら職業訓練を受けることもできるでしょう。

2位 環境社会検定試験
ECO検定とも言われ、現代社会にピッタリとマッチングしています。環境問題に関する幅広い知識を問う検定です。まだ2006年にスタートしたばかりですが、人気・ニーズが高く、急上昇中の資格です。

3位 マイクロソフト オフィス スペシャリスト
マイクロソフト オフィス スペシャリストが人気の理由は、ワードやエクセル等のマイクロソフト社のソフトを使いこなす技術を証明・認定する資格である事で女性に多い事務ワークであることがあげられます。さまざまな業界で評価が高く、就職・転職・昇進に有利に働いています。

母子家庭のシングルマザーへ。将来に繋がる仕事を意識して

シングルマザーになると、長い期間働き続けることになるでしょう。子どもが育ちあがるまで働く覚悟を持つことで、長く働いてほしいと考えている会社にとっては、覚悟とやる気をもっているシングルマザーとしてアピールすることができます。長期間仕事をするということは、長期間必要とされる人材であり続けなくてはならないということ。そして自分自身も長く続けられる仕事につく必要性があるということ。そのためには、必要な勤務条件を満たしたうえで、将来につながる仕事かどうかも考えて仕事選びをするとより安心です。

母子家庭の就職・転職は、子供や生活のことなど自分より優先しなくてはならないことがたくさんあります。そのため、最初は必ずしも自分がやりたい仕事よりも条件が合う仕事を優先する必要もあることでしょう。しかし、子供の成長のためなら絶対に頑張るというシングルマザーならどんな仕事でも乗り越えていけるはず。どんな仕事も好きになろう、続けていこうと思える前向きな姿勢を持つことで、将来につなげることができ、どんどん自分のやりたい仕事に近づいていけるはずです。

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生活保護基準引き下げ、8月からどうなるの?

8月から生活保護基準引き下げが決定

今年1月時点で、生活保護の受給者の数は215万人を上回りました。支給総額も年3兆数千円にのぼっています。現在も申請する人の数は増える一方です。この現状が国や自治体の負担が大きいために、生活保護費のうち食費や光熱費などにあたる「生活扶助」を、8月から3年間をかけて3段階で引き下げる方針です。これによって国の生活保護予算は今より年670億円(6・5%分)減る見通しです。

実際の支給額がどのくらい減るのかは家族構成や地域などで異なりますが、家族の多い子育て世代への影響が大きいとみられています。都市部に住む40代夫婦と小中学生の子ども2人世帯の場合、現在の生活扶助は月約22万2千円ですが、8月から約21万6千円に減り、15年度以降は約20万2千円になる見通し。また、年越しの経費として年末に支給する「期末一時扶助」も今年12月分を減らす方針です。

生活保護を受けている人はなぜ増え続けている?

今回の生活扶助の引き下げの決定で一番つらい思いをするのは、やむを得ず生活保護を受給をしている人ばかりでしょう。生活保護を受けている人が増え続けているので、仕方がないという声が聞こえてきそうですね。しかし増えているといっても、生活保護を利用できる条件の人のうち実際に申請が受理されている人は2割といわれています。逆に8割の人が申請しない、または申請が受理されないなどの理由で生活保護を利用できずに生活保護基準以下の収入・資産での生活を強いられています。日本の生活保護はそういった「受給漏れ」が大きな問題となっています。また、一番の増加要因は、低年金・無年金による高齢者が増えていることです。

生活保護費引き下げによる生活の変化は?

生活扶助の引き下げは生活保護を受けている人だけの問題ではありません。最低賃金の金額は「生活保護にかかる諸施策との整合性を図る」とされているため、1ヶ月フルタイムで働いた場合に生活保護基準を上回るよう定められています。最低賃金額も生活保護基準と連動していますので、基準が引き下げられれば最低賃金も引き下げられ、給与所得が減少します。また、最低賃金という労働条件の基盤が引き下げられることは、労働条件全体を悪化させることに繋がります。

生活保護費の引き下げでは国や自治体の財政負担は減りますが、被保護者や低所得世帯の暮らしに良い兆しを見通すことができるでしょうか。むしろ本当に生活保護を必要としている受給者の生活を苦しめ、保護からの自立が難しくなっていきます。先ほど述べたように、直接的な引き下げではなく高齢者の低年金・無年金による受給や、被保護者が自立できる支援策の充実など、見直すべき課題は他に残されているという指摘もあります。

生活保護の申請を考えている方へ。お役立てください。
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