全国で生活保護を受給している人数は2011年7月時点では、厚生労働省によると205万495人という過去最多を更新しています。それまで1951年度(月平均)の204万6646人が最も多かったのですが、長引く不況の影響で60年ぶりの生活保護者数の記録の更新となっています。
栃木県でも生活保護を実際に受給している人数は2010年では1万9075人、2011年では1万9787人と確実に増加しており、2万人に迫る勢いです。生活保護世帯数は1万4638世帯と過去最多を更新し、栃木県医事厚生課は「東日本大震災以降、景気が不透明になり、生活保護受給者数の増加に歯止めが掛からない状況が続いている」と懸念。
栃木県の生活保護受給者数は、戦後の混乱が続いた51年度の3万1932人が最多となっています。
しかしその後、工業団地の造成などによって就労環境にも恵まれ、栃木においては生活保護を受給する方が少ない県だったそうです。1993年度には5899人にまで生活保護者数が減りました。
それが一転して、生活保護者数5899人という数字を底に栃木でも増加し始め、2008年秋のリーマンショックを機に失業者による生活保護の受給で一気に増加しました。それ以来、栃木県でも右肩上がりの状態で生活保護受給者数は推移してきています。
そして、栃木県の生活保護世帯数は1952年度の1万689世帯が最多でしたが、2009年度に1万2044世帯となり57年ぶりに最多を更新しました。更に毎年増加し続け2011年度にはついに1万4000台後半という生活保護世帯数に。
栃木県内の生活保護を受けている世帯を類型別で見ると、最も多いのはやはり「高齢者世帯」で5774世帯、続いて「傷病者世帯」3912世帯、次いで働き盛りの年齢層である世帯が2469世帯となっています。
栃木県も含め、日本全国においても言えることですが、高齢化に加え、東日本大震災や欧州経済危機などの影響で、現在も景気が不透明です。「働ける人が職を失い、生活保護を受ける人が増えている。雇用環境は不安定な状況が続いており、生活保護受給者数、世帯数は増加傾向が見込まれる」と言われています。
東日本大震災や福島第一原発事故によって、生活保護を受給し始めた世帯は全国で939世帯となっており、特に栃木ではそのうち12世帯が隣の県である福島県からの避難者らが多くを占めており、栃木県での生活保護世帯数の増加の原因のひとつになっています。
栃木県の中でも生活保護費受給額で最上位をしめるのは、宇都宮市で1278万4025円です。2位は日光市で145万3898円となっています。
宇都宮市の人口は、51万1739人であり、栃木県内でも一番多いのですが、受給される生活保護費の基準も県内の他の地域より高いため、より多くの生活保護費が使われています。
その生活保護受給者に支給されている地方自治体管轄である保護費の財源は、大部分(およそ4分の3)が地方自治体に対して交付される国庫負担金となっているため、栃木県の中だけの問題ではなく、つまり日本国民全体で全国の生活保護費を養っているのです。
ですから、生活保護受給者数をこれ以上増加させないためにも、それぞれの自治体で生活保護受給者数を減らす取り組みが予定されていますが、栃木県宇都宮市では民間業者との契約のもと生活保護受給者の就労支援対策が行われているので、一刻も早く働ける年齢層の世帯の方の就職を増やすことにつなげて欲しいと思います。結果、増加し続ける生活保護世帯数に歯止めをかけられることを期待します。