生活保護受給のために、まず申請を。生活保護支給額 横浜市

生活保護を受給しようとしてまず最初にやることが、「生活保護の申請手続き」です。
しかし、生活保護の窓口に申請に行っても、市職員に追い返されたり酷いことを言われ、申請してもらえずに、結局生活保護を受給できず、どうしようもできなくなって孤独死や自殺といったことになっている事件が実際にあります。

生活保護は困っている国民を救う為の制度ですが、所得が生活保護レベルになっている人の中で、実際に生活保護を受給できている人の割合は7~20%だそうです。生活保護制度で言う「健康で文化的な最低限度の生活」未満の状態の人たちが申請しているのに、生活保護を受給できていない方々が数百万人もいらっしゃるのが現状です。

近年増加していて、生活保護費問題が各政党でも取り上げられていますが、先進国において日本は生活保護率が1.57であるのに対し、ドイツは9.70、アメリカでは13.05です。日本はかなり低い割合なのです。

確かに生活保護費が過去最多になってきている状態は問題ですが、最低でも生活保護を受給しないと苦しいというレベルの方たちが生活保護の受給条件を満たした上で、きちんと申請でき、受給にたどり着けるような状態でなければならないのです。

そこで、生活保護の受給条件を満たしているのに、申請窓口で拒否されたりといったことにならない為に、内容書類(生活保護の受給を希望する旨の内容)を役所に郵送しておくことで、申請がとおり受給できるようになります。また、生活保護を申請すらできない状態の場合は、弁護士に相談するといったことも受給するためには有効的です。

現在、これからの生活保護費が削減されるのか不安定な状態ですが、現時点では条件が満たされていれば、月収12万円以下なら、誰でも受給できると言われているので、まずは生活保護の申請にとおることが大切です

生活保護の申請に通り受給できるようになれば、例えば神奈川県横浜市などの方は、高齢者夫婦で生活保護保護支給額は月に12万前後です。また横浜市在住の標準3人世帯(33才、29才、4才)の場合、月17万円程度支給されます。さらに、生活保護受給者は、社会保険が控除されるので、実際の生活レベルはもっと上がると考えられます。(神奈川県横浜市生活保護申請はこちらをご参照ください)

神奈川県横浜市などで相次いだ不正受給は問題ですが、収入があっても生活保護の最低基準額に満たないレベルの苦しい生活をしている方は、ひとりで悩まずに生活保護の申請を突破することで受給資格を得、そして生活苦からくる孤独死や自殺者を減らすことが最も大事ではないでしょうか?

横浜市生活保護の申請方法
横浜市生活保護費支給額

衆議院議員選挙 生活保護の公約は?どうなる生活保護制度

明日開かれる12月4日の衆議院議員選挙公示が直前となっていますが、各党は続々と公約を公開し始めています。生活保護制度はどうなるのか?と生活保護受給者や、これから生活保護を考えている方などは、大変不安な日々を過ごしているでしょう。

そこで、今回は、公開された政党の生活保護に関する公約(準備段階のもの含む)をご紹介します。

まず、自民党(自由民主党)は、不正受給へ厳格に対処し、高齢者も含め就労困難者と就労可能者に対しては別途の仕組みを検討するとしています。生活保護費の給付水準10%削減を目指し、現物給付も。「生活保護の手当てより仕事」という公約にまとまっています。

日本維新の会は、低所得世帯との不公平を是正し、自民党と同様に現物給付化。また、医療扶助の自己負担制を導入し、現役世代に対しては自立支援策の実践の義務化を挙げています。負の所得税・ベーシック・インカム的考え方を導入するとの考えのようです。しかし、ベーシックインカムそのものの導入ではなく「資産・所得制限のある年金制度」と「現物支給中心の生活保護」を導入するとしています。

みんなの党は、基礎年金・生活保護を統合し、「ミニマム・インカム」制度にするとのこと(ベーシックインカムとは異なり、全国民に無条件で現金を支給することは記載なし)。また、長期失業者には職業訓練・生活支援手当・医療保険負担低減・住宅確保を挙げています。

これまでの民主党政権では生活保護受給者は2割増の約213万人に達しましたが、今回の衆院選の公約で、民主党は「格差是正」を明記しています。若者雇用を促進し、環境や介護などの分野で2020年までに400万人以上の雇用を創出することを打ち出しています。これに対し自民党は、ハローワークの機能を強化し、若者や女性、高齢者の就労支援を積極的に進めると訴えています。他の各党も雇用重視を公約に盛り込んでいます。

生活保護に関する以外の問題でも、「就労支援の強化」はどの政党でも重視され、それが実現すれば、失業者や生活保護受給者の増加という大きな流れを食い止めることができるのではないかと考えられていますが、格差にあえぐ方たちや、生活保護受給者の方たちに、どこまでアピールできるかは不透明だという意見も。

横浜市 低所得世帯応援。来年から家賃補助。母子家庭生活保護率の減少につながるか?

生活保護世帯の中でも母子家庭世帯が増加しています。厚生労働省の「全国母子世帯等調査」でも1人親世帯の低所得による厳しい暮らしが浮き彫りに。

そんな中、神奈川県横浜市では、低所得の子育て世帯に向けた賃貸住宅100戸を認定して仲介し、最大4万円の家賃を補助する事業を始めるとのことです。来年1月から募集を始め、3月の入居を予定しています。

横浜市内在住または横浜市在勤の小学校卒業前の子どもがいる世帯で、世帯月収21万円以下が対象です。小児科や小学校、公園などに比較的近い民間の賃貸物件100戸を選んで認定し、仲介するので母子家庭の方にとっても安心。最長6年間、収入に応じて家賃の25~40%(上限4万円)を補助するそうです。

低所得の母子家庭の世帯で生活保護を受給出来なかったり、生活保護を申請する前にこの横浜市の家賃補助事業を利用できれば、横浜市の生活保護の母子世帯の受給率の減少につながるでしょう。

神奈川県横浜市住宅整備課によると、小さな子どもがいるという理由で、賃貸住宅への入居を拒否されるケースは多く、横浜市の市営住宅への入居も、一人親世帯で約32倍、未就学児がいる世帯で約28倍と、入居が難しい状態だそうです。詳しい問い合わせは横浜市住宅整備課(045-671-4121)へ。

近年増え続ける生活保護の現状を見ると、近年の厳しい経済・雇用情勢の下で、1995(平成7)年以降急激に増加し、2003(平成15)年度には生活保護受給世帯数94万1千世帯、生活保護受給者数134万4千人、生活保護率10.5%となりました。
さらに、今年6月には、生活保護受給世帯数が211万人超えという現状です。

世帯類型別では、高齢化の影響により高齢者世帯、特に高齢者単身世帯が増加していますが、上でも述べていますが、母子世帯やその他世帯(50歳代単身者等)についても増加。

母子家庭の生活保護受給率
厚生労働省の「全国母子世帯等調査」では、母子家庭の14%、父子家庭の8%が生活保護を受給しており、その背景には雇用情勢の悪化や非正規雇用の増加などが打撃になっているとのことです。
また、母子家庭の生活保護の受給率は、2006年の(9.6%)と比べて、1.5倍になっています。父子家庭は調査が始まって2回目ということもあり、対象者数が少ないため単純比較は難しいということでした。(全国母子世帯等調査はほぼ5年に1度)

母子家庭の就業状況
一人親家庭の就業状況も2006年の全国母子世帯等調査と比べて悪化しています。「働いている」割合は、母子家庭で4ポイント減って81%、父子家庭で6ポイント減の91%となっています。
働いている場合でも、母子家庭は「パート・アルバイト」が、前回から4ポイント増えて47%になる一方、正社員は3ポイント減の39%です。父子家庭も正社員は前回の72%から67%に減っています。

母子家庭の年収状況
母子家庭の10年の平均年収は291万円で、子どもがいる全家庭の平均年収の44%程度。父子家庭の平均年収は455万円で、69%にとどまっています。母子家庭の6割は、父親からの養育費を一度も受け取ったことがなかったとのことです。

また、生活保護を受給している母子家庭の母親の親も生活保護を受給していた世帯は、2007年の調査で41%。その中でも、母親が強いストレスによる精神疾患を患っている母子世帯は約3割に上っています。ほとんどがDV(配偶者間暴力)、児童虐待などの貧困要因を複数抱えているとも判明。
生活保護が親から子へ引き継がれる世代間連鎖は約3割。「健康面での生活支援も必要だ」と指摘されています。

母子家庭の貧困は、所得の低さだけではなく、そういった複合的な不利の連鎖を伴って現れることが少なくありません。特に生活保護制度は、このような多くの問題を抱えて働けない時に、初めて対応するといった実態もあります。生活保護の実施に当たっては、児童相談所や保健所、病院、司法関係者などとの連携が不可欠であるという意見も。

横浜市生活保護の申請方法
横浜市生活保護支給額

生活保護費 食費の現物給付問題。生活保護受給者は否定的

総選挙に向けて「生活保護費の見直し案」が広がりつつあります。
日本未来の党が結成され、中学卒業までの子どもに年間31万2千円の手当を支給、一部を「子育て応援券」とし家庭に配布することを、12月2日に正式に発表するとしています。卒原発意外にも、そんな女性や子どもが生活しやすい社会の構築を目指す日本未来の党ですが、生活保護費見直しに対してどう考えるのか具体的に発表にはなっていないようです。生活保護費見直し案では今のところ、特に、自民党と日本維新の会が導入を明記している「生活保護費の現物支給」が問題となっています。

自民党は、時期衆議院選挙の公約で、生活保護費への対策として「食費代わりに食事用回数券の配布を想定し、現物給付の導入をマニフェスト(政権公約)に盛り込む見通し。」と報じられています。

生活保護受給者の食事分として、最低限のものを支給しているため、生活保護費の削減が可能になるという発想で、支給される生活保護費の1割カットや不正受給への厳しい対処も含め、政権公約の「完成版」に明記されるようです。

自民党の「生活保護に関するプロジェクトチーム」座長の世耕弘成参院議員は「現物給付は生活保護受給者の心理的なハードルになり、生活保護からも自立を促すことになり、貧困ビジネス減少にもつながる」と強調しています。

また、橋下徹大阪市長が代表に就く「日本維新の会」も新党の綱領に生活保護費の現物給付の導入を明記。生活保護受給者の間では「安心して暮らせなくなるのでは」との不安感が広がり、厚生労働省も「差別を助長する恐れがある」と難色を示しています。

一方、民主党には現時点で、生活保護費の現物給付を主張する動きは見られません。

結局、食費も医療費同様、現物支給が実現になれば、生活保護費に占める食費の割合を減らすことを可能にさせるという狙いです。
しかし、現物支給(食事用回数券)に関して、自治体職員は「現物給付をしても年金や給料をこっそり受け取る不正受給は防げず、生活保護受給者にもメリットはない」と言い切っているようです。
さらに、厚生労働省幹部は「食券は転売された場合、不正受給の温床となり、食事用回数券の導入にも多大なコストと時間がかかりそうだ」という意見もあり、現物給付には否定的です。

 

生活保護問題対策全国会議は6月、他団体と共に「現物給付などの改革案を批判する公開質問状」を自民党側に提出したが、回答はないとのこと。事務局長の小久保哲郎弁護士は「弱い者をいじめて人気を取ろうとの意図を感じる。本当に必要なのは社会保障の底上げでは」と疑問を呈しています。

日本未来の党が掲げる、「活子ども・女性」「守暮らし」を実現するためにも、生活保護が基軸となり、下支えする社会の構築が大切であるとの意見も。日本未来の党は、生活保護費問題にどのような具体策を出してくるのか期待したいところです。

横浜市 生活保護関連224万円未払い

横浜市は11月20日、各区における生活保護に関わる支払い224万円の未払いがあったことを発表しました。

横浜市の未払いとは、生活保護受給者が利用した病院や葬儀社など計33事業者に対し、診断書作成料や葬儀料など約224万円の未払い。
横浜市の中でも、未払いがあったのは、鶴見区、南区、港南区、磯子区、港北区、青葉区、泉区の8区。

生活保護受給者が利用できるもの(扶助)について詳しくはこちらをご参照ください。

今年6月27日には、横浜市中区が2008年10月から2012年3月までの間、病院や葬儀社計9事業者に対し、区が支払うべき費用約27万円分の事務が未処理のままだった、と発表がありました。
横浜市中区保護課によると、6月20日に病院から、生活保護者の診断書作成料など5件が未払いであると指摘があり、同課が調査したところ、区が病院などに支払うべき費用の事務の未処理が少なくとも15件もあることが分かったとのことです。1社当たりの未払いは2千~約16万8千円分だそうです。

上記の横浜市中区での、生活保護関連未払いが発覚したことから、過去5年間にさかのぼって調査したところ、2007年9月から2012年2月までの間に、今回発表になった約224万円の未払いが確認されたという状況です。

6月の生活保護関連の未払いにおいては、地区担当のケースワーカーが請求書をファイルにとじ込み、そのまま処理を忘れてしまっていたのが原因。
それ以前の同様の未払いの場合も、職員が業者から督促を受けていたにもかかわらず、支払いを先送りにしていたり、義務付けされている書類ではなく口頭で行うといった、適正な事務手続きをしていなかったのが原因としています。

それらの生活保護に関連する手続きミスを踏まえて、横浜市は、生活保護関連の未払い状態にあった当該事業者に謝罪し、支払い手続きを進める方針で、横浜市の健康福祉局は「事業者からの請求書を記録する担当者を設けるなどして、再発防止に努めたい」と話しているとのことです。

日本維新の会はどう考えている? 生活保護まとめ

先日、自民党の生活保護に対する考えをまとめた記事を書きましたが、今回は日本維新の会は生活保護をどう考えているのか?を見ていきたいと思います。

■生活保護に関わる基本理念として・・

・真の弱者を徹底的に支援
・自立する個人を増やすことにより支える側を増やす
・個人のチャレンジを促進し、切磋琢磨をサポートする社会保障
とこのように掲げられています。

■そこで日本維新の会が目指す国家像とは・・

日本維新の会は、個人の自由な選択と多様な価値観を認め合う社会を前提に、「自立する個人」、「自立する地域」、「自立する国家」の実現を目指します。自立する地域が、自立する国家を支え、自立する個人を育てます。

国からの上意下達ではなく、地域や個人の創意工夫によって社会全体を活性化し、グローバルな競争力を持つ経済を再構築するためには、国民全員に開かれた機会の平等を出発点として自助、共助、公助の範囲と役割を明確にすること、公助から既得権を排し真の弱者支援に徹すること、そして現役世代(勤労者世代)を元気にし、世代間の協力関係を再構築することが必要です。(日本維新の会綱領の一部より抜粋)

日本維新の会が掲げる国家像、つまり「小さな政府」を目指し、社会保障も充実させ、セーフティーネットをきちんと構築した上で、自由競争による切磋琢磨のもと、経済全体を強くしていく考え方です。

その中でも障害者のようなサポートがどうしても必要な方には手厚くしていき、その財源を確保していくために、生活保護制度には「選択と集中」が必要としています。

生活保護費の給付を手厚くするような政策は一見市民に優しく見えますが、生活保護費(社会保障費)の増大は国の財政を大きく圧迫する要因です。次世代の子どもたちのことを思うと、今から財政再建も考えていかねばならないと。

生活保護費の増大を防ぐ方法として、本当は働けるのに勤労の意欲を失ってしまっている層には一日も早く生活保護から自立できるように導いていく仕組みに変えていくとしています。

■日本維新の会の生活保護の具体策をまとめると・・

・高齢者・障がい者サポートと現役世代サポートの区分け
・現物支給中心の生活保護費
・支給基準の見直し
・現役世代は就労支援を含む自立支援策の実践の義務化
・有期制(一定期間で再審査)
・医療扶助の自己負担制の導入
・被保護者を担当する登録医制度
・受給認定は国の責任で

大きくわけて、重病人なども含め「働くことが(身体的に)出来ない」のか、失業などで「(本当は働けるのに)働くことが出来ない」のかきちんと区別し、「(生活保護のほうが楽だから)働く気がおきない」といった意識はなくしていき、働く能力のある現役世代に関しては、就職支援などを強化します。

貧困ビジネスの原因を絶つために、現物支給中心の生活保護費にし、本来の最低限度の生活を守るためにも中抜きされにくい生活保護制度に改めることが必要であり、また、まじめに保険料を納めた国民年金の受給額より多い生活保護費というのもおかしな話であるため、社会保障費全体の見直しが必要があると考えています。

また、不正受給対策としても、行政に調査権限を与えたり、生活保護受給者と結託して高額な治療をする心無い病院や医師を防止するために医師を登録制にすることで透明性のある生活保護制度にし、さらに、不正行為で生活保護の認定を取り消されても他の自治体で再申請されてしまうことへの防止策として国の責任で生活保護の認定をしたほうが良いというように考えられています。

自民党、「生活保護見直し」政策まとめ

自民党の生活保護の見直しに対する方針をまとめました。

「手当より仕事」を基本とした生活保護の見直し

自民党は、民主党政権下で、生活保護費は25%以上膨らんでいるとしています。
そこで自民党は、自助・自立を基本に生活保護を見直し、制度の信頼を取り戻す方針です。

■自民党の「生活保護制度」見直しの具体策

  • 1. 生活保護給付水準の10%引き下げ
  • 2. 医療費扶助を大幅に抑制
  • 3. 現金給付から現物給付へ
  • 4. 働ける層(稼働層)の自立支援、公的機関での採用等の就労支援
  • 5. ケースワーカー業務の改善、調査権限の強化で不正受給を防止
  • 6. 中期的な取り組み(就労可能者の区分対応と貧困の連鎖の防止)

最低賃金で働いた場合の勤労者の賃金水準や年金とのバランスに配慮して、生活保護給付水準を10%引き下げ、医療費においても自己負担導入や医療機関の指定、重複診療の厳格なチェック、ジェネリック薬の使用義務化などで医療費扶助を大幅に抑制します。

また、食費や被服費などの生活扶助(食料回数券等)、住宅扶助、教育扶助等の現物給付を推進します。現金給付にするか現物給付にするかの判断の権限を自治体に付与し、働くことが可能な受給者(稼働層)に自立支援プログラムを提供し、就労の指導強化、義務化を進めます。
同時に、自立時資金のための「凍結貯蓄」を制度化し、働く意慾を高め、国や自治体等も単純事務作業、清掃等の働く場を生活保護者に提供します。
また、生活保護に至る前段階の「自立支援プログラム」を充実させ、個別の状況に応じた支援を行うとしています。

不正受給や生活保護の長期化への問題では、生活保護者を支援するケースワーカーの業務が繁忙化も原因のひとつとし、ケースワーカーを民間に委託することで、ケースワーカーを稼働層支援に集中させることを進める方針です。

中期的な取り組みとしては、就労が困難な高齢者・障害者と就労可能者を区分し、就労可能者には就職あっせんを拒否した場合の給付減額の仕組みや、就労可能者は3年程度で給付を打ち切る「有期制」の導入等も検討します。
一方、生活保護世帯の子どもの教育や家庭環境等を改善し、貧困の連鎖を防止していきます。

揺れ動く生活保護 現物支給に? 自民党法改正案

11月19日、自民党の生活保護プロジェクトチーム(世耕弘成座長)が生活保護法改正案の骨子をまとめました。

その内容は、活保護受給者への食費など、地方自治体が「現金給付」か「現物給付」かを選択できる制度の導入が柱となっています。また、ジェネリック医薬品(後発薬)の原則使用も医師に求めており、20日の会合で提示しています。

生活保護は医療扶助(医療費)などを除き原則、現金で給付しています。しかし、生活保護費を搾取する貧困ビジネスが社会問題となっており、現物給付活用を盛り込んだ内容になっています。

生活保護の現物給付の対象となるものは、食費や衣服代に充てる生活扶助などです。
具体的には生活保護受給者に現金の代わりに、食品と交換できるクーポン券を配ったり、電子マネーなどの形で生活費を支給し、使途を限定したりすることを検討しているとのことです。
食品などを直接配るわけではないですが、使い道を限定したクーポン券などは現物給付の一種とされるとしています。

※生活扶助基準額の例
憲法で保障する最低限度の暮らしができる「最低生活費」の水準。厚労相の告示で定められています。例えば、食費、被服費、光熱費などの日常生活費をまかなう生活扶助が基本です。
現段階では、標準3人世帯(33歳、29歳、4歳)の場合、最も高いランクの神奈川県横浜市では172,170円。地方郡部等は、135,680円が現金で支給されています。その他、必要に応じて、住宅扶助、医療扶助等が支給されるという仕組みです。

しかし、生活保護対象者への「新仕分け」が17日実施され、生活費などの現行保護額については、低所得者の生活水準などを考慮しながら「生活保護受給者の就労意欲をそがない水準にすべきだ」と指摘しています。

また、過剰に診療することを抑制する対策として、医学的に困難な事情がある場合を除いて、ジェネリック医薬品(後発薬)の原則使用を求める提言(新仕分け)は、20日の閣議後、その評価結果は「さまざまな意見あり、一般的にも義務化されていないので、そこはこれからの検討課題」と慎重な姿勢を見せています(三井厚生労働相)。
さらに、以前から議論されていた、全額公費負担となっている生活保護受給者への医療費について、自己負担の導入も論点であり、生活保護制度の見直しは、衆院選の争点の一つとなっています。

厚生労働省によると、今年7月の生活保護受給者は前月比9192人増の212万4669人で過去最多を更新、生活保護受給者は増加の一途をたどっています。
既に神奈川県横浜市などでは、就労支援の強化が実施されていますが、同省はさらなる積極的な就労支援で生活保護からの自立につなげるための「生活支援戦略」を年内に策定する方針とのことです。

 

生活保護見直しの動きには慎重さ必要 不正受給等防止対策 横浜市他・・・

全国的に生活保護の不正受給が社会問題となっていますが、その中でも不正受給が目立つ神奈川県では全県初となる、行政と警察が連携した「生活保護不正受給等防止対策連絡会」を今年6月に発足しています。
行政と警察との連携により、神奈川県の生活保護不正受給に対応していく狙いです。生活保護制度の健全化に向け、不正受給の悪質なケースや効果的な対応などについて、行政と警察が情報を共有し、自治体の不正受給等の対策に反映させるとしています。

まず第一段階として相次ぐ生活保護の不正受給を無くすために、行政と警察の連携を強化し、神奈川県内19市中5市(横浜、川崎、大和、横須賀、藤沢)で警察官OBを採用し、さらに複数の市でも検討されています。

生活保護を所管する部署に警察官OBを配置しているのは、横浜、川崎、大和の3市ですが、特に横浜市はことし4月から4人を採用し、横浜市の各区の要請に応じて彼らが出向くといった態勢を取っています。
生活保護窓口での不当な要求の対応のほか、悪質な不正受給が発覚した場合に告発できるか相談するというかたちです。

横須賀、藤沢においては、他部署も含めた窓口での混乱防止対策となっていますが、生活保護の不正受給の相談にも活用するとのことです。藤沢市では、不正受給を告発につなげたケースがあり、「手口は巧妙化しており、警察官OBの知識や経験は役立つ」と話しています。

神奈川県生活援護課によると、2010年度の生活保護の不正受給は1929件であり、前年度から比べると572件も増加しており、金額にすると29.7%増の約10億7500万円にも上っています。

ただ、不正受給の中には働いて得た賃金や年金などの収入を適切に申告しなかったというケースが多く、その割合は生活保護費の総額2433億円の0.44%にとどまるとしています。
神奈川県の生活保護受給者や生活保護支援者からは、「警察による監視強化と受け止められ、生活保護の申請を思いとどまり、孤独死が増えるのでは」と懸念する声も出ています。

生活保護受給者である50代の女性は、「自分も疑われるのでは」という不安を抱き、「生活保護のケースワーカーの調査で十分」と疑問を投げかけているそうです。このほかにも正当に生活保護を受給している方にとっては、警察に頼る姿勢に賛成意見は微妙なところです。

生活保護の不正受給はあってはならないことですが、高収入の人気芸人の親族が受給していたことによって拍車をかけるかたちとなり、生活保護の負の側面だけを目立つ状態にしているとも言えます。神奈川県も含め、全県の生活保護費総額からみても不正受給の割合は極めて低いのが実情であり、わずかな不心得者のために生活保護制度が厳しくなり、本当に苦しい生活をしいられ最後の手段として生活保護を求めている方まで、締め出されてはなりません。

横浜市などのように不正受給を厳しく取り締まることは必要ですが、生活保護制度を見直す動きには、正当に生活保護を受けている方や弱者などへの配慮を十分にした上で、慎重さが要求されます。

生活保護は、「健康で文化的な最低限度の生活」を送る為のセーフティーネットであるので、本当に生活に困窮している方が生活保護から締め出され孤独死につながるような結果になってななりません。

正直に収入などを申告し生活保護を受給している方や、これから生活保護を必要とする方を守れない生活保護制度になっては本末転倒になってしまうので、横浜市などの警察官OBによる不正受給対応は慎重に行うとともに、弱者を守れるような配慮もそれ以上にしていかなければならないでしょう。

生活保護状況 栃木県では去年過去最多。就労支援対策で歯止めが掛かるか!

全国で生活保護を受給している人数は2011年7月時点では、厚生労働省によると205万495人という過去最多を更新しています。それまで1951年度(月平均)の204万6646人が最も多かったのですが、長引く不況の影響で60年ぶりの生活保護者数の記録の更新となっています。

栃木県でも生活保護を実際に受給している人数は2010年では1万9075人、2011年では1万9787人と確実に増加しており、2万人に迫る勢いです。生活保護世帯数は1万4638世帯と過去最多を更新し、栃木県医事厚生課は「東日本大震災以降、景気が不透明になり、生活保護受給者数の増加に歯止めが掛からない状況が続いている」と懸念。

栃木県の生活保護受給者数は、戦後の混乱が続いた51年度の3万1932人が最多となっています。
しかしその後、工業団地の造成などによって就労環境にも恵まれ、栃木においては生活保護を受給する方が少ない県だったそうです。1993年度には5899人にまで生活保護者数が減りました。

それが一転して、生活保護者数5899人という数字を底に栃木でも増加し始め、2008年秋のリーマンショックを機に失業者による生活保護の受給で一気に増加しました。それ以来、栃木県でも右肩上がりの状態で生活保護受給者数は推移してきています。

そして、栃木県の生活保護世帯数は1952年度の1万689世帯が最多でしたが、2009年度に1万2044世帯となり57年ぶりに最多を更新しました。更に毎年増加し続け2011年度にはついに1万4000台後半という生活保護世帯数に。

栃木県内の生活保護を受けている世帯を類型別で見ると、最も多いのはやはり「高齢者世帯」で5774世帯、続いて「傷病者世帯」3912世帯、次いで働き盛りの年齢層である世帯が2469世帯となっています。

栃木県も含め、日本全国においても言えることですが、高齢化に加え、東日本大震災や欧州経済危機などの影響で、現在も景気が不透明です。「働ける人が職を失い、生活保護を受ける人が増えている。雇用環境は不安定な状況が続いており、生活保護受給者数、世帯数は増加傾向が見込まれる」と言われています。

東日本大震災や福島第一原発事故によって、生活保護を受給し始めた世帯は全国で939世帯となっており、特に栃木ではそのうち12世帯が隣の県である福島県からの避難者らが多くを占めており、栃木県での生活保護世帯数の増加の原因のひとつになっています。

栃木県の中でも生活保護費受給額で最上位をしめるのは、宇都宮市で1278万4025円です。2位は日光市で145万3898円となっています。
宇都宮市の人口は、51万1739人であり、栃木県内でも一番多いのですが、受給される生活保護費の基準も県内の他の地域より高いため、より多くの生活保護費が使われています。

その生活保護受給者に支給されている地方自治体管轄である保護費の財源は、大部分(およそ4分の3)が地方自治体に対して交付される国庫負担金となっているため、栃木県の中だけの問題ではなく、つまり日本国民全体で全国の生活保護費を養っているのです。

ですから、生活保護受給者数をこれ以上増加させないためにも、それぞれの自治体で生活保護受給者数を減らす取り組みが予定されていますが、栃木県宇都宮市では民間業者との契約のもと生活保護受給者の就労支援対策が行われているので、一刻も早く働ける年齢層の世帯の方の就職を増やすことにつなげて欲しいと思います。結果、増加し続ける生活保護世帯数に歯止めをかけられることを期待します。