増える生活保護受給者と広がる支援|大分県の「宿泊型福祉施設」

厚生労働省の調査によると、今年9月に生活保護を受けた世帯は162万9598世帯で、前の月より874世帯増えて、過去最多となりました。

その結果を受けて、厚生労働省は「高齢者の単身世帯が増える中、年金だけでは生活できない人も増えている。生活保護を受ける高齢者世帯は今後とも増加するとみられる」と分析しています。

厚生労働省調査における「48都道府県トップ10と最下位」の県と世帯数

全国の生活保護受給者は年々増加の一途をたどっていますが、その中でもトップ10に入る都道府県をまとめてみました。

厚生労働省の調査ではこのような結果になっています。

厚生労働省調査「生活保護受給世帯数多い順:全国」
1位 東京都…223万205世帯
2位 大阪…56万457世帯
3位 埼玉…50万088世帯
4位 北海道…50万039世帯
5位 福岡…39万582世帯
6位 千葉…37万363世帯
7位 神奈川県…25万842世帯
8位 茨城県…20万548世帯
9位 愛知県…17万591世帯
10位 沖縄県…17万445世帯

最下位…富山県 1509世帯


ピックアップ!~愛知県名古屋市~
愛知県名古屋市では、平成25年8月から3年程度かけて段階的に生活保護基準が見直されていて、平成27年4月に3年目の見直しが行われました。
中でも住宅扶助では世帯構成による住宅のニーズに差があることも踏まえ、柔軟な選択ができるよう留意して比率の設定がされました。
これにより、今まで名古屋市では同じだった2人世帯と6人世帯の基準額に差が出るようになりました。

今までの上限額…2人世帯 4万7千円 / 6人世帯 4万7千円
見直し後の上限額…2人世帯 4万4千円 / 6人世帯 5万2千円

大分県初の取り組み「宿泊型福祉施設」の開設

厚生労働省調査によると全国で22番目に生活保護受給者が多いとされる大分県では、県内初の取り組みとして「宿泊型福祉施設けいせんプラザ」を開設しました。

これは、障害者支援施設などを運営する社会福祉法人大分県社会福祉事業団が開設したもので、ここでは病気や失業などに伴う生活困窮者や生活保護受給者、障害者の相談業務を行うとの事です。


プラザは3階建てで、2~3階にトイレ付8畳の宿泊部屋が計8室あり、両階には共同のお風呂とキッチンを設置し、食事はけいせん寮が提供しています。

利用料金は1泊3食で2500円、それぞれの状況に応じて入居できる期間も異なりますが、原則は最長で6か月まで宿泊できます。


年々増える生活保護受給者についてけいせんプラザの津島伸一郎総括は「いろんな立場にある方々の生活を前進させる施設にしていきたい」とこれからの意気込みを語っています。

増える生活保護受給世帯、広がる支援

年々増える生活保護受給世帯。

愛知県や大分県のように増える生活保護受給者に対する取り組みをしている県も多く、生活保護受給世帯の自立への間口は広がっているといえます。

「第2のセーフティネット」として施行された生活困窮者自立支援法を受け、自立支援相談窓口の設置など全国各市で様々な活動が見られます。

今後も生活困窮者や生活保護受給世帯が希望を持って自立へ向かう事の出来る支援の輪が広がってゆく社会が望まれます。

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広がる支援「子ども食堂」で空腹満たす貧困世帯の子供達

母子家庭や生活保護世帯など、経済的な貧困世帯の子供達は、育ち盛りにもかかわらず、実に様々な理由で十分な食事が取れないケースが多いのをご存じでしょうか?

そんな子供達のために低料金でお腹いっぱい食べられる「子ども食堂」という支援がいま、全国に広がっています。

「子ども食堂」とは?支援の内容と貧困の深刻さ

今回ご紹介するのは福岡県久留米市の「くるめこども食堂」です。

同市では、子供の2割(42万人)が貧困、ひとり親世帯の3割が経済的理由で食料を買えなかった経験があるという深刻な調査結果も出ています。

そんな子供達にお腹いっぱい食べてもらいたい!その想いから商店街のイベントスペースに開設され、毎月最終日曜日にカレーライスを提供しています。

子供達の負担は300円。絵を描いたら100円引きでおかわりも自由なのだそう。

1日で40人の子供に100皿を提供する日もあるとの事です。

運営する河野大助さんが語るのは、昔ながらの大人の必要性。「自分が子供の頃は近所のおっちゃん、おばちゃんが何も聞かずに世話を焼いてくれた。そんな大人が必要」という想いです。

子供達にあえて事情を聞かない、気軽に立ち寄って悩みを相談できる居場所づくりも兼ねてカレーライスを提供し続けています。

福島県いわき市でも深刻化|子供の貧困と事例

子供の貧困が深刻化しているのは久留米市だけではありません。

福島県いわき市でも子どもの貧困率が1985年の10.9%から2012年には16.3%になるなど、子供の貧困は増える一方、特にひとり親世帯の貧困率は54.6%にものぼります。

中にはこんな心が痛くなる事例も市には報告されています。

  1. 医療費がなく、虫歯になっても治療ができずに痛みを我慢。中学生で総入れ歯になった子供。
  2. 保育園で発熱。親を呼ぼうとする保育士に「呼ばないで。」と頼む子供。
  3. 夏休みに入り給食がなくなり、休み明け10キロも痩せていた子供。

特に、保育園の子供の例は、自分が熱を出すと親が仕事を休んだり大変な思いをすると小さいながらも理解しなくてはならないほど貧困問題の重大さを浮き彫りにしたケースといえます。

また、同市では震災後、相双地区から避難されてきた子供達の経済的な貧困も加わっているので、早急な支援や対策が求められています。

そんな中、ある市営住宅の管理人をしている方が「母子家庭の生活の厳しさがわかる。朝の通学安全の旗持ちの時、ポケットにおにぎりを入れておき、『ご飯食べたか』と聞き、首を横にふると渡すんだ。」と語っています。ちょっと温かい支援のお話しでした。

自費や寄付など善意で運営「子ども食堂」の役割り

子ども食堂に通ってくる子供達は様々な重たい事情を抱えています。

母子家庭であったり、生活保護を受けていたり、時にはネグレスト(育児放棄)や虐待の被害を受けていたり。

自費や少ない寄付だけでも運営を続けるのは、そんな子供達の問題を解決、または適切な支援を行うためです。

子供がお腹いっぱいでホッとできる居場所を作ることが重要、そうでなければ子供の本音も聞き出せないと、運営する方々は強い意志で「子ども食堂」を続けています。

真の支援はそんな気持ちから始まるのかもしれません。

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生活保護受給者の顔が見える季刊雑誌「はるまち」

生活保護受給者が実名・顔出しで登場する少し珍しい雑誌があるのをご存知ですか?

その名も「はるまち」。

生活保護に対する良くないイメージをなくしたい。そんな想いで作られている季刊雑誌です。

社会活動家 湯浅誠さんが語る生活保護の現状と偏見

「あまり評判が良くない生活保護だが、それでも215万人の「命」をつないでいる。」

社会活動家であり雑誌発行の中心でもある湯浅さんが語った言葉です。

今、生活保護を受けている世帯は今年7月の時点で過去最多を記録、厚生労働省の調べでは162万8905世帯で、統計を取り始めた1951年以降最も多くなっている状況です。

その中の14%が子どもです。

生活保護と聞くと、不正受給などの報道からあまり良くないイメージを持っている方もいるかもしれません。

しかし、全体に占める不正受給の割合はわずか1.8%にしかすぎず、ほとんどの方がやむを得ない事情で生活保護を利用している事を知って欲しいと湯浅さんは語ります。

「はるまち」はそんな良くないイメージを変えるための一つの手段だといいます。

どんな雑誌なの?生活保護受給者の顔が見える「はるまち」

雑誌「はるまち」は、書籍流通には乗っていません。

手売りとカフェなどの委託販売が中心の1冊200円(税込)の雑誌ですが、持ち出しも多いといいます。

内容としては、生活保護受給者の方が雑誌の表紙を飾り巻頭で普段の生活ぶりをインタビューに答えるといったものです。

生活保護に対する理解を深める情報誌として、季刊で10号までの刊行を目指しています。

生活保護を知る事で社会の見え方が変わる事を願う雑誌

世間の生活保護受給者を取り巻く環境から、生活保護受給者であることを自ら発信するという発想は当事者にとってそう簡単に思いつくものではありません。

しかし、雑誌の中で顔を出し、実際の生活ぶりを伝える、そうする事で生活保護家庭に育った人のありのままの姿を伝える事ができ、当事者も孤独の頑張りや我慢から解放されるそうです。

特別楽をしているわけでもなく、いつもいつも暗く過ごしているわけでもない、誰でも知っている「普通」の日常がそこにはあります。

湯浅さんは「生活保護を利用している人たちの生活を知らないことから生まれる偏見は、知る事によって少しでも解消されるはずです。」と雑誌創刊に対する想いを語っています。

「はるまち」をきっかけに生活保護は身近なものであるという少し違った社会の見え方が浸透する事を願った湯浅さんの取り組みでした。

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全国から「助けて!」の声|全国一斉生活保護110番開催される

皆さんは「全国一斉生活保護110番」という言葉をご存知でしょうか?

これは、全国青年司法書士協議会が全国14か所で電話での無料相談を行っているもので、今年で12年目の開催となりました。

おととしから続く生活保護費の引き下げや消費税増税の影響で大打撃を受けている生活保護受給者から続々と相談の電話が寄せられたそうです。

11年連続開催で合計537件の相談|生活保護受給者の悲痛な声

無料で相談できる生活保護110番には、去年までの11年連続の開催で合計537件の相談が寄せられています。

相談内容はどれも生活保護受給者の生活に関する切実なものばかり。

次いで多かったのは、水際作戦などによる申請の困難さでありました。

生活保護110番に寄せられた現場の声
1.消費税の増税の負担が重く、生活がさらに苦しくなった。
2.これでは暮らしていけない。
3.食費を削って生活しているが、これ以上削れるところがない。
4.これからの生活が不安だ。

現場の声を行政や社会へ届けたい「生活保護110番の願い」

同協議会では、住宅扶助基準の引き下げや、生活困窮者自立支援制度の現場運用が見えてくるこの時期(4月・9月)に全国一斉生活保護110番を実施しています。

実施の目的としては、貧困に陥り、困窮する市民への支援を行う事や、生活保護などの福祉諸施策が多くの方へ正しく認知され、利用しやすいものに改善されるよう、声を挙げていく事としています。


また、生活保護110番以外にも注目したい活動があります。

福島県会津若松市の「子ども食堂」という活動ですが、全国的である生活保護110番に対し、地域密着型の生活保護受給者支援活動で、より困窮者へ密着した支援活動と言えます。

生活困窮世帯の子供の学習と食を支える子供食堂
福島県会津若松市のNPO法人「寺子屋方丈舎」の活動で、本来の目的は不登校児童の学習支援としています。
しかし、生活保護世帯などの経済的に苦しい環境に置かれている子供達も多く、満足に食事をとれないケースもあるため、学習がてら夕食を食べさせているものです。
原則、毎週水曜日の午後4時から開催となっています。

全国一斉生活保護110番や子ども食堂のような生活保護受給者もしくは生活困窮者への支援の輪は全国レベルから地域レベルまで浸透しつつあります。

これにより、生活に関して多くの不安を抱えている市民の現場の声を行政や社会へ届け、最後のセーフティネットとされる生活保護制度の劣化を食い止められるような社会へ向かっていくことが同協議会・NPO法人、ボランティアの方それぞれに共通する願いなのではないでしょうか?


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全国平均18円増!働く人々の生活支える最低賃金の引き上げ

「働けど働けど我が暮らし楽にならず」ワーキングプア問題は今や国が力を入れる問題の一つとなっています。

それを受け、今年10月に最低賃金が引き上げられるのをご存知でしょうか?

仕事を持つ方にとっては、見逃せないニュースです。

全国平均18円|最低賃金引き上げのもたらす効果とは?

中央最低賃金審議会の小委員会が2015年度の地域最低賃金の改定で、全国平均で時給18円増し(地域によって16円~19円の幅あり)とする目安をまとめました。

この決定で何が変わるのでしょうか?

最低賃金引き上げによる変化とは?
1.ワーキングプアの減少
2.非正規で働く人の生活や待遇の改善
3.最低賃金で働く人の賃金より生活保護受給額が上回る逆転現象の解決

引き上げ後も変わらない最低賃金の地域差

賃金の引き上げは喜ばしい事ですが、ここでも地域によって差が生じている事が気がかりとなります。

18円引き上げ後、最も高い東京都は907円、最も低い熊本県などは693円で、その差は214円にものぼります。

賃金の地域差は今後の課題と言えるのではないでしょうか?

【各地域の現在の最低賃金(引き上げの目安)】
・福島県いわき市…689円(16円増)…引き上げ後は705円
・宮城県仙台市…710円(16円増)…引き上げ後は726円
・愛知県名古屋市…800円(19円増)…引き上げ後は819円

10月に一斉適用|働く人々の生活を支える最低基準

都道府県ごとに決まっている賃金の最低基準は働く人全てに適用され、引上げとなるとパートやアルバイトなど非正規で働く人へ多大な影響を与えます。

生活保護でよく使われる「健康で文化的な生活」は働く人にとっても同じ事が言えるでしょう。

賃金には働く人の健康で文化的な生活を支える重要な役割があるのです。

その事を踏まえ、今回の引き上げは働く人々にとって生活の基準を上げるような良い効果がもたらされる事を望みます。


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見つけて欲しい「生活保護を必要とする困窮者」

生活が苦しく家賃を滞納、食べるのもやっとという生活困窮者が孤独死をしている報道が目立ちます。

生活困窮者が、自分は生活保護を受けるには値しないと思い込んでいるのも原因の一つでしょう。

そんな中、滋賀県では民生児童委員の研修会が開かれました。

研修会最大の課題は「生活困窮者を見つけ出す事」

先日開かれた市の生活支援課と社会福祉協議会が主催する研修会には、市内の民生児童委員約100名が参加しました。

生活困窮者の自立支援制度や相談事例などを紹介しながら研修会は進み、働ける世代での生活保護世帯が増えている実態の報告や、「長期失業や低収入、病気などの複合的な要因で生活が困る人たちは地域でも見えにくく、孤立する傾向にある」という問題点も指摘されました。

民生児童委員が挙げる「地域で見つけ出しにくい人」
1.心理的要因…家の外には出たくない、または出られないといった引きこもりの人
2.身体的要因…病気で体調が悪く、歩くのもままならないという人
3.その他の要因…失業している、低収入である人

市ではそういった支援制度のはざまにこぼれ落ちる人に気づき、相談機関につなげてほしいと呼びかけています。

しかし、参加者は「実際に一人暮らしや引きこもりの人など地域で気づけないでいる人もいる。どう掘り起こすかは課題だ」と頭を抱える結果となリました。

他人の目には触れにくい要因を抱えて貧困に苦しんでいる人を見つけてあげられるような場を今後どうやって作っていくか?地域交流を活性化させるための対策など、地域の民生児童委員のさらなる活躍が期待されます。

生活困窮者を生活保護へ導く民生児童委員の役割

孤独死が訪れる前に生活困窮者を見つけ出し、生活保護を知ってもらい貧困から抜け出してもらうために日々活動する民生児童委員の方々の貴重な研修会。

参加者の意識を高めるほか、生活保護制度の認知をもっと広めるために、滋賀県に倣い、三重県や福島県、茨城県など各地で研修会を開いていければ良い結果につながるのではないのでしょうか?

地域、町内、隣近所のコミュニケーションが薄れている現代、民生児童委員を通じて必要な人が必要な分だけ支援制度をもれなく受けられるような対策が望まれます。

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制度運用に懸念の声|困窮者を救う正しい運用とは?

平成27年4月にスタートされた生活困窮者自立支援制度ですが、早くもその運用についての懸念の声が上がっています。

生活困窮者が生活保護に頼らない状況を作り上げる正しい運用とは?

波紋が広がっています。

生活保護の悪循環を断ち切るための意識改革

これまでの生活保護は、いったん対象になってしまうと、自立への道がさらに狭まってしまうという悪循環が課題とされてきました。

新制度の導入は、この悪循環を断ち切り、生活保護の対象になる前の早期就労支援や福祉サービスへとつなげる事を目的としています。

そのためには、今までの待つだけの窓口では支援に限界があり、訪問を重ねて粘り強く働きかけを続けること、生活困窮者の苦境や兆候を見逃さないなど、自治体の職員の意識改革が求められています。

「生活困窮者自立支援制度」目指す方向性の共有と適正な運用が課題

新制度の当面の課題は「目指す方向性が関係者の間できちんと共有され、運用されるかどうか?」に尽きます。

この課題を乗り越えるには、新制度を正しく理解し、活用できる能力と意欲を持った職員の育成や、自治体・受託組織の総合力が鍵となっています。

しかし、茨城県など「県内に事業を委託する団体が少なく、受け皿の確保が難しい」などを理由に、事業の実施が遅れているところもあり、自治体によっては制度を実施できない部分も多く、適正に運用されるにはまだまだ課題は多いようです。

また、「生活保護ではなく自立支援へ」という流れをせっかく積極的に取り組んでいても、自立を強く意識するあまり、肝心の保護が委縮してしまっては方向を誤ってしまいます。

このように、生活困窮者に自立を強いて、生活保護費縮減のために対象者の絞り込みを行うような運用がされることを困窮者支援団体は強く懸念しています。

生活保護対象者を減らすための細やかな対策

生活困窮者の自立を促すには、今までの生活保護か?自立支援か?の二者択一的な方法では難しい現代。

支援や保護を始め、その他対人関係が苦手な人や引きこもっている人の孤立を救ったりと、周囲とのつながりを生み出すことで人を再生出来れば就労にも繋がり自立への道が開けます。

ひいては、生活保護対象者を減らすことに繋がるのです。

困窮者が生活保護を申請する前に自立出来るような対応が、これからの自治体に強く求められています。

新制度の正しい運用によって、生活保護対象者が少しでも減る事を願います。

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生活保護に頼らない!「生活困窮者自立支援制度」とは?

皆さんは、先月(4月1日付)全国で一斉に施行された「生活困窮者自立支援制度」をご存知ですか?

新制度がスタートして約1か月経ちますが、その内容をまだまだ知らない方も多いようです。

そんな新制度をよく知らないという方のために、制度内容やその中の子どもの学びの場の整備についてご紹介したいと思います。

新制度!生活保護一歩手前の「生活困窮者自立支援制度」の概要

この制度は2013年12月に成立した生活困窮者自立支援法に基づく新しい制度です。

施行に伴い生活全般にわたる困りごとの相談窓口が全国に設置され、一人ひとりに合わせた支援プランが作成、問題解決に向かいます。

生活保護に頼らない自立した生活を送るための「一歩手前」の安心制度です。

生活困窮者自立支援制度 7つの支援
1、自立相談支援事業
2、住居確保給付金の支給
3、就労準備支援事業
4、家計相談支援事業
5、就労訓練事業
6、生活困窮世帯の子どもの学習支援
7、一時生活支援事業

生活困窮者自立支援制度について詳しくはこちら

生活困窮者自立支援制度における子どもの学びの場について

支援事業の柱は相談窓口の設置に留まっていますが、他にも子ども達の学びの機会を整備する。「生活困窮世帯の子どもの学習支援」というものがあります。

生活保護受給家庭ではなく、その一歩手前、生活困窮家庭の子ども達に対して、学習機会の提供や環境を整備するという事ですが、実際はなかなか浸透していないのが現状です。

浸透していない理由とは?
場と機会が整備されても子ども達自身が、そもそもその存在を知る事が難しい。

子どもに対して、場を作ったのに利用しないのは自己責任であるという考え方ではなく、子ども達自身に大人からその情報を伝えてゆく努力は必要であると考えられます。

子を持つ大人同士の会話の中で、最近整備された学びの場について語り合うことも良いでしょう。まずは大人が興味を持って話題にあげていくことが、子ども達の間で浸透させるには大切です。

学習や進学、学校を含む日常の生活を支援する場が消失しないためには、運用面で大人が積極的に関わっていくべきとの声もあがっています。

生活保護を考える前に生活困窮者自立支援制度を考えてみませんか?

新制度が施行されたことにより、生活困窮者が相談できる機会がグッと増え、それにより生活保護に至る世帯が減っていけば喜ばしい事です。

今回の制度は、単なる相談窓口だけではなく、そこから仕事に必要な訓練や就労へのサポートも受けられます。

また、住む場所の確保や家計の相談など多岐に渡って生活困窮者を支援する充実した内容となっているので、これを機に、生活に困ったなと感じている方は生活保護を申請する前に、是非とも積極的に相談窓口に訪れることが望まれます。

少しの勇気で相談すれば、安心できる大きな未来へと繋がっていくはずです。

まだまだ浸透していない生活困窮者自立支援制度ですが、今後が期待されます。

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皆さんはよく「生活保護世帯は過去最多」という言葉を聞かれますよね?

それだけを聞くと、働ける世代の生活保護受給者が増えているのかな?と思いがちですが、実は増えているのは高齢者の生活保護受給者なのです。

今回着目する母子世帯の生活保護受給率については、毎年ほぼ横ばい、あるいは微減傾向にあります。

どうして減っている?母子世帯の生活保護受給率

我が国の子供の貧困率は過去最高を記録、ひとり親世帯の貧困率は最悪の状況といっても過言ではありません。
ではなぜ、「母子世帯の生活保護受給は微減傾向」なのか?
生活保護を受給するもしくは希望する母子世帯が減っている背景としては下記の理由が考えられます。

母子世帯(シングルマザー)の生活保護受給率減少の理由
1.生活保護に対して負のイメージがあり、申請に抵抗感がある
2.窓口で申請させてもらえない(水際作戦)
3.生活保護受給者への就労支援の強化により定職に就け、生活保護を受給しなくてもよくなった

シングルマザーにこそ活用してほしい生活保護制度

母子世帯の生活保護受給率が減少しているとはいえ、病気や家庭の事情など様々な事情で働けない女性や、仕事と子育てを両立しなければならないシングルマザーはたくさんいます。

生活保護は高齢者や障害者だけの制度ではなく、事情があって働けない若い世代やシングルで頑張る母子世帯の方のための命のセーフティーネットでもあります。

特に母子世帯は他の世帯より就労に当てる時間が格段に長く、子供に係る時間に余裕がないのが一般的で、子供の将来に不安を抱えている母親がとても多いのが現状です。

もし、生活保護を活用出来たなら、就労に当てる時間が削減され、その分子供とじっくり向き合う時間が増えるなど、自分だけではなく子供のためにも良い影響があると考えられます。

ひとり親で子供を育てていく過酷な環境にあと一歩寄り添ってあげられる生活保護制度である事が望まれます。

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生活保護受給者が賃貸を借りる時|気になる住宅扶助と心構え

生活保護受給者がアパートなどの賃貸を借りる時、世間の風当たりが強く契約に至るまでにとても苦労されているケースがほとんどと言っても過言ではありません。

国から「住宅扶助」という形で家賃相当分の現金が支給されていて、家賃の滞納の心配がないにもかかわらず、生活保護受給者というだけで嫌がる大家さんも多いのが現状です。

そんな生活保護受給者が上手に部屋を借りられるポイントをご紹介しています。

生活保護制度の「住宅扶助」って何?

生活保護の住宅扶助とは、申請し審査が決定した対象者が住むために必要な敷金・礼金・仲介手数料・入居前の諸費用や家賃・更新料にいたるまで、その住宅を維持するのに必要な分を扶助してもらえる制度の事です。

受給できる上限額は、各地域によって個別に定められています。

参考1:福島県郡山市の上限額
3級地1 単身世帯 30,000円 (2~6人 39,000円 / 7人以上 47,000円)
参考2:神奈川県の上限額
1級地・2級地 単身世帯 46,000円 (2~6人 59,800円 / 7人以上 71,800円)
住宅扶助について詳しくはこちら
https://seikatsuhogo.jp/benefit/

生活保護者の引っ越しは大きく分けて2パターン

1、福祉事務所から認められた引っ越し(転宅指導)
転宅指導とは、役所から今よりも安い賃貸へ引っ越すように命じられる事です。
これに従わない場合は受給を停止されます。
2、転宅許可が必要な引っ越し(自己都合)
隣人トラブルや騒音トラブルなど自分の都合で引っ越したい場合は「転宅許可」を申請して受理される必要があります。正式な理由がないと受理されません。

このように、生活保護受給者の方は自分の意思にかかわらず引っ越しを命じられる場合があります。いつその時を迎えてもいいように、部屋を上手に借りられるポイントを知っておくと安心です。

生活保護受給者が上手に部屋を借りるための4つのポイント

  1. 人に対して誠実に対応しましょう。
  2. 内覧に行く時は出来る限り服装を整えましょう。
  3. 担当のケースワーカーとは密に連絡を取りましょう。
  4. 余裕をもった日程を組みましょう。

部屋を借りる人も貸す人も、仲介する人も「人」であるという事を念頭に置いて、常に誠実に対応するように心がければ、余計なトラブルを起こしてしまう確率はグンと減ります。

生活保護は国が定めた権利です。気持ちよくお部屋を探せるように、4つのポイントをしっかりと押さえていきたいですね。

生活保護受給者に優しい専門の不動産もあるので、転宅が決まったらケースワーカーに連絡して、一度相談に行くのも良いかと思います。


生活保護受給者のための賃貸 お部屋探し相談所
http://sh-oss.com/

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