京都市で16年ぶりに生活保護受給者低下

きめ細やかな就労支援、自立への道を歩む生活保護受給者

京都市では、今年3月時点の生活保護受給者数が16年ぶりに減少に転じたと発表しました。

全国目線でみれば、生活保護受給者は増加傾向にあります。

しかし京都市がこういった発表に至れたのも、就労支援強化への熱意ある取り組みが良い結果をもたらしたといえるでしょう。

3月の京都市内の受給者数は4万7401人で、過去最高を記録した前年度より566人減りました。
また、就労によって生活保護が不要となり、自立した世帯数は前年度の292世帯から4割近く増えました。

京都市が行った生活保護の就労支援対策と、その成果は?

キャリアカウンセラーが受給者の過去の就労経験などを踏まえた相談活動を行い、個々の受給者に最適な仕事が見つかるまで探す取り組みを始めました。

これにより、13年度には1586人が相談活動を利用しました。そのうち985人が就労に成功、87人が職業訓練を開始しました。

その他にも、生活保護業務にあたるケースワーカーを増やしたり、一部の福祉事務所にハローワークの相談窓口を設けるなど、様々な取り組みを行ってきました。

就職しても、収入が生活保護受給の基準を下回れば、保護費が支給されるため、すぐに生活保護が不要になるわけではありません。

一定期間働いて、収入を安定させて自立していく世帯が着実に増えているのが現状です。

京都市の市長は「時間のかかる仕事ではあるが、きめ細かく支援を必要としている人に、必要な対応をとっていきたい。」と述べています。

このように、親身になって話を聞いてくれるキャリアカウンセラーの相談活動や、職業訓練を強化するなど京都市に倣うべき取り組みはたくさんあります。

そうした受給者の方々のやる気を引き出すきめ細やかな就労支援が、各自治体にも求められているのではないでしょうか。

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2014年7月1日、生活保護法の不正受給削減を主体とする改定が施行

2014年7月1日に「生活保護法改定」が施行されたのをご存知でしょうか?

生活保護費の不正受給防止を強化することを主に改定された生活保護法ですが、それにあわせて仕事をして自立するよう促すことも目的としています。

この改定によって生活保護の不正受給者の削減につなげるのが狙いといえます。
ここで、主な改定内容を簡単に確認していきましょう。

生活保護法改定の内容とは?

①仕事をして自立しよう!を広める
安定した仕事につく事で、生活保護を受けなくてもよい生活にするための給付金(就労自立給付金)をつくる。
(上限額 = 単身世帯 10万円 / 多人数世帯 15万円 を保護を受けなくてもよくなった時に一括で支給)
②健康や生活面の手助けをする
★生活保護受給者の健康管理を支援
(受給者の健康や受診に対して、専門的に対応できる体制を強化する。)
★生活保護受給者がしっかり家計管理をできるように支援する
(福祉事務所が必要と判断した場合は、レシートまたは領収証などの保存や、家計簿の作成を求めることができる。)
③不正受給者を減らす対策の強化をする
★福祉事務所がもっと詳しいところまで調査できるように権限を拡大する。
(生活保護を申請する時に、収入や資産が書いてある書類を必ず出してもらう。)
★罰則の引き上げや不正受給の返還金について、本人の事前申し出を前提に生活保護費と相殺する。
(罰則の引き上げ…上限を30万円から100万円に引き上げる。)
(返還金の相殺…最低限度の生活をするのに支障がないと認めた時は生活保護費と相殺できる。)
★福祉事務所が必要と認めた場合には、扶養義務者に対して、扶養できない理由を報告するよう求めることができる。
④医療扶助をもっと分かりやすく!適正に!
★これをクリアしていれば生活保護の指定医療機関ですよ、と言えるための項目を分かりやすくする。
★指定医療機関でいる有効期間を、無制限から6年で更新する「更新制」に変える。
★医師が後発医薬品の使用を認めている場合には受給者に対し、後発医薬品の使用をすすめることにする。
(先発医薬品は高額なため、できる限り価格の安い後発医薬品を使用するようにしてもらう。)
★国が医療機関へ直接指導できるようにする。

改定内容を簡単にお知らせしましたが、この改定について皆さんはどのように感じたでしょうか?

今回の改定は、過去1950年に生活保護法が施行されて以来の初の本格的なものでした。

この改定を受けて、生活困窮者の支援団体などは「対策を強化して手続きを厳格化すると、申請の抑制を招くと懸念している」と話しています。
確かにそうかもしれません。ですが、そうまでしないと不正受給を削減出来ないのも事実です。

今回の改定によって少しでも不正受給が防げたら、その分が正しく受給されている方の活力につながるでしょう。

今後、生活保護を正しく受給する人を増やすためには、一人ひとりが生活保護法を適切に理解する努力が必要のようです。

そして本当に必要な時に、正しく利用できれば良いですね。

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除外される子供達、生活保護引き下げで就学援助の枠狭まる

皆さんは「就学援助制度」をご存知でしょうか?
小中学校に通う子供達の内、約155万人が利用している制度で、対象の児童・生徒は年々増加傾向にあります。

そんな中、2014年度から、22都道府県の71市区町村で就学援助制度の援助対象を縮小させたことが、文部科学省の初の調査で分かりました。
これは、2013年8月に国が行った、生活保護基準額の引き下げに連動したものです。

それによって、多くの子供達が影響を受けました。しかし、全体の実に96%の1697市区町村は、過去の基準を適用するなどして、援助対象者を守りました。

「就学援助制度」って何?

経済的に困窮する家庭に地方自治体が学用品代、給食費、修学旅行費など12品目を補助する制度のことです。
この就学援助を受けられるのは、生活保護を受給する「要保護」世帯と、生活保護世帯に近い困窮状態と市区町村が認定した「準要保護」世帯です。

生活保護費引き下げによる影響

神奈川県横浜市では…
2012年度には約4万人の小中学生が就学援助制度を受けていた横浜市では、「9歳と12歳の小学生、40歳の父、36歳の母」の標準世帯では年収所得約358万円以下が対象でした。
しかし、2013年8月の生活保護基準額引き下げにより約344万円以下の世帯でしか受けられなくなりました。
横浜市は、「生活保護基準をもとに対象を決めている。連動させなければ、何を基準に決めているのか?という話になる。」と言います。
東京都中野区では…
2013年度に約3000人が就学援助制度を受けていた東京都中野区では、200人程度が対象から外される見通しです。
「7歳の小学生、36歳の父、32歳の母」の世帯で、対象は年間所得約335万以下でしたが、これより11万円引き下げられます。
中野区は「従来どおりの取り扱いを変えずに対応した。」と述べています。

そもそも、生活保護基準は「健康で文化的な最低限度の生活」という水準を具体化したもので、この基準を下げるという事は、最低賃金や国民健康保険料の免除、そして今回取り上げている就学援助など、さまざまな低所得者対策の基準に影響を及します。

そのせいで、今まで受けていた援助が受けられない。義務教育の機会均等を保障する重要な制度から、除外される子供達が出るのは、大変悲しい事ですね。

今後、さらに生活保護基準が下がると、自治体の持ち出しが増えます。自治体は、それを避けるために国の基準に従って厳しく対象を狭めることになっていきそうです。

未来を担う子供達の教育を支える就学援助制度。その本来の在り方を皆で考えていけたら良いですね。

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ストップ!生活保護の不正受給、ホットライン開設

高齢化や経済の停滞などが影響し、生活保護の申請者は増え続ける一方です。厚生労働省によると、今年3月時点での生活保護受給者は216万人、過去最多であると発表しています。

その中で高齢者の占める割合が最も多く、74万人にも上るそうです。次いで特別な理由で就労できない方、傷病者、母子家庭という割合のようですが、216万人の受給者の中には不正に生活保護費を受給しているケースが多々あることも事実です。

生活保護の不正受給とは?

生活保護制度における不正受給とは、保護費を正しくないやり方で受給する事です。
その内訳として、生活保護費の不正受給は大きく分けて次の3つになります。

「賃金の無申告」「年金の無申告」「申告はするものの、実際より少なく申告」

例えば、パートの仕事で月に10万円以上の収入があるにもかかわらず、無収入ですと申告する。
または、高校生の子供のアルバイト代を申告しなかった。
これらの例をみてみると、不正受給の全てが悪意のあるものとは言えず、生活保護の制度自体をよく理解していないために起こってしまったケースもあるようです。

生活保護不正受給専用電話ホットライン開設

先に挙げたような生活保護費の不正受給者が多発し、行政だけの調査では不正受給者を把握しきれないのが現実です。

そこで、不正の発覚に繋がる情報を住民から募ろうと、全国の自治体で専用電話ホットラインが開設されています。

いわゆる「たれ込み」受付専用電話です。ホットライン開設によって不正が発覚し、相応の処罰を受けるケースもみられ、まずまずの成果を挙げているようです。

一方正しく受給している生活保護利用者からは、監視されているようで生きた心地がしない。やはり生活保護を受けるというのは悪いことなのか?など批判や生活保護受給の悪いイメージを助長させるのではないかという懸念の声が上がっています。また「監視社会につながる」という市民団体の声も聞かれます。

生活保護制度とホットライン、上手に関わるには?

このように、生活保護制度の公平性を保ち、守るべき人をしっかり守る。を根底に始まった専用電話ホットライン。しかし、嫌がらせや虚偽の情報を見分けることはまだまだ難しく、それによって正しい受給者が地域の目を気にするようになり、引きこもりの原因にもなっています。また、いまだ払拭できない受給者に対する悪いイメージを怖がって本当に必要な人が申請しにくくなる可能性もあります。

これで本当に守るべき人をしっかり守っていると言えるのでしょうか?

生活保護制度も、専用電話も使うのは結局「人」なのです。
生活保護制度を正しく利用するのは当然のこと、ホットライン使用においては嫌がらせや虚偽の電話をしない。正しい情報を正しく伝える。生活保護制度利用者も、利用者を取り囲む人々も、ほんの少しの心遣いを持つことによって、不正受給を減らす努力をしていきたいものです。

また、専用電話の設置より、親身になって生活の相談にのってくれるケースワーカーの充実策を優先させ、生活保護受給希望者と蜜に関わることによって、不正受給を未然に防げるのではないでしょうか?

生活保護不正受給を知ろう!
本当に健康で文化的?全国一斉生活保護110番に寄せられた声
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水際作戦に苦しむ生活保護希望者の声とは?

生活保護制度は、失業したり、病気などでお金がなくて生活困窮している方が、利用可能な制度です。

それにもかかわらず、実際には申請者本人の意志には関係なく「まだ働ける」ということを理由に、窓口で申請を断られてしまう。

そんな場合が昨今非常に多いのが実態のようです。

例えば、先月まで仕事をしていたが不安神経症になり仕事に行けなくなった。生活保護の申請にいったら「まだ若い」「がんばりが足りない」と追い返された。

糖尿病があるが医師の診断書に就労可能と書かれていたため、役所にいったら「まだダメ」と言われた。その後体調が悪化し1カ月入院。生活が困窮する。

など申請者本人にとっては「働けない」のに「働ける」と役所に判断されて断られてしまう事例があるようです。

また、病気になったり年金だけでは生活できない高齢者の方などもたくさんいらしゃるでしょう。

そんな方々の申請を断る手段としてあげられるのが「水際作戦」です。

水際作戦って何?

窓口で生活保護の申請をさせず、「水際」で阻止することです。

生活保護を受けたい人がたくさんいる反面、お金の支出を増やしたくない市役所や区役所は、いかに生活保護を申請させないか?に力を入れてきます。

もちろん、申請を受け付けないのも違法なので、通常証拠の残らない窓口での口頭のやりとりで申請者自身に諦めさせるように話を持っていきます。

このような「水際作戦」が生活保護を増やさない手だてとなっているのが現状のようです。

生活保護を受けるのは悪いこと?

「生活保護」と聞くと、抵抗感のある人もいることと思います。

マイナスなイメージが浮かびがちですが、ここでちょっと一息ついて考えてみましょう。生活保護を受けるというのは本当に悪いことなのでしょうか?

会社が倒産、必死に仕事を探すも見つからない。病気になってしまった。など、さきに挙げたような様々な理由により本人にとってはどうしようもない状態に陥ることがあります。

私は関係ない?大丈夫?いいえ、誰しもが陥る可能性があるのです。

そんな時、生活保護制度を利用することによって苦しい世界から脱出し、生活の基盤を立て直せたら?そう考えると一つの手段として生活保護制度を利用するのはそんなに悪いことではありませんよね?

むしろ、本当に困っている方にとっては頼れる家族のような、そんな頼もしい制度なのではないでしょうか。

今まで私には関係ない、生活保護を受けるのはちょっと・・・と思っていた抵抗の枠を少し広げてみませんか?

まずは生活保護制度を必要としている方々が多いという事、しかし水際作戦によって本当に困っている方々が利用出来ないケースがあるという事を知ることから始めてみましょう。

それらを理解する努力によって社会的にマイナスなイメージを払拭できたら、今後生活保護制度を必要としている方々のプラスになるかもしれません。

そして将来の社会の活力につながるのではないのでしょうか。

生活保護を受ける前に、知っておきたい4つのこと
生活保護の申請方法
知っていますか?生活保護の水際作戦
生活保護の受給条件とは?
母子家庭で生活保護を受けるには-シングルマザー応援

本当に健康で文化的?全国一斉生活保護110番に寄せられた声

全国一斉生活保護110番に寄せられた「助けて」の声

全国青年司法書士協議会が2014年4月27日に「全国一斉生活保護110番」を行いました。

全国に住む生活困窮者(生活保護受給中の人を含む)を対象に、電話相談窓口を開設し、その後の対応が必要なケースについては福祉事務所等への同行や審査請求といった手続の情報提供や申請サポートといった支援を目的としています。

寄せられた相談は385件に上り、相談件数のうち生活保護利用者らが218件、利用していない人からが146件、それ以外の相談が21件でした。

生活保護を利用していない人からは、「申請をしたいけど自分は受給対象になるの?」という質問が多く寄せられたそうです。

一方生活保護利用者からは、昨年8月と今年4月の二回にわたって保護基準を引き下げられたことと、4月からの消費税増税が暮らしを圧迫しているとの声が上がりました。

「税金が上がり、生活費(食品)とガスも厳しい。何年もお風呂に入ることさえできず、シャワーも水を使うだけ。冷暖房も使えず、100円単位で苦しい生活だ」と東京都の男性は話したそうです。

本当に健康で文化的?生活保護受給者への支援を

生活保護制度は、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障して自立に向けた援助をする制度です。文字通り、保証されるのはあくまで最低限度の生活ですので最後のセーフティネットと考えられています。

しかし、昨今の情勢を踏まえると、デフレによる物価の下落などを理由に昨年8月に生活保護基準の引き下げを強行し、さらに今年の4月には消費税が増税されました。

さらに2015年10月には消費税10%への引き上げが予定され、生活保護受給者にとって不安が募る一方です。

身体を清潔に保つことができない、食べ物も不十分で常に空腹と戦っている…こんな状況下におかれている生活保護受給者が本当に「健康で文化的」な生活を送っているといえるのでしょうか?

全国青年司法書士協議会では、全国一生活保護110番を通して相談支援や同行支援といった場面で成果をだしています。今後も、このような活動によって、憲法で保障された市民の生存権を守りつつ、生活保護制度の改悪を食い止めたいと話しています。

生活保護を受ける前に、知っておきたい4つのこと
高齢者が生活保護を受けるには?
高齢者の生活保護と年金、どう向き合えばいいの?
どうやって生活保護を申請すればいいの?
生活保護のメリットとは?

生活保護自立支援プログラムの成果、18年ぶりに受給率低下

北海道釧路市で18年ぶりに生活保護受給率低下

北海道の釧路市では、人口千人当たりの生活保護受給者数を示す生活保護率が、2013年度は前年度比より0.5ポイント減の54.6となったことを明らかにしました。

0.5ポイントとは小さな数字に思えますが、生活保護受給率の低下は実に18年ぶりです。

2013年度の生活保護受給者は182人減の9853人です。受給している6637世帯のうち、最も多いのが高齢者世帯です。
高齢者世帯が占める割合は全体の40.3%であり、傷病者、母子家庭世帯、障がい者と続きます。

生活保護自立支援プログラムの成果とは?

北海道釧路市では、生活保護を受給している方が自尊心を持ってもらえる活動を実施しています。

有償・無償のボランティア活動などを通じ、生活保護受給者自身が地域に貢献しているという意識を持ちながら居場所を得られるように配慮しているそうです。

このような活動をきっかけに、新たな就業の場の発掘につながったり、再就職の道が開けたりと、自立した生活が営めることを目指しています。

働き口がなかなか見つからず社会から孤立してしまいがちな高齢者であっても、自尊意識を回復できる効果のあるプログラムであるといえます。

この体験を経て2013年度に生活保護から自立した人は、前年度比99人増の133人となり、受給を取りやめた685人の19.4%を占めました。

また、受給は継続しているものの、プログラムを経て就労に結び付いたケースは395人であり過去最多となりました。

生活保護からの自立というと、就労して自分で生活費を得るということばかりに目が行ってしまいがちですが、このように生活保護受給者が生きがいや自尊心を得られる活動による支援プログラムが効果的であることが結果として分かっています。

釧路市に倣い、職業訓練などの就労支援とともに、受給者本人の心の支援も各自治体で必要とされているのではないでしょうか。

生活保護を受ける前に、知っておきたい4つのこと
高齢者が生活保護を受けるには?
高齢者の生活保護と年金、どう向き合えばいいの?
どうやって生活保護を申請すればいいの?
“生活保護のメリットとは?

高齢者の生活保護、親族が確認しておくべき2つのこと

生活保護受給者のうち、約4割を高齢者が占めています。

生活保護を受けている高齢者は、単身または夫婦で暮らしている場合が殆どです。

ただし、身寄りが全くないという場合は少なく、ご兄弟や子どもがご存命でいらっしゃるケースがあります。

生活保護を受けていた高齢者が死亡した場合、遺族はどのように対応すれば良いでしょうか?

葬祭扶助と、亡くなられた方ご本人の生活保護費の返還についてご説明します。

生活保護を受給していた高齢者が亡くなった場合

生活保護受給者に限らず、人が死亡した場合には7日以内に必ず戸籍の死亡届を出さなければなりません。

死亡届を出していなければ、埋火葬許可証を受け取ることができず、葬儀を行うことができません。

生活保護を受けていた方が死亡した場合、福祉事務所に届け出る必要があります。

葬祭の費用は、身内の負担が優先されますが、本人が残した預貯金・現金などの遺留金品があればそれらが充てられます。

葬祭扶助制度について
亡くなった被保護者ご本人と同じ世帯に属していたご遺族の場合、葬祭扶助制度が適応されます。
しかし、亡くなった被保護者が単身であった場合、ご遺族とは世帯は別々ですので、葬祭扶助制度を利用することはできません。
あくまで生活保護世帯であるご遺族が葬儀費用を捻出できない場合に支給されます。
葬祭扶助は、検案・死体の運搬・火葬または埋葬・納骨その他葬祭のために必要なものの費用として支給され、対象となるのは故人の子、父母、祖父母、孫、兄弟姉妹(扶養義務者)です。
故人が生活保護を受けていたからといって、必ず葬祭費用を負担しなくて良いというわけではありませんのでご注意ください。

亡くなった被保護者の分の生活保護費は返還義務があるの?

通帳の預金について
生活保護を受給していた世帯の一員が亡くなった場合、その分の生活保護費はどうなるのでしょうか?
まず、生活保護受給者が保護を必要としなくなった場合、速やかに保護の廃止が決定されます。
過去のケースでは、生活保護の趣旨に反する目的ではなく、不正受給によって貯蓄した者でなければ、亡くなる前に支給された生活保護費でも返還を強制されなかったという事例があります。
しかし、死亡したことの事実の把握が遅れ、廃止決定の前に振り込まれてしまった翌月分の保護費については債権として扱われ、返還の処理が必要となります。

生活保護を必要としている高齢者は、単身または夫婦で暮らしていらっしゃる場合が多いといわれています。

ご自身の親や兄弟といった親族に生活保護者がいるなら、先を見据えて確認しておくべき項目は様々あります。

特に、葬祭扶助制度は生活保護者のご遺族が必ず受けられる制度であると勘違いされている方が多いようですのでご注意ください。

また、金銭的な援助ができないからといって親や兄弟と縁を切るのではなく、身近にできる心のケアや生活の支援なども親族の務めであるといえます。

生活保護を受ける前に、知っておきたい4つのこと
高齢者が生活保護を受けるには?
高齢者の生活保護と年金、どう向き合えばいいの?
どうやって生活保護を申請すればいいの?
“生活保護のメリットとは?

高齢者の生活保護と年金、どう向き合えばいいの?

生活保護受給者のうち約4割を65歳以上の高齢者が占めています。
高齢者が生活保護を受ける理由として最も多いのが、受け取っている国民年金の額だけではどうしても暮らしていけないような生活に厳しい状況にあることです。

しかし、生活保護を受けている後ろめたさから趣味にも励むことができず、孤独死を迎えてしまうといったケースが少なくありません。

年金と生活保護を同時に受給する落とし穴

「年金と生活保護って一緒に受給しても大丈夫なの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

高齢者の単身世帯の最低基準を下回る年金しか受取れない場合、それを補う分として生活保護を受給できるケースがあります。

つまり、生活保護と年金を併用しても最低基準以上の収入は得ることができません。

福島県郡山市の例でいうと、高齢者単身世帯の最低基準は62,130円(平成25年8月現在)ですから、それ以上裕福な暮らしはできないということです。

「国民年金を真面目に納めるなんてばかばかしい!老後は生活保護に頼った方が楽だ」という考えを持っている人の声をよく耳にしますが、生活保護を受給する以上、ゆとりある第二の人生とは無縁の苦しい毎日を送らなければなりません。

働きたいのに働けない、高齢者に雇用の機会を

平成20年度の内閣府の調査では、60歳くらいで仕事を辞めたいと思っている人はわずか1.3%という結果でした。

65歳まで働きたいと考えている人は19%、70歳までと答えた人は26%、「働けるうちはいつまでも」と答えた人は実に40%にのぼります。

働くことで生きがいを感じたい、身体の衰えを防止するため、といった様々な理由が挙げられますが、やはり一番の理由は収入であり約半数を占めました。

このような現状を踏まえ、佐賀県では2014年4月より高齢者の就職を支援する「70歳現役応援デスク」を設置することを決定しました。

佐賀県町内の「しごと相談室」に応援デスクを設け、新年度より求人開拓の体制を強化したいという意向です。

国勢調査や国立社会保障・人口問題研究所では、県の生産人口(15~64歳)は、2010年は51万7千人だが、40年には約70%の36万人まで減少するとの予測をしています。

2014年度は、Uターンなどの就職者20人に加え、高齢者30人の就職を目指しており、県雇用労働課では「70歳以上の人も歓迎。元気な高齢者の活躍を推進したい」としています。

定年後も健康で生きがいを感じながらいきいきと働ける場の提供が求められており、全国で高齢者雇用の機会を増やそうという動きが広まっています。

生活保護を受ける前に、知っておきたい4つのこと
生活保護の受給条件とは?
生活保護ってどのくらいもらえるの?
どうやって生活保護を申請すればいいの?
“生活保護のメリットとは?

生活保護に頼らない!シングルマザー就職支援まとめ

母子世帯のお悩みは、子どもの将来のこと。
生活保護を受けて育った子どもは、成人しても再び生活保護を受給してしまう傾向にあり、母子家庭世帯ではそれが顕著だそうです。
離婚や死別など、母子家庭になってしまった理由はそれぞれ。しかし、子どもには責任はないはずであり、貧しい暮らしを味わわせていることに心を痛めている方も多いのではないでしょうか。

子どもの未来の選択肢を少しでも増やしてあげたい、そんな思いで子育てを頑張るお母さんへ、母子家庭の母親の就職を支援するさまざまな機関や制度をご紹介します。

シングルマザー応援!母子家庭でも生活保護に頼らず生きる

母子家庭等就業・自立支援センター
母子家庭等就業・自立支援センターは、母子家庭のシングルマザーに対して就業相談の実施、就業支援講習会の実施、就業情報の提供など、トータルで就業支援サービスを提供しています。
母子家庭就業・自立支援センターには国の機関や共益法人・社会福祉説等の関係団体などの非常勤職員の求人情報が提供されています。
就業相談・就業促進活動
母子家庭の母親などが就職についての相談ができます。家庭の状況や就業能力の適正、就業訓練の必要性などをふまえた、就職への意欲を持たせるアドバイスを受けながら、求人の情報を提供してもらえます。
就業支援講習会等事業
就業経験がない・専業主婦だった期間が長かったなど、就職希望があっても仕事と家庭の両立ができるか不安なシングルマザーに対しての必要な技能の習得や、キャリアアップ・起業のためのノウハウを学びたいという母子家庭の母親のニーズに応えて、仕事に結び付きやすい資格や能力を習得させるための講習会を開催しています。
就業情報提供事業
就業支援講習会の修了者などの求職活動を支援するために、ハローワークを主とする就業紹介機関と連携しながら求人情報を適宜提供している事業です。
特別相談事業
母子家庭の生活の安定と児童の福祉を豊かにするために、養育費の取り決めなど生活に密着した様々な法律・経済問題について弁護士などの専門家による相談事業を実施しています。

全国の母子家庭等就業・自立支援センター(母子寡婦福祉会併設)はこちらから参照できます

ハローワーク(マザーズハローワーク)
子育てをしながら就職を希望している方に対して、キッズコーナーの設置など子供連れでも来所しやすい環境を整えているハローワークをいいます。予約による担当者性の就業相談、地方公共団体との連携による保育所の情報提供、仕事と子育ての両立ができやすい求人の提供など、トータルサポートを受けられます。
マザーズコーナー
また、マザーズハローワークやマザーズサロンが設置されていない地区では、新たな事業拠点としてマザーズコーナーを設置して同様のサービスを展開しています。

全国のマザーズハローワークの案内はこちら

自立支援教育訓練給付金
母子家庭の母親が能力を身に付けることを支援するもので、雇用保険の教育訓練給付の受給資格のないシングルマザーが教育訓練講座を受講し、修了した場合にその経費のうち20%が支給されます。この対象となる教育訓練講座は、雇用保険制度の教育訓練給付の指定教育訓練講座に加え、都道府県が地域の実情に応じて定めることとなっています。
高技能訓練促進事業
母子家庭の母が、看護師・恋後福祉士などの経済的自立に効果的な資格の取得を支援するために、養成機関で2年以上修業する場合において高技能訓練促進費が支給されます。この対象となる資格は、看護師・介護福祉士・保育士・理学療法士・作業療法士などがあります。
これに加えて、無利子の母子寡婦福祉貸付金(生活資金または技能習得資金)を利用でき、受講期間でも生活費に困らないような経済的な支援も行っています。

母子家庭になったからといって誰もが生活保護を受給できるわけではありません。
生活保護はあくまで、資産や能力全てを活用してもなお生活に困窮する方に対しての制度です。
甘んじた気持ちで受給をしては、あるはずだった自分と子どもの明るい未来を捨ててしまうことになりかねません。
生活保護の申請を考える前に、もう一度考え直してみてはいかがでしょうか?

母子家庭で生活保護の申請を考えている方へ。お役立てください。
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