生活保護の医療費について  現物給付眼鏡

生活保護制度で受けられる補助のうち、医療扶助(医療費)がありますが、医療費は現金による支給ではなく、現物給付のような形になっています。一般の医療費と比べると、現物給付というところが違うところかもしれません。

生活保護世帯では健康保険には入らないかわりに、病気になった時に「医療券」というものが福祉事務所から発行してもらえるので、これを医療機関に提出することで、無料で受診できるようになります。

ただし注意したいところが、この生活保護での「医療券」は、すべての医療機関で利用できるわけではないので、受診する時は事前に福祉事務所の生活保護担当員に、医療券が使える指定の医療機関を確認しておくと安心です。


(現物給付の主な例)医療扶助で現物給付される眼鏡
①あらかじめ福祉事務所で「医療券」と眼鏡の「給付要否意見書」を発行してもらったら、その医療券と眼鏡の給付意見書を持って指定医療機関で診察してもらいます。
②そして、医師から眼鏡の処方箋を受け取って、それと給付要否意見書を眼鏡店に持参すれば、メガネを作ることができます。

これが、医療費の現物給付の主な流れです。
福祉事務所での手続きなど、多少時間がかかりますが、約1ヶ月後くらいには眼鏡を受け取ることができます。

生活保護での詳しい眼鏡の給付手順はこちらをご参照ください。


しかし急病や事故などの緊急の場合は、あらかじめ医療券をもらうことは誰にもできません。

でも、多くの福祉事務所では、緊急時のために「医療受給証」またはそれと同様な書類を事前に発行しています。

緊急時にはそれを提示し、後日医療券を発行してもらって持参します。
または、「医療受給証」などがない場合は、指定医療機関であれば、福祉事務所に連絡し、担当者から病院に医療券を後日持参か送付する旨を伝えてもらったり、その場でいったん医療費を支払いますが、後日医療券を持参すれば、かかった分の医療費は全額返還してもらうということが可能なので記憶しておくと安心でしょう。

生活保護受給者の医療費の利用形態は、先に述べたように医療器具のように物が必要になる場合でなくても、直接的な現金支給ではなく現物給付に近いかたちなので、面倒な手続きが伴います。

しかし、いざ病気になったりした時に慌てないためにも「医療受給者証」は無くさないように、確認しておくといいでしょう。

自民党政権になって、生活保護制度の見直し案が少しずつ固まりつつあるようですが、医療扶助(医療費)については、大幅な削減は今のところ否定されているようです。

ですが、生活保護費の中でも一番多く公的負担になっている医療費は、削減されるかもしれないという不安に包まれたまま。

生活保護の医療費の見直し案が確定する前という、現状の医療扶助で眼鏡を給付してもらう場合もただの医療器具にならないような、見た目もおしゃれで機能性も高い眼鏡を作れるので、必要な方は早めに利用するといいでしょう。


生活保護での詳しい眼鏡の給付手順はこちら。

生活保護の賃貸事情・家賃限度額 横浜市入居支援

生活保護制度においては、賃貸物件の入居費用を扶助してくれる「住宅扶助」があります。
しかし、生活保護では、どうしても引越しをしなくてはならない状況であるという場合にしか住宅扶助が使えません。

主に、生活保護受給者が引越しをする理由として、「家族が多く手狭になった」「賃貸物件の立て替え」などといったものが多くあげられます。

ただ、賃貸物件によって異なりますが、連帯保証人が必要になってきます。賃貸物件の連帯保証人とは、親族のみか、近県に住んでいる方というのが基本的な決まりとなっているようです。
連帯保証人がいない場合は、不動産屋が提携する賃貸保証会社に入ることができますが、毎月かかる諸費用は保証会社によっても異なってきます。高齢でない限り、入居審査は通過できることが多いですが、そういった住宅扶助で補助されない費用はなるべく支払いたくないというのが現実です。

さらに、生活保護受給者だというだけで、不動産屋さんは大抵の場合嫌がるのが現状だそうです。それは、家賃の滞納という問題がいちばん大きいでしょう。地域によっては、生活保護の住宅扶助から、家賃を直接不動産屋か貸主に振り込むといったところもあるので、どうしてもそこの賃貸物件に入居したいけど、家賃の滞納を懸念している不動産屋だった場合、そういったことを伝えてみるという方法もあります。

しかし、家賃等の支払能力があるにもかかわらず、連帯保証人がいなかったり、家賃の滞納の懸念といった理由などから、民間賃貸住宅への入居を断られてしまう高齢者や生活保護受給者なども多く、そういった方への賃貸物件の「入居支援」と「居住支援」を行なう生活保護の賃貸サポートといった事業などもあります。横浜市では、生活保護受給者でも民間賃貸住宅への入居をしやすくし、安心して自立した生活ができるようにすることを目的として登録されている協力店などもありますので、民間の賃貸物件を探す場合は安心でしょう。

【神奈川県横浜市の住宅扶助額 上限額】

神奈川県横浜市の家賃・間代・地代等の住宅扶助の限度額(平成22年度)
◇1級地、2級地の地域
 ・基準額(単身世帯)・・・・46,000円(横浜・川崎53,700円)
 ・2名~6名世帯・・・・・・59,800円(横浜・川崎69,800円)
 ・7名以上・・・・・・・・・71,800円(横浜・川崎83,800円)

◇3級地の地域
 ・基準額(単身世帯)・・・・・43,000円
 ・2名~6名世帯・・・・・・・56,000円
 ・7名以上・・・・・・・・・・67,000円

※地価等の影響で、基準額が変わることがありますので、詳しい家賃補助額の詳細は横浜市の各区の福祉保健センターにお尋ねください。

【生活保護の住宅扶助で補助される範囲】

・家賃(賃料)
・敷金、礼金
・仲介手数料(仲介手数料は1ヶ月遅れて支給の場合が多い)
です。また、生活保護受給者の収入によっては、火災保険なども補助されますが、賃貸物件の鍵交換などは住宅扶助では支給してもらえない場合が多いです。

【生活保護の住宅扶助を利用して、賃貸物件に入居できるまでの流れ】

①横浜市の各区の生活保護担当もしくは福祉保健センターに相談する
②賃貸物件を探す
③賃貸契約が終わったら、賃貸契約書と清算書を生活保護担当に提出する
④横浜市の生活保護から、あなたの通帳に諸費用が振り込まれる

※この流れは、横浜市でも各区によって異なることがあります。賃貸物件を決めた際に、部屋の間取り図や清算書を契約する前に提出すように生活保護担当から言われることもあるので、ご確認ください。

また、横浜市では子育て世代に向けた事業で、低所得世帯や生活保護を受給していない母子世帯の方への家賃補助といった事業も実施されるので、生活保護を申請・受給できなかったという母子家庭の方などは横浜市の家賃補助事業に応募してみるとよいでしょう。

(参考)
神奈川県横浜市の生活保護の賃貸サポート

横浜市が初告訴 生活保護費不正受給500万円|神奈川県

横浜市は12月25日、生活保護費を不正受給していたとして、横浜市旭区の60代の男性を告訴しました。
その男性は、平成21年から2年以上、約500万円の生活保護費を不正受給。横浜市は、詐欺罪としてその60代男性を横浜市旭署に告訴しました。神奈川県横浜市が生活保護費の不正受給で告訴したのは初めてで、担当者は「今後も悪質な生活保護費の不正受給の事例には、断固とした態度を取る」と話しているそうです。

神奈川県横浜市によると、不正受給をした60代男性は平成21年頃から平成24年春頃にかけ、生活保護費として支給される生活費や必要に応じて受けることができる医療費などを受給していました。
生活保護の申請時点で、横浜市には無収入と申告し、さらに病気のため就労は困難とした医師による所見も示しています。
しかし、その男性は生活保護費を受給しながら横浜市内の事業所で働き、月平均約15万円の収入があったそうです。それに不審を抱いた横浜市職員らが、その男性の雇用主に確認したところ、そこで働いていたことが発覚しました。それと時を同じくして、その男性は行方不明に。

横浜市は、生活保護費を受給したいがために、幾度にも及ぶ嘘の無収入申告を行ったことや、発覚直後に行方不明になったことから、特に悪質と判断しています。生活保護費の不正受給分は確実に返還してもらい、また、不正受給の再発防止のために告訴に踏み切ったとしています。

神奈川県横浜市によると、生活保護の不正受給は年々増加傾向にあるとのことです。
平成23年度は、1421件で約6億4700万円分に上っています。平成18年度では、683件で約3億9800万円分であったのに対し、その5年間で件数は2倍以上に急増。不正受給者への保護費の支給停止に加え、返還請求も行っているが応じない場合も多くあります。

不景気なども大きな原因であることから、横浜市は生活保護費の不正受給者はますます増加していくだろう見ており、横浜市民の生活保護制度への信頼が揺らぐことに危機感を抱いています。それをもとに横浜市は6月に神奈川県警との連絡会を開催。課税調査の強化や生活保護受給者といちばん関わる機会が多いケースワーカーの技能向上などに加えて、神奈川県警との結びつきを強めることで不正受給の防止に努める方針だとしています。

横浜市の生活保護 参考
横浜市の生活保護費支給額とは?
横浜市の生活保護の申請方法とは?
横浜市の生活保護で眼鏡を受給したい

自民党政権 生活保護費削減案ほぼ確実? 来年度から段階削減が有力

これまで過去何度も自民党の生活保護法改正案について記載してきましたが、自民党は衆院選公約で生活保護費の「10%引き下げ」を明記しています。自民党の政権復帰に伴い、公約通り生活保護費の給付水準の引き下げは、実施される確立が高い情勢となっているようです。

年明けに本格化する平成25年度の予算編成の中で、生活保護費の給付水準の下げ幅を決める見通しであり、毎年数%ずつ削減していくといった「段階的な生活保護費の削減案」が有力視されているそうです。(財務、厚生労働省関係者による)

生活保護費の中で引き下げが検討されているのは、生活保護受給者の食費や水道光熱費に充てる生活扶助の基準額です。例えば1級地-1である神奈川県横浜市で支給額は60歳以上の単身世帯では、月額約8万円です。横浜市での一般の低所得者の生活費を上回っているといわれています。こういった低所得者の生活費よりも生活保護受給者に支給される保護費が多いといった逆転現象は、横浜市以外でも全国的に消費実態調査で指摘されています。
それによって、自民党は「所得水準、物価、年金とのバランスを踏まえて生活扶助の基準額を引き下げる」としています。

また、自民党のプロジェクトチームは、生活扶助の食費にあたる部分に対する対策として、食券などを想定した「現物給付」方式を提案しています。その生活保護法改正案とする自民党がまとめたものによると、食費の現物給付については各自治体が現物給付か現金給付のままにするのかを選択できるといった案も打ち出しているとのことです。

さらに、生活保護費全体の約半分を占める医療費については、安価なジェネリック医薬品(後発医薬品)の使用を生活保護受給者には義務化する、という案も提示しています。

(※)後発医薬品(ジェネリック医薬品)は、先発医薬品と治療学的に同等であるものとして製造販売が承認され、一般的に、開発費用が安く抑えられることから、先発医薬品に比べて薬価が安くなっています。
このため、後発医薬品の普及は、患者負担の軽減、医療保険財政の改善に資するものと考えられますが、現在のところ、日本では、後発医薬品の数量シェアは22.8%(平成23年9月の薬価調査に基づく集計値)であり、欧米諸国と比較すると普及がまだまだ進んでいません。
その理由のひとつに、医療関係者の間で、後発医薬品の品質や情報提供、安定供給に対する不安が払拭されていないということが挙げられています。
こうした状況を踏まえ、厚生労働省では「平成24年度までに、後発医薬品の数量シェアを30%以上にする」という目標を掲げ、後発医薬品の使用促進のための施策に積極的に取り組んでいます。

ただ、これらの生活保護費給付水準の引き下げや現物支給、ジェネリック医薬品の義務化などにおける、生活保護制度見直し案に対しては、受給者や一部野党の強い反発が予想されるので、自民党新政権はどこまで納得いく案として具体化できるかが鍵となりそうです。

現物給付されているの医療扶助について
生活保護での眼鏡給付
※(例)横浜市の生活保護での眼鏡給付の手順

生活保護基準引き下げによるダメージとは?自民党の生活保護法改正案に懸念  

11月20日に了承された、自民党の生活保護法改正案の骨子では、「生活保護の基準を引き下げ」「生活扶助の食費などを現物給付」「医療扶助の適正化による受診回数の制限やジェネリック医薬品の採用」「不正受給の罰則強化」といった生活保護受給者に厳しい内容でしたが、12月16日の衆議院選挙で自民党が政権を担うことになり、いよいよこれらの生活保護法改正案が実現する可能性がでてきました。

生活保護については、世論も生活保護の不正受給や、某お笑いタレントのような高所得者の親族が生活保護受給者の扶養をしないことなど、反感を抱いているだけに自民党の生活保護法改正案には容易に賛成するように思われます。

しかし、自民党が掲げる生活保護法改正案は、生活保護受給者への対応が厳しくなるだけではありません。
生活保護を受給していない国民全体にもダメージが来るだろうということを知っておかなければなりません。

まず、「生活保護基準の引き下げ」は、住民税課税基準も同時に引き下げられることになるでしょう。そして、これまで低所得で非課税世帯であった世帯でも、収入が増えていないにもかかわらず、課税の対象になってしまいます。
さらに、住民税の課税額によって定められている国民健康保険料や介護保険料、保育料なども、生活保護基準の引き下げによって納める金額が増えることになると考えられます。
また、生活保護基準の引き下げで、最低賃金の引き下げも画策してくる可能性も無きにしもあらずでしょう。

「医療扶助での受診回数の制限」においては、自民党は「人命軽視」と言われても仕方ない改正案だといわれています。生活保護受給者で医療扶助を利用している方は、ほとんどが高齢者、傷病者、障碍者であり、医療を常時必要としている方々です。自民党は、医療扶助の改正を実現すれば、こういった病気を抱える方々に必要な受診を制限して、限度が越えれば受診できないということに繋がり、生活保護の高齢者や傷病者を追い込む形となりかねないでしょう。
こういった生活保護での医療費の見直しになった背景には、マスコミで騒がれたある一部の医療機関での過剰受診により、医療費が無駄に使われているという印象になったことがあげられます。
しかし、生活保護受給者のすべてが過剰な受診や大量な薬剤を受け取っているわけではありません。ただ一部の生活保護を悪用する医療機関の問題であるものを、医療扶助の抑制といったものに課題をすり替えてしまっているのではないだろうか?という意見も。

「生活扶助の現物給付」や「親族の扶養」などの案にも問題や反対意見もありますが、自民党の政権下になったといっても、選挙公約が支持されたから選ばれたというわけではないと自覚しているようなので、実際にこの生活保護の改正案が実施される場合でも、国民全体への負担増になるだろうということを踏まえると、自民党の生活保護の見直し案への懸念の声を今後の自民党は、聞く耳を持っていることでしょう。

生活保護基準とは
(生活保護支給額例)横浜市、宇都宮市、郡山市、さくら市、八千代市、小山市、東海村、茅ヶ崎市

生活保護 眼鏡修理の補助って支給される? 横浜市

生活保護では、医療扶助という補助の範囲で、眼鏡が支給されます。
一度生活保護で眼鏡を支給してもらうと、眼鏡耐久年数は4年とされていますが、もしその間に眼鏡が壊れてしまったり、眼鏡のレンズの度数が極度に合わなくなってしまったなどといった理由が生じてきてしまった場合は、その状態に応じて、眼鏡の修理や再支給ということが可能な場合もあります。

厚生労働省の定める「補装具費支給制度」によると、「障害者が日常生活を送る上で必要な移動等の確保や、就労場面における能率の向上を図ること及び障害児が将来、社会人として独立自活するための素地を育成助長することを目的として、身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完・代替する用具について、購入又は修理に要した費用(基準額)の100分の90に相当する額(補装具費)を支給します。」としています。

生活保護受給者は、以下のとおりの範囲で補装具であるメガネを支給してもらえます。

新規、生活保護世帯の眼鏡購入補助限度額
 ・6D未満・・・・・・・・・・・・・・・17,600円
 ・6D以上10D未満・・・・・・・・・・20,200円
 ・10D以上・・・・・・・・・・・・・・24,000円

生活保護での眼鏡修理の場合の限度額
 ・メガネフレーム交換・・・・・・・・・・・8,000円
 ・矯正用レンズ6D未満交換・・・・・・・・5,100円
 ・矯正用レンズ6D以上10D未満交換・・・6,450円
 ・矯正用レンズ10D以上交換・・・・・・・8,400円
 ・遮光矯正用レンズ交換・・・・・・・・・・11,100円

※この基準は厚生労働省が定める「補装具の種類、受託報酬の額等に関する基準」の中から抜粋したものですが、毎年度変更されますのでご注意下さい。

生活保護での眼鏡補助の申請方法
 生活保護の担当員に眼鏡の給付要否意見書(所要経費概算見積書)を申請していただき、そちらを持って指定医療機関(眼科)にて、給付要否意見書の必要事項・眼鏡処方箋を医師より記入を受けます。その2点の書類をを持って眼鏡店でのメガネ作成になります。(お住まいの地域によっては、異なる場合があります)
※生活保護での眼鏡作成の詳しい手順を参考までに。
 ・神奈川県横浜市の場合
 ・栃木県宇都宮市の場合
 ・福島県郡山市の場合

また、神奈川県横浜市の場合では、身体障害児及び知的障害児(18歳未満)に対して、訓練・介護器具助成事業をしており、購入経費の一部又は全部が助成されます。
眼鏡の場合は費用の3分の2は助成され、上限額26,460円です。
しかし生活保護世帯ですと、メガネを必要とするご本人は、助成上限額まで全額を助成してもらえます。

生活保護でメガネの作成や修理に関して、生活保護の担当員にまずは相談しないで勝手に行ってしまうと、生活保護から補助されず、全額自己負担になってしまうのでお気をつけください。

生活保護を受給されている方や、申請しようと考えている方にとっては、新政権である自民党の政権下におかれ、今後生活保護制度の見直しについてどうなっていくのか、支給される保護費水準の削減や、現物支給など政策案としてあがっているので、不安な状況になっていると思われます。
眼鏡給付や修理など医療扶助においては、現金支給ではなく現物支給で行われているので、補助の限度額がどう見直されるのかということろでしょうか。

今後、自民党と厚生労働省との協議において、生活保護制度がどう変わっていくのか、目が離せないでしょう。

生活保護 12月16日の衆議院選挙後 自民党政権下の生活保護どうなっていくのか?

12月16日、第46回衆議院選の投開票が行われましたが、その結果、保守の野党自民党が大勝し、自民党総裁の安倍晋三元首相(58)が再び首相に返り咲きました。安全保障計画や、経済の再膨張を推進する機会を手にすることができたと言えるでしょう。

3年前に、自民党の支配下からの変化を約束して政権の座に着いた野田佳彦首相率いる民主党は、有権者から厳しい審判を下される結果となりました。
野田首相は、衆議員選での敗北の責任を取って、民主党代表を辞任する意向を示しています。

しかし、投票率は低く、有権者の間には本当に選びたい政党がなかったという声も多かったのが現状。安倍氏も、今回の選挙結果は、自民党への信頼が回復し選ばれた訳ではなく、民主党の政治的混乱に有権者が支持しなかっただけだという認識をしているとのこと。

そこで、安倍氏率いる今後の自民党政権下において、生活保護の問題はどうなっていくのでしょうか?
民主党政権下では、生活保護制度の見直しを検討していましたが、16日の投開票の衆院選が決まった11月以降、生活保護への議論は宙に浮いたままの状態。選挙が終わった今、新政権である自民党が、早期に生活保護への対策を講じなければ、国や地方の歳出が増え続ける懸念があります。

生活保護受給者は2008年秋のリーマン・ショックを契機に急激に増えています。現在は、過去最多の213万3905人という生活保護受給者数を記録。10数年間で2倍以上の増加です。

このような増え続ける生活保護受給者数の自体を重く見て、厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会の特別部会は、生活保護制度の見直しに関する報告書を、11月28日の会合でまとめ、13年度予算編成に反映させる予定でした。
しかし、衆院選が決まった為、会合は延期され、政権交代の可能性があるとして、新政権発足まで、生活保護費への協議を棚上げすることにしていました。

生活保護制度見直しのための厚生労働省の特別部会の検討案
 ①最低賃金よりも高額に支給されている生活保護費の水準の見直し
 ②不正受給者への罰則強化
 ③過剰な医療への是正に向けた指定医療機関の見直し
 ④薬価の低いジェネリック(後発薬)の積極的な活用
などを検討しています。

一方、新政権である自民党は、次のようにまとめています。

これまでの自民党の生活保護制度の見直し案
 ①医療機関の受診回数の制限
 ②ジェネリック使用の義務化
 ③生活保護の給付水準の1割削減
 ④介護保険の対象のサービス縮小
 ⑤選択制で現物給付
などの独自の改革案を打ち出しており、特別部会はこれまでの協議内容を見直す可能性があるとしています。

安倍総裁は「社会保障費もなるべく効率化を図っていく必要がある。生活保護費を数千億円削減することはできる」と述べていると言います。

新内閣発足までは、衆院選挙から10日間程度かかるとみられ、13年度予算編成は越年が避けられない状況でしょう。新政権である自民党は、年明け早々から生活保護費を含む歳出のあり方を、短期間で詰める必要に迫られます。しかし、切羽詰まった状況下での協議となれば「弱者切捨て」との批判を生活保護受給者や、これから申請しようと考えている方などからも招いてしまうので、慎重な議論が求められます。

しかし、生活保護の具体的な政策が定まらない中でも、生活保護受給者や申請者にとっては、困窮する実情は変わりなく、例えば、神奈川県横浜市の中区の生活保護受給者の6割を占める寿町では、生活保護受給者は10月末で5802人であり、心身に不安を抱える方も多く、そのうち健康で就労可能な生活保護受給者は376人しかいないそうです。横浜市中区の担当者によると、日雇い労働しかやっていなかったり、ハローワークの利用方法が分からなかったりする方が少なくないそうです。
横浜市でも働きたい方は多いが、就職先が少ないというのが現状で、生活保護受給者や生活保護申請者の為には、まず就労支援への具体的な取り組みをし、就職先を確保できるような態勢を作っていくことが何より大切だと指摘しています。

【参照】
生活保護の申請方法
生活保護申請方法(横浜市の場合)
生活保護の医療扶助
生活保護の眼鏡作成

生活保護申請門前払い、相次ぐ不正受給は減るのか?横浜他

衆議院選挙も間近に迫っていきていますが、生活保護の申請に関する問題や不正受給が鳴り止まない状態が続いています。

埼玉県では、生活保護を二重に申請し、不正受給していた住所不定、無職の益子光幸被告(32)を詐欺罪で起訴していましたが、12月12日埼玉県川越署が詐欺容疑で再逮捕しました。

生活保護を二重に申請とはどういうことか、その発表によると、益子被告は既にさいたま市の生活保護を受給していたにもかかわらず、5月16日に川越市の社会福祉事務所に「仕事がない。住むところもない。」という理由で虚偽の生活保護費の申請をしています。
2回目に申請した生活保護で支給された6月からの4ヶ月分の、「生活扶助費」「住宅扶助費」合わせて、約56万円をだまし取ったとみています。益子被告は、11月に無銭飲食をして、詐欺容疑で逮捕されていましたが、さらに同罪で起訴されました。

上記以外にも、神奈川県横浜市でも生活保護費の虚偽の申請をし、不正受給するという事件は相次いでいましたが、10月には次のような不正受給も。
神奈川県横浜市の生活保護の申請を潜りぬけ、保護費を受給しながら売春している韓国籍の73歳の女性、横浜市南区の無職、朴玉子(ぼく たまこ)容疑者が逮捕されたという事件。

横浜市の朴玉子容疑者の不正受給は、横浜市中区末吉町のラブホテル近くの路上で、私服で取り締まりに当たっていた男性警察官を売春相手として誘ったとして、売春防止法違反(勧誘)の現行犯で、逮捕に至り「生活費が足りなかった」と容疑を認めたという。

監査幹部によると、横浜市在住の朴玉子容疑者は「見た目は実年齢より若く、50歳前後には見える」と言っており、「ここまで高齢なのは聞いたことがなく、びっくりした」と話していたとのこと。
朴容疑者は、6年ほど前から売春をしており、現在では横浜市から月額約15万円の生活保護費を受給しながら、週に3、4人の客を取っていたそうです。

また不正受給とは逆に、高松市では、生活保護の申請に訪れた男性(40代)が福祉事務所の相談員から「高松市に住民票がない」ことを理由に、その時の申請を受け付けなかったということが。生活保護法では、住民票の有無は、申請や受給条件には関係ありません。
生活保護の申請に詳しい専門家によると、申請拒否は「水際作戦」と呼ばれており「全国的な問題であり、氷山の一角」と指摘されています。生活保護費削減の流れが強まる中、「生活保護を申請する前に、申請の段階で門前払いしてしまおう」といったことが広まっているのかもしれないと。

今度の衆議院選挙における、各党の生活保護への対策安に関しても、生活保護費削減と生活保護申請者・受給者の減少への対策が目立ち、財政面ばかりに偏っており、生活保護が「人権」に関わるものだという意識があまりにも薄いという声も出ています。

相次ぐ生活保護の不正受給で、多く保護費をだまし取っている受給者いる反面、本当に生活に困窮している人が申請さえも出来ない状況は、何なのか?生活保護の申請窓口である福祉事務所においても、生活保護という制度の本来のあり方を再認識する必要があるのではないだろうか?

生活保護受給者の介護保険料の事務処理誤り、生活保護台帳紛失 福島県福島市

福島県福島市は12月7日、生活保護受給者の介護保険料の代理納付事務処理に52人分の誤りがあったほか、生活保護受給者の保護台帳一冊(一世帯分)を紛失していたと発表しました。

福島市によると、生活保護受給者の介護保険料を代理で納付手続きした際、データ入力にミスがあり、生活保護受給者に納付書が届かなかったり、二重払いになったり、納付したにもかかわらず督促状が届いたりしたそうです。このうち、介護保険料を二重に支払ったのは2人で、6600円分とのこと。

生活保護の介護保険料とは?
その市町村に住所を有する65歳以上の方が、第1号被保険者となります。40歳以上65歳未満の医療保険加入者は、第2号被保険者となります。
65歳以上の介護保険の被保険者は、生活保護を受給しながら、介護保険料を定期的に納付する仕組みになっています。(40歳未満の方は、介護保険の被保険者ではありません。)
しかし生活保護を支給されている方の介護保険の費用は、65歳以上の方の場合は生活保護費の介護扶助費によりまかなわれます。 また、生活保護の受給者が「要介護な状態」であると判断をされ認定を受けた場合は、介護保険から給付を受けることになります。 この時に支払う事になる負担金の一部はこの制度の費用の中から支払いが行われます。

生活保護受給者の介護保険料を代理で納付手続きしたのは、福島市の40代男性職員。データ入力漏れ、確認漏れなどが原因ということです。
  福島市のその職員は7月の時点で、誤りに気付いていましたが、上司には報告せず、11月13日に督促状が届いた福島市の生活保護受給者から連絡があったことで、ミスが発覚しました。

また、生活保護の保護台帳を3月15日から4月12日の間に紛失したとのこと。生活保護台帳は生活保護被保護者の名前、住所、収入などが記載されているもので、紛失した保護台帳は福島市役所内の棚に入れて保管していましたが、同13日に職員がないことに気付いたとのこと。その保護台帳は福島市の職員が、過って焼却用に搬出したのではないかとみています。

生活保護介護保険料事務処理の誤りと、生活保護台帳紛失の2つのミスに関して、福島県福島市の小林克弘健康福祉部長ら5人は記者発表で、その経緯と原因を説明し、謝罪しました。「福島県では震災対応などがあり、一人の職員に負担が集中した、今後はチェック体制を徹底する」という旨を述べています。
  福島市は、生活保護受給者の介護保険料の事務処理に誤りがあった52人に対しては、戸別訪問で直接謝罪し、また二重払いとなった生活保護受給者には、改めて後日還付するとしています。

     

衆院選で生活保護の改革を訴える政党、少ないのはなぜ?就労支援の重要性|横浜

衆議院総選挙の投票日が12月16日と迫ってきておりますが、衆議院選で生活保護の制度改革について、訴える政党が少ないのはなぜでしょうか?

生活保護を受給している人は、全国で213万人を超え、2012年度の生活保護費の給付総額は3兆7千億円にも達するだろうと見られています。それには、高齢化の影響もありますが、問題は働き盛りの生活保護受給者の申請が増え続けているうえに、いったん生活保護を受給すると、そこからの自立がしにくいという状況になっている方々がまだまだ多いということが挙げられます。

その背景には、生活保護受給者は、保険料や病院でかかる負担が免除(医療扶助)されているほか、家賃(住宅扶助)や生活費にあたる生活扶助により、生活保護費が支給されています。最低賃金より生活保護費支給額が高い地域もあり、それはそれで問題とされていますが、生活保護から自立した途端、全ての負担がのしかかります。
そういったことから、やっと生活保護の申請者に通り生活保護費を受給できるようにると、さまざまな免除(扶助)で生活できてしてしまう。そしてなかなか生活保護から抜け出せない為に、生活保護からの自立が進まないという悪循環に陥っているのです。

そんな生活保護の状態であるのに、各党の政権公約ではこうした働く意欲が揺らぐ要素を取り除く政策がほとんど見あたらないのです。

各党の中でも自民党が政権公約に掲げた「生活保護の給付水準の10%引き下げ」は目を引きます。生活保護に頼らないで働いている低所得者の生活水準と整合性をとり、不平等を無くすという意味で、この方向は正しいと考えられています。
しかし、生活保護費の支給総額のほぼ半分を占めるのは、受給者にかかる医療費なので、ここにメスを入れない限り、真の生活保護の制度改革は進みません。

日本維新の会は、維新八策には「医療扶助の自己負担制の導入」と明記していましたが、公約ではその文言がなくなったそうです。
民主、自民両党とも、窓口での自己負担については消極的です。生活保護受給者が病院窓口で一部でも負担するようになれば、病院側も生活保護受給者も意識が変わり、過剰な投薬や診療に歯止めがかかるはずだと考えられますが。

生活保護受給者にかかる医療費の抑制策として、自民党は公約に「後発薬の使用義務化」「診療報酬明細書の電子化によるチェック機能の強化」といった項目を並べたのに対し、民主党も「後発薬の使用促進」を掲げてはいます。
しかし、これらは国民全体を対象にした医療費抑制策であって、生活保護の受給者だけに適用するのはおかしいとの声も。

生活保護は本来、高齢や傷病などで本当に生活に困っている人のための最終的な糧となる生活手段です。生活保護という制度を維持するためにも、働ける受給者の自立を促す抜本的な改革が必要です。

神奈川県横浜市や、栃木県宇都宮市のように、就労支援を強化し、また生活保護を申請する前の段階として、生活保護申請者に就職先を優先して紹介するなどして、まず生活保護の申請者を減らし、既に生活保護を受給している方には、就労支援を積極的に利用してもらうといった実施が、これから益々重要になってくるでしょう。

神奈川県横浜市の生活保護受給者への就労支援
栃木県宇都宮市の生活保護受給者への就労支援