本当に健康で文化的?全国一斉生活保護110番に寄せられた声

全国一斉生活保護110番に寄せられた「助けて」の声

全国青年司法書士協議会が2014年4月27日に「全国一斉生活保護110番」を行いました。

全国に住む生活困窮者(生活保護受給中の人を含む)を対象に、電話相談窓口を開設し、その後の対応が必要なケースについては福祉事務所等への同行や審査請求といった手続の情報提供や申請サポートといった支援を目的としています。

寄せられた相談は385件に上り、相談件数のうち生活保護利用者らが218件、利用していない人からが146件、それ以外の相談が21件でした。

生活保護を利用していない人からは、「申請をしたいけど自分は受給対象になるの?」という質問が多く寄せられたそうです。

一方生活保護利用者からは、昨年8月と今年4月の二回にわたって保護基準を引き下げられたことと、4月からの消費税増税が暮らしを圧迫しているとの声が上がりました。

「税金が上がり、生活費(食品)とガスも厳しい。何年もお風呂に入ることさえできず、シャワーも水を使うだけ。冷暖房も使えず、100円単位で苦しい生活だ」と東京都の男性は話したそうです。

本当に健康で文化的?生活保護受給者への支援を

生活保護制度は、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障して自立に向けた援助をする制度です。文字通り、保証されるのはあくまで最低限度の生活ですので最後のセーフティネットと考えられています。

しかし、昨今の情勢を踏まえると、デフレによる物価の下落などを理由に昨年8月に生活保護基準の引き下げを強行し、さらに今年の4月には消費税が増税されました。

さらに2015年10月には消費税10%への引き上げが予定され、生活保護受給者にとって不安が募る一方です。

身体を清潔に保つことができない、食べ物も不十分で常に空腹と戦っている…こんな状況下におかれている生活保護受給者が本当に「健康で文化的」な生活を送っているといえるのでしょうか?

全国青年司法書士協議会では、全国一生活保護110番を通して相談支援や同行支援といった場面で成果をだしています。今後も、このような活動によって、憲法で保障された市民の生存権を守りつつ、生活保護制度の改悪を食い止めたいと話しています。

生活保護を受ける前に、知っておきたい4つのこと
高齢者が生活保護を受けるには?
高齢者の生活保護と年金、どう向き合えばいいの?
どうやって生活保護を申請すればいいの?
生活保護のメリットとは?

生活保護自立支援プログラムの成果、18年ぶりに受給率低下

北海道釧路市で18年ぶりに生活保護受給率低下

北海道の釧路市では、人口千人当たりの生活保護受給者数を示す生活保護率が、2013年度は前年度比より0.5ポイント減の54.6となったことを明らかにしました。

0.5ポイントとは小さな数字に思えますが、生活保護受給率の低下は実に18年ぶりです。

2013年度の生活保護受給者は182人減の9853人です。受給している6637世帯のうち、最も多いのが高齢者世帯です。
高齢者世帯が占める割合は全体の40.3%であり、傷病者、母子家庭世帯、障がい者と続きます。

生活保護自立支援プログラムの成果とは?

北海道釧路市では、生活保護を受給している方が自尊心を持ってもらえる活動を実施しています。

有償・無償のボランティア活動などを通じ、生活保護受給者自身が地域に貢献しているという意識を持ちながら居場所を得られるように配慮しているそうです。

このような活動をきっかけに、新たな就業の場の発掘につながったり、再就職の道が開けたりと、自立した生活が営めることを目指しています。

働き口がなかなか見つからず社会から孤立してしまいがちな高齢者であっても、自尊意識を回復できる効果のあるプログラムであるといえます。

この体験を経て2013年度に生活保護から自立した人は、前年度比99人増の133人となり、受給を取りやめた685人の19.4%を占めました。

また、受給は継続しているものの、プログラムを経て就労に結び付いたケースは395人であり過去最多となりました。

生活保護からの自立というと、就労して自分で生活費を得るということばかりに目が行ってしまいがちですが、このように生活保護受給者が生きがいや自尊心を得られる活動による支援プログラムが効果的であることが結果として分かっています。

釧路市に倣い、職業訓練などの就労支援とともに、受給者本人の心の支援も各自治体で必要とされているのではないでしょうか。

生活保護を受ける前に、知っておきたい4つのこと
高齢者が生活保護を受けるには?
高齢者の生活保護と年金、どう向き合えばいいの?
どうやって生活保護を申請すればいいの?
“生活保護のメリットとは?

高齢者の生活保護、親族が確認しておくべき2つのこと

生活保護受給者のうち、約4割を高齢者が占めています。

生活保護を受けている高齢者は、単身または夫婦で暮らしている場合が殆どです。

ただし、身寄りが全くないという場合は少なく、ご兄弟や子どもがご存命でいらっしゃるケースがあります。

生活保護を受けていた高齢者が死亡した場合、遺族はどのように対応すれば良いでしょうか?

葬祭扶助と、亡くなられた方ご本人の生活保護費の返還についてご説明します。

生活保護を受給していた高齢者が亡くなった場合

生活保護受給者に限らず、人が死亡した場合には7日以内に必ず戸籍の死亡届を出さなければなりません。

死亡届を出していなければ、埋火葬許可証を受け取ることができず、葬儀を行うことができません。

生活保護を受けていた方が死亡した場合、福祉事務所に届け出る必要があります。

葬祭の費用は、身内の負担が優先されますが、本人が残した預貯金・現金などの遺留金品があればそれらが充てられます。

葬祭扶助制度について
亡くなった被保護者ご本人と同じ世帯に属していたご遺族の場合、葬祭扶助制度が適応されます。
しかし、亡くなった被保護者が単身であった場合、ご遺族とは世帯は別々ですので、葬祭扶助制度を利用することはできません。
あくまで生活保護世帯であるご遺族が葬儀費用を捻出できない場合に支給されます。
葬祭扶助は、検案・死体の運搬・火葬または埋葬・納骨その他葬祭のために必要なものの費用として支給され、対象となるのは故人の子、父母、祖父母、孫、兄弟姉妹(扶養義務者)です。
故人が生活保護を受けていたからといって、必ず葬祭費用を負担しなくて良いというわけではありませんのでご注意ください。

亡くなった被保護者の分の生活保護費は返還義務があるの?

通帳の預金について
生活保護を受給していた世帯の一員が亡くなった場合、その分の生活保護費はどうなるのでしょうか?
まず、生活保護受給者が保護を必要としなくなった場合、速やかに保護の廃止が決定されます。
過去のケースでは、生活保護の趣旨に反する目的ではなく、不正受給によって貯蓄した者でなければ、亡くなる前に支給された生活保護費でも返還を強制されなかったという事例があります。
しかし、死亡したことの事実の把握が遅れ、廃止決定の前に振り込まれてしまった翌月分の保護費については債権として扱われ、返還の処理が必要となります。

生活保護を必要としている高齢者は、単身または夫婦で暮らしていらっしゃる場合が多いといわれています。

ご自身の親や兄弟といった親族に生活保護者がいるなら、先を見据えて確認しておくべき項目は様々あります。

特に、葬祭扶助制度は生活保護者のご遺族が必ず受けられる制度であると勘違いされている方が多いようですのでご注意ください。

また、金銭的な援助ができないからといって親や兄弟と縁を切るのではなく、身近にできる心のケアや生活の支援なども親族の務めであるといえます。

生活保護を受ける前に、知っておきたい4つのこと
高齢者が生活保護を受けるには?
高齢者の生活保護と年金、どう向き合えばいいの?
どうやって生活保護を申請すればいいの?
“生活保護のメリットとは?

高齢者の生活保護と年金、どう向き合えばいいの?

生活保護受給者のうち約4割を65歳以上の高齢者が占めています。
高齢者が生活保護を受ける理由として最も多いのが、受け取っている国民年金の額だけではどうしても暮らしていけないような生活に厳しい状況にあることです。

しかし、生活保護を受けている後ろめたさから趣味にも励むことができず、孤独死を迎えてしまうといったケースが少なくありません。

年金と生活保護を同時に受給する落とし穴

「年金と生活保護って一緒に受給しても大丈夫なの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

高齢者の単身世帯の最低基準を下回る年金しか受取れない場合、それを補う分として生活保護を受給できるケースがあります。

つまり、生活保護と年金を併用しても最低基準以上の収入は得ることができません。

福島県郡山市の例でいうと、高齢者単身世帯の最低基準は62,130円(平成25年8月現在)ですから、それ以上裕福な暮らしはできないということです。

「国民年金を真面目に納めるなんてばかばかしい!老後は生活保護に頼った方が楽だ」という考えを持っている人の声をよく耳にしますが、生活保護を受給する以上、ゆとりある第二の人生とは無縁の苦しい毎日を送らなければなりません。

働きたいのに働けない、高齢者に雇用の機会を

平成20年度の内閣府の調査では、60歳くらいで仕事を辞めたいと思っている人はわずか1.3%という結果でした。

65歳まで働きたいと考えている人は19%、70歳までと答えた人は26%、「働けるうちはいつまでも」と答えた人は実に40%にのぼります。

働くことで生きがいを感じたい、身体の衰えを防止するため、といった様々な理由が挙げられますが、やはり一番の理由は収入であり約半数を占めました。

このような現状を踏まえ、佐賀県では2014年4月より高齢者の就職を支援する「70歳現役応援デスク」を設置することを決定しました。

佐賀県町内の「しごと相談室」に応援デスクを設け、新年度より求人開拓の体制を強化したいという意向です。

国勢調査や国立社会保障・人口問題研究所では、県の生産人口(15~64歳)は、2010年は51万7千人だが、40年には約70%の36万人まで減少するとの予測をしています。

2014年度は、Uターンなどの就職者20人に加え、高齢者30人の就職を目指しており、県雇用労働課では「70歳以上の人も歓迎。元気な高齢者の活躍を推進したい」としています。

定年後も健康で生きがいを感じながらいきいきと働ける場の提供が求められており、全国で高齢者雇用の機会を増やそうという動きが広まっています。

生活保護を受ける前に、知っておきたい4つのこと
生活保護の受給条件とは?
生活保護ってどのくらいもらえるの?
どうやって生活保護を申請すればいいの?
“生活保護のメリットとは?

生活保護に頼らない!シングルマザー就職支援まとめ

母子世帯のお悩みは、子どもの将来のこと。
生活保護を受けて育った子どもは、成人しても再び生活保護を受給してしまう傾向にあり、母子家庭世帯ではそれが顕著だそうです。
離婚や死別など、母子家庭になってしまった理由はそれぞれ。しかし、子どもには責任はないはずであり、貧しい暮らしを味わわせていることに心を痛めている方も多いのではないでしょうか。

子どもの未来の選択肢を少しでも増やしてあげたい、そんな思いで子育てを頑張るお母さんへ、母子家庭の母親の就職を支援するさまざまな機関や制度をご紹介します。

シングルマザー応援!母子家庭でも生活保護に頼らず生きる

母子家庭等就業・自立支援センター
母子家庭等就業・自立支援センターは、母子家庭のシングルマザーに対して就業相談の実施、就業支援講習会の実施、就業情報の提供など、トータルで就業支援サービスを提供しています。
母子家庭就業・自立支援センターには国の機関や共益法人・社会福祉説等の関係団体などの非常勤職員の求人情報が提供されています。
就業相談・就業促進活動
母子家庭の母親などが就職についての相談ができます。家庭の状況や就業能力の適正、就業訓練の必要性などをふまえた、就職への意欲を持たせるアドバイスを受けながら、求人の情報を提供してもらえます。
就業支援講習会等事業
就業経験がない・専業主婦だった期間が長かったなど、就職希望があっても仕事と家庭の両立ができるか不安なシングルマザーに対しての必要な技能の習得や、キャリアアップ・起業のためのノウハウを学びたいという母子家庭の母親のニーズに応えて、仕事に結び付きやすい資格や能力を習得させるための講習会を開催しています。
就業情報提供事業
就業支援講習会の修了者などの求職活動を支援するために、ハローワークを主とする就業紹介機関と連携しながら求人情報を適宜提供している事業です。
特別相談事業
母子家庭の生活の安定と児童の福祉を豊かにするために、養育費の取り決めなど生活に密着した様々な法律・経済問題について弁護士などの専門家による相談事業を実施しています。

全国の母子家庭等就業・自立支援センター(母子寡婦福祉会併設)はこちらから参照できます

ハローワーク(マザーズハローワーク)
子育てをしながら就職を希望している方に対して、キッズコーナーの設置など子供連れでも来所しやすい環境を整えているハローワークをいいます。予約による担当者性の就業相談、地方公共団体との連携による保育所の情報提供、仕事と子育ての両立ができやすい求人の提供など、トータルサポートを受けられます。
マザーズコーナー
また、マザーズハローワークやマザーズサロンが設置されていない地区では、新たな事業拠点としてマザーズコーナーを設置して同様のサービスを展開しています。

全国のマザーズハローワークの案内はこちら

自立支援教育訓練給付金
母子家庭の母親が能力を身に付けることを支援するもので、雇用保険の教育訓練給付の受給資格のないシングルマザーが教育訓練講座を受講し、修了した場合にその経費のうち20%が支給されます。この対象となる教育訓練講座は、雇用保険制度の教育訓練給付の指定教育訓練講座に加え、都道府県が地域の実情に応じて定めることとなっています。
高技能訓練促進事業
母子家庭の母が、看護師・恋後福祉士などの経済的自立に効果的な資格の取得を支援するために、養成機関で2年以上修業する場合において高技能訓練促進費が支給されます。この対象となる資格は、看護師・介護福祉士・保育士・理学療法士・作業療法士などがあります。
これに加えて、無利子の母子寡婦福祉貸付金(生活資金または技能習得資金)を利用でき、受講期間でも生活費に困らないような経済的な支援も行っています。

母子家庭になったからといって誰もが生活保護を受給できるわけではありません。
生活保護はあくまで、資産や能力全てを活用してもなお生活に困窮する方に対しての制度です。
甘んじた気持ちで受給をしては、あるはずだった自分と子どもの明るい未来を捨ててしまうことになりかねません。
生活保護の申請を考える前に、もう一度考え直してみてはいかがでしょうか?

母子家庭で生活保護の申請を考えている方へ。お役立てください。
母子家庭での生活保護、知ることから始めよう
母子家庭、生活保護の連鎖が問題に
母子家庭での生活保護、車の所有について
母子家庭の生活保護 よくある質問まとめ
母子家庭での生活保護にはメリットとデメリットがある

母子家庭での生活保護、貧困の連鎖

母子家庭世帯、生活保護の連鎖が問題に!

生活保護世帯に育った子どもは、成人になって再び生活保護を受給している傾向があるという調査結果が出ており(全世帯の25.1%)、特に母子家庭世帯ではそれが顕著だそうです。

調査によると、生活保護の世代間連鎖は40.6%もの世帯で確認されており、 その理由が・・・・
「親の低い学歴(66.0%)」「10代出産の母親(26.4%)」「母の精神疾患罹患(33.4%)」などといったことがいくつも重なり合っているようです。

生活保護を受けなければ生活ができないほどの貧困が連鎖し、固定化されてしまっている状態が続けば、働かなくても最低限の生活ができるという考えが世代間をとおして受け継がれてしまう恐れがあるでしょう。

母子家庭での生活保護の連鎖を断ち切るために!もっと子育てと学習支援を

生活保護を受けている母子家庭世帯の全部が連鎖するとは限りません。
生活保護で育った子どもの中には、逆に一生懸命勉強し母を支え自立した子どももいます。
「どうせ自分なんか・・・」とあきらめてしまっている生活保護母子家庭世帯の子どもも多くいます。

その差は何なのかと言えば、
本人が将来に対して、「具体的な目標を持ち、それに向けて頑張る」ことと、「どうせ自分は」とあきらめてしまう前に、福祉事務所のケースワーカーなどが学習支援のサポートや導きを行ってくれるか否かで明暗が分かれるのでは、と言われています。

将来なりたい職業があったとしても、生活保護を受けていると「進学する費用がうちにはない」「生活保護で食べていけるんだ」などの意識が根付いてしまうのを防がなければいけないでしょう。
将来、母子家庭世帯の生活保護の連鎖を防ぐために、就労支援だけでなく、「子育てや学習の支援」を充実させる必要があるのです。

また、社会や行政の支援の他にも、親も子どもの教育へ関心を持つことが重要です。
生活することに精一杯で、子どもの教育まで関心が回らないことは、生活保護の世代間の連鎖になる一因でもあるのです。

それを防ぐために、生活保護の母子家庭世帯での「親の教育」が、今後ますます重要になってくるでしょう。

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母子家庭、生活保護を受けるメリットとデメリット

生活保護を受ければ、生活が楽になる!など、必ずしも良いことばかりとはいえません。

特に母子家庭世帯ではお子さんのことをいちばんに考えたうえで、生活保護の申請をする必要があります。
そこで、母子家庭で生活保護を申請する場合には、どんなメリットとデメリットがあるのか比較してみました。

母子家庭で生活保護を受給するメリット

  • ・経済的に生活が安定する
  • ・医療費の負担がなくなる
  • ・年金などの税金の負担がなくなる
  • ・給食費など就学中にかかる費用の負担がなくなる

母子家庭で生活保護を受けるメリットは、まずいちばん考えられるのが経済的な面で安定するということではないでしょうか。

なぜなら母子家庭となっていちばんの問題は、何といっても仕事と子育て両立させることが難しく、資格などを持っていなければ、スキルの習得にも時間がかかるためなかなか十分に収入を得る仕事に就くことができないことで悩まれるシングルマザーが多いからです。

ですから、母子家庭で生活保護を受ければ、最低限度とはいえ暮らしが保障されるため、経済面での安定が最大のメリットです。

また、母子家庭で生活保護を受ければ、税金や医療費を負担しなくてよいため、お子さんが小さいうちは、病院にかかる機会が多いので、お金がなくて病院にも通えないという不安がないので安心して利用できます。

母子家庭で生活保護を受けた場合のデメリット

  • ・お子さんのために預貯金が出来ない
  • ・自動車の所有が特別な理由がない限り認められない
  • ・家賃の上限があるため条件に合う借家が選びにくい
  • ・借金や賭け事、贅沢品の購入が限られる
  • ・お子さんに肩身の狭い思いをさせてしまう可能性が大

母子家庭で生活保護を受けた場合のデメリットとして、まずあげられるのが、貯金をすることができないということです。

生活保護費として支給されたものは、お子さんの預貯金などにすることは禁止されています。生活保護費は、生活をするうえで必要最低限の生活をするために支給されているため、貯金に残すお金があってはおかしいと判断されてしまいます。

ですから、母子家庭で生活保護を受ける場合は、預貯金ができないため、お子さんが進学希望した際に、進学のための資金がなく不自由な思いをさせてしまうことになる可能性が高くなるでしょう。

また、生活保護を受ける場合、アパートなどの借家で暮らしている方は、家賃に上限があるので気をつけなければなりません。 そのため、母子家庭で生活保護を考えているなら、お子さんの成長に伴い部屋の数や広さに加えて、音が響かないかどうか?なども考慮して選ばなければならないでしょう。

さらに、生活保護費は最低限の生活を保障するものであるため、借金の返済や賭け事はもちろん禁じられています。娯楽品の購入ももちろん限られます。自動車を持つことも特別な理由がなければ許されません。

ですから母子家庭世帯では、生活保護を受けているがために、お子さんにさまざまな面で我慢をさせなければならならないことが多くなります。友達を羨ましがる部分が出てくる可能性はおおいにあるでしょう。

母子家庭で生活保護を受けるにあたって、まとめ

母子家庭で生活保護を受けることは、経済面でいえば最低限の生活ができる程度に保障されます。

しかし、自動車の所有が認められない、貯金が出来ないなど、自由が利かないことも多くでてくることがお分かりになったでしょう。

特に母子家庭世帯では、あなた1人の問題ではなく、お子さんの進学などの将来のことも考えて申請するかどうか決めることが大切です。

生活保護は経済的なメリットばかりではなく、さまざまなデメリットと見比べて、申請するかどうか選択してください。

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母子家庭の生活保護 よくある質問まとめ

現在、生活保護を受けている人の中で、母子家庭の割合は全体の10パーセントを占めます。しかし、厚生労働省の調べでは、生活保護を受けていない母子家庭の約80パーセントが生活保護の水準以下のレベルで生活をしていると分かっています。
男性と女性では賃金の格差があり、子育ての負担も女性の方が大きく、男女平等とは言えないのが現状です。
そんな中、一つの選択肢として生活保護を受けることも考えられます。生活保護に対するマイナスのイメージや、子どもの将来にまで影響するのではないかという生活保護への不安もあるのでしょう。
そこで今回は、母子家庭の生活保護についてよくある質問をまとめました。

母子家庭の生活保護についてよくある質問まとめ

Q.母子家庭で生活保護費を受けるにも条件があるの?
A.母子家庭世帯なら全員が生活保護を受けられるわけではありません。生活保護を受ける前に、所持している資産は生活費に充てること、シングルマザーの能力に応じて自力で収入を得ること、扶養義務者(親戚など)からの扶養を活用すること、母子家庭で受けられる他の制度を活用することです。それでも生活が困窮する状況であれば、生活保護窓口に相談に行きましょう。
→母子家庭で受けられるさまざまな支援制度をご活用ください
Q.母子家庭で受けられる住まいの支援はどんなものがあるの?
A.母子家庭で受けられる生活保護のうち、住宅扶助というものがあります。住宅扶助は、月々の家賃や引っ越しにかかる保険金や敷金、礼金、そして住宅補修の維持費が支給されます。母子家庭では、まず安心してシングルマザーと子どもと一緒に暮らせる場所を確保することが大切ですので、済むところに悩んでいる世帯にとってはとても助かる救いの手であるといえます。
→母子家庭で受けられる住宅支援について詳しくはこちら
Q.生活保護を受けながら子供を産むには?
A.離婚などの理由でシングルマザーとなる人の中には妊娠中の人もいます。生活保護の中には出産扶助というものがあり、母親の負担を軽減してくれます。この扶助は通院や出産にかかる費用のうち上限24万円を受給できる制度です。
→出産扶助について詳しくはこちら
Q.生活保護を受けながら仕事をしたいときには?
A.生活保護から自立するための支援はたくさんあります。仕事で得た収入全てが生活保護費から差し引かれるわけではありませんのでご安心ください。しかし、子どものアルバイトも世帯の収入と認められますので、きちんと申告しなければなりません。
→生活保護を受けながら仕事をするには?
Q.生活保護を受けていると周りに知られないためには?
A.生活保護担当員やケースワーカーには守秘義務があります。生活保護を受けていることを他言してはいけないことになっているのでご安心下さい。しかし、生活保護の申請の際には扶養義務のある人へ通知がとどきます。また、ご近所の方にケースワーカーの出入りを見られたり、生活保護の相談や手続きで役所へ行く場合に知り合いに見られてしまうなど、気を付けなければなりません。
→生活保護を受けていることを秘密にできるの?

生活保護を受けることに対して、母子家庭にかかわらず後ろめたさを感じてしまうケースが多くあります。周りからの視線を気にしてなかなか申請に行くことさえできず、苦しい生活から抜け出せない生活困窮者が後を絶ちません。生活保護を受けることは決して悪いことではありません。大切なのは、生活保護とどう向き合って生きていくかなのです。
あなたと、あなたのお子さんの未来のために生活保護を一つの選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。

生活保護の不正受給、「知らなかった」では済まされない

生活保護を受給していた神戸市の韓国籍の男性が、高級車「ポルシェ」を所有していたことがニュースで流れ、多くの怒りの声が上がっています。約470万円を不正に受給した疑いで男性は2014年1月15日に逮捕されました。

知らなかったでは済まされない、生活保護の不正受給

逮捕された男性は交通事故で多額の保険金を手にしたにも関わらず、生活保護を受け続けていました。さらに自宅を調べたところ、ポルシェを所有していたことも判明しました。

男性は「保険金を収入として申告しなければいけないことを知らなかった」と話しているそうです。2011年12月から2014年1月までに受け取った生活保護費、約470万円を不正に受給した計算になります。

どうして外国籍の生活保護受給者に対する審査が甘いのか

今回の騒ぎについて、「生活保護支給の審査の基準はいったいどうなっているの?」という騒ぎになっています。

日本の永住者、定住者、日本人配偶者がいるなどの在留資格を持っていれば、外国籍であっても生活保護を受給する資格があり、日本人となんら変わらない審査を受けます。
ただし、日本人であれば扶養義務のある親族に対して生活援助ができるかの調査を実施しますが、外国籍の場合は戸籍をたどるのが困難であり、調査が実施できないこともあります。
また、税務処理などを確認し、受給者に収入があることを見つければ支給を打ち切ることもできますが、盗難や闇取引などは発見が難しく、警察の協力が必要になってしまいます。

生活保護受給の責任とは?

生活保護受給者の国籍に関わらず、生活保護の不正受給は後を絶ちません。今回のように保険金を申告しなかったり、車や土地を隠し財産として所有していたり。
生活保護費は、国民が払っている税金によって支払われています。
「今の会社でうまくやっていけそうにないから、仕事を辞めて生活保護を受けよう」
「離婚したら母子家庭になって大変だから生活保護を受けよう」
など、気軽な気持ちで申請するべきではありません。もちろん、窓口では働く努力をし、所有している財産があれば生活費に充てるように指導されることでしょう。

生活保護受給者は申告の義務や、責任があることを知ったうえで受給していなければならないはずです。知らず知らずのうちに不正受給になっていたというケースに陥らないためにも、生活保護がどんな制度なのか改めて知っておくべきではないでしょうか。

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生活保護のケースワーカーってどんなお仕事?

これまで、生活保護を受けている、受けたいと思っている方の立場でさまざまな疑問やニュースを紹介してきました。生活保護窓口での水際作戦が問題になっている今、ケースワーカーの背景にはどんな事情があるのでしょう。今回は生活保護のケースワーカーのお仕事についてご紹介していきます。

生活保護のケースワーカーってどんな人?

ケースワーカーというのは福祉事務所で現業を行う職員の通称です。現業というのは、相談援助の第一線で働く職員のことです。現業員、築担当員、ソーシャルワーカーといった呼ばれることもあり、生活保護に限らず、障碍者や児童、高齢者の相談業務を担当する職員も含まれます。簡単な言葉にまとめると「福祉・介護・生活の相談員」の人たちのことです。

ケースワーカーのお仕事って?

生活保護のケースワーカーは、主に以下のような仕事をしています。

  • 生活困窮者の相談にのる
  • 必要な援助を行って相談者の自立支援をする
  • 必要におうじて、生活状況についての聞き取り調査のために家庭訪問を行う

ケースワーカーの業務の一つに「家庭訪問」があります。家庭訪問は、生活保護受給者の生活状況を把握するために行われます。主に8:30~17:30の訪問時間で、事前に連絡を取り、指定日時に自宅にいてもらうようにするようです。しかし、不正受給の疑いのある世帯には抜き打ちで家庭訪問が行われることもあります。半年に1回を目安に、聞き取り調査が行われます。

収入はもちろんですが、職歴、病状、資産、配偶者との連絡状況、車の使用実績、求職活動情報など日常の生活に関することを質問します。また、調査だけではなく、最近の生活で困ったことや、悩みごとの相談など話し相手としての精神的な支援を行うこともあります。

生活保護のケースワーカーが不足しているって本当?

ケースワーカーの数は社会福祉法によって定められています。生活保護受給世帯はケースワーカー一人あたり「市部で80世帯」・「郡部で65世帯」を受け持つことを標準的なケースワーカー数としています。

しかし、2012年の全国平均受け持ち世帯数はケースワーカー一人当たり93世帯と標準を大きく超えてしまっています。一日ごとに生活保護受給者は増え続け、一世帯に充てられる時間が少なくなっているのが現実です。2013年にはケースワーカーの増員が定められましたが、各地方自治体の判断次第となっているため、財政が苦しい市町村で実現されることは難しいでしょう。生活保護法の改正で扶養義務の取り締まりや、不正受給対策などの取り決めがなされましたが、ケースワーカー不足も生活保護が抱える大きな問題といえます。

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