生活保護手前で支援する「生活困窮者自立支援制度」まとめ

厚生労働省が平成30年に行った生活保護の被保護者調査では、被保護実人員は2,103,666人となり、対前年同月と比べると28,010人の減少、被保護世帯は1,635,280世帯となり、同じく前年と比べると2,125世帯が減少しています。

減少傾向にはありますが、このほかに福祉事務所来所者のうち生活保護に至らないと判断された人は約30万人もいることをご存知でしたでしょうか? ここでは、そんな生活保護に至らない生活困窮者を支援する制度をご紹介しています。

生活保護に頼らないために!生活困窮者自立支援制度とは

生活保護制度は知っていても、一歩手前の生活困窮者自立支援制度をご存知ない方は意外と多いのではないでしょうか? 知っておけば必ず役に立つ情報をまとめましたのでご一読ください。
▼利用できる支援の一例
・福島県「生活困窮者自立支援支援制度」 生活困窮者の状況に応じて、住宅確保の支援、就労に向けた支援、家計管理の支援等を行う。・福島県 郡山市「就労訓練事業(中間的就労)」 すぐに一般就労することが難しい方や、長い間就労していない方のためにその方に合った就労機会(就労体験・就労訓練)を提供しながら、個別の就労支援プログラムに基づき一般就労に向けた支援を中・長期的に実施するもの。 ・福島県 郡山市「生活福祉資金貸付事業」 他の貸付制度が利用できない世帯に貸付と必要な相談や支援を行います。 ・福島県 郡山市「こおりやまフードバンク事業」 様々なご事情から生活が困窮状態となった方に一時的に食料品を無償で提供します。(在庫状況により提供できる食料品には限りがあります)

生活保護に頼る前に勇気を出して相談を!

生活保護はできるなら受けたくはない。働いて自立したい。 福島県郡山市を例にとってみても、そんな方達を支援する相談窓口は少なからずあります。 まずは、勇気を出して窓口へ相談してみることが大切です。 【生活保護について関連記事はこちら】生活保護一歩手前で受けられなかった方へ自立支援制度という選択パチンコ問題から学んだ生活保護のこれからの課題水際作戦に引っかからないために|生活保護申請時の答え方生活保護に頼らない!「生活困窮者自立支援制度」とは?生活保護費が突然の減額?期末一時扶助の誤解

ホームレスが生活保護を受けない理由

ホームレスの方は、その呼ばれ方の通り住所がありません。したがって生活保護は受けられないと思っている方もいらっしゃるかと思いますが、実際は違います。

ここでは、ホームレスの方はなぜ生活保護を受けられるのに受けないのかについて特筆します。

「知らない・申請しづらい・集団生活は嫌」生活保護、ホームレスの実態

結論から言えば、ホームレスの方は住所が無くても生活保護を受けることができます。
しかし、それをせず路上で生活している理由として以下の3つが考えられます。

1、生活保護の制度がある事自体を知らない
そもそもの問題で、社会制度に関する知識がない方がこれにあたります。
しかし、厚生労働省が発表した「ホームレスの実態に関する全国調査報告書(P57)」を見ると、全体でその割合はわずか3.3%と思ったよりも低いのが現状です。
2、生活保護制度は知っているが、自分は利用できないと思っている
この勘違いが一番多く、52.6%と全体のおよそ半数を占めています。生活保護制度についての知識がないために、本来受けられる支援を受けられていない、という事のようです。
3、自立支援センターや、更生施設での集団生活が嫌
ホームレスの方が生活保護を受給すると、主に以下の2つの支援施設へ入所することになります。
しかし、その施設の生活環境、特に衛生面が劣悪であったり、そのほとんどが一般的に考えて無理な人数での相部屋で、さらに規則が厳しいなどが理由の一つのようです。
・ホームレス自立支援施設
・ホームレス緊急一時宿泊施設

その他、少数派の意見として、「必要性を感じない」「手続きが負担、役所の世話になりたくない」「年金収入や資産があるから」などが挙げられています。

ホームレスに生活保護が受けられる事実を伝えることが必要

路上で生活しているホームレスの方々の多くは、生活保護制度についての情報がなく、何が何だか分からないから今のままでいい、といったケースもあります。

これからの支援で重要なことは、生活保護法では住民登録をしていない路上生活者でも生活保護の申請はできるということを十分に伝えていくことではないのでしょうか?


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認められる生活保護「自営業者・経営者」も申請可能

会社の経営者または自営業である場合、生活保護は受けられないと思われている方が相当数いらっしゃいますが、そんなことはありません。

ここでは、会社経営者が生活保護を受けるための注意点をご紹介します。

生活保護法で定められている「無差別平等」の考え方

現在の生活保護法では、以下のように定められています。

生活保護法 第二条(無差別平等)
すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。

つまり、会社経営者でも、賃金労働者でも関係なく要件さえ満たせば生活保護は受けられるという事です。

また、経営者の場合には、必要であれば以下のような費用も支給される決まりになっています。

・生業扶助では、生業を営むのに必要な資金や器具、資材の購入費が支給される

収入を得るために必要な車や工場、商店などは保有が認められています。

しかし、仮に「車を処分しないと生活保護は受けられない」と役所から商売に必要な機械や車を処分するように指導されたとしたら、その際には経営を立て直し、自立をするのに必要である旨を具体的に訴え、保有を認めてもらう必要があります。

生活保護を受けられるかどうかは「従業員の有無」もカギ

無差別平等とはいえ、自営業の場合、従業員がいるかいないかで生活保護を受けられるかどうかが変わってきます。

【受給できるケース:自営業で1人の方】
前項で既述した生活保護の条件を満たしていれば受給できる可能性があります。

【受給が難しいケース:自営業で2人以上の方】
収入や経費の認定が非常に難しく、家族や親族が従業員であったり、事業主が会社の借入の保証人になっている場合が多いので、生活保護の需給は難しくなります。

参考までに、個人で営むタクシー運転手や小規模な飲食店などで、従業員が他にいなく、収入や経費の把握がしやすい方は受給できる可能性があります。

生活保護だけが解決策ではない場合もある

これまで、自営業の方は生活保護を受けられるのかについて特筆してきましたが、生活に苦しい、特に借金がある場合などは、自己破産というのも生活を立て直す一つの選択肢となります。

そのような制度も視野に入れて、今この苦しい生活をどう立て直すのかを考えることが大切です。

制度について詳しく分からない、どうしたらいいのか分からないで一人で悩み続けるよりは、まずは福祉事務所へ相談するとよいでしょう。


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水際作戦に引っかからないために|生活保護申請時の答え方

水際作戦に引っかからないために|生活保護申請時の答え方

生活保護の申請時の面談で、適当な理由を付けて申請を拒否する、いわゆる「水際作戦」が行われることがあります。

これは、法律では間違っている理由を申請者に言って、申請自体を諦めさせるものです。

申請者が生活保護について正しい知識を持っていないと、本来受けられるべきものが受けられないという事態が起こってしまいます。

ここでは、申請時に間違った理由で拒否されそうなときの答え方について特筆します。

生活保護申請時に言われた「法律的に間違った」意見に対する答え方

生活保護を申請しようとする一般の方の多くは、生活保護制度について詳しくは分かりません。

そこにきて法律的には間違っているにも関わらず、堂々たる態度で「こうだから、あなたは申請できません。」と言われてしまうと、「そうなんだ。」と納得して帰りがちです。

しかし、少し知識を頭に入れておけば、水際作戦を回避できることもあるのです。

あなたの身を守るのは、あなた自身なのです。

(1)年齢を理由に申請を拒否されるケース
若いから。それだけの理由で拒否されたなら、それは間違いです。
生活保護の申請と年齢は関係ありませんし、そのような条件もありません。例え20代でも申請は可能です。
(2)無職を理由に拒否されるケース
若いから働けるでしょう?もしくはハローワークに先に行ってください。と言われたら、それは間違いです。
若くても、仕事が見つからない、もしくは体調不良で働けないなどの理由であれば、申請は可能ですし、働ける状態であったにしても、すぐに就職できるとは限りません。
就職できるそれまでの間生活するお金がない、どうしようもないくらい困窮していることを伝えましょう。
ハローワークは申請後に行くので、申請書を下さいと言ってみるのも、一つの手です。
(3)口頭で却下されるケース
相談の内容を聞いただけで、「あなたは生活保護には該当しません。」と言われたら、間違いです。そもそも福祉事務所の担当者に口頭だけで却下する権限はありません。
該当しないのであれば、いったん申請を受け付け、調査した後に却下通知書という書面でその旨が知らされます。

この他にも、様々な理由で申請を拒否されることが予想されますので、生活保護を申請しようとお考えの方は、一度生活保護法について勉強しておくと安心です。

自分の勉強では不安という方はNPO法人などに相談

自分で調べたり、勉強しただけでは不安という方は、役所とは違う機関(NPO法人)などの相談員へ相談してみても良いと思います。

生活保護の相談員は、役所の塩対応も全てお見通しですので、その上で最適な受け答え方をアドバイスしてくれます。

申請に行ったけれど追い返された。もしくは不安で申請に行けないという事がないように、事前の準備は大切です。


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生活保護の利用に関するトラブル相談窓口「NPO法人POSSE(ポッセ)」

度々報道される生活保護の不正受給のニュースなどで、受給者全体に対する風当たりが強い昨今、役所も相当に厳しい対応をしてくるケースがままあります。

そのような時、「自立できない自分が悪い」と自分を責め、納得は出来ないけれど言う通りにしてしまい、モヤモヤは募るばかり…。なんてことはありませんか?

このような役所へのモヤモヤを相談できる機関をご紹介します。

「NPO法人POSSE(ポッセ)」は生活保護受給者の駆け込み寺的存在

2006年に結成されたNPO法人POSSE(ポッセ)とは、労働相談、労働法教育、調査活動、政策研究、提言を若者自身の手で行うNPO法人です。

その他、社会保険、生活保護、奨学金等の相談にも対応してくれる機関ですので、生活保護を受給する上で、何かお困りの際には、相談できる場所があるということを覚えておくと安心です。

【NPO法人POSSE(ポッセ)連絡先】
メール相談:東京 soudan@npoposse.jp
メール相談:仙台 sendai@npoposse.jp
電話相談:TEL 03-6693-6313

※受付時間は、木曜日18:00~21:00、土曜・日曜日13:00~17:00となっています。
※全国からの相談を受け付けています。

生活保護の利用に関するトラブルの相談から、申請同行をはじめとする制度利用のサポートまで行っているNPO法人POSSE(ポッセ)は、生活保護受給者にとって万が一の駆け込み寺的存在なのかもしれません。

ケースワーカーの言動に疑問を持ったら専門家へ相談

自分では相談する程度の問題でもないと思っていても、専門家からみれば明らかに役所側のミスであったり、誤対応であるというケースは少なくありません。

NPO法人POSSE(ポッセ)では、相談内容に応じた法律、制度の知識や解決の仕方など、アドバイスが受けられます。

また、ケースによっては弁護士などの専門家の紹介もしているそうですので、どうしても我慢できない、この扱いは不当だと思うなどの際は、一度相談してみるのも良いかもしれません。

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生活保護世帯の子供のバイト|きちんと申告で受けられる控除

生活保護を受給している方なら、かなり重要になってくる「子供のアルバイト収入」について、正しい知識を知っておかないと、後々損をしてしまいます。

では、正しい知識を持っていないとどのようなことになるのでしょうか?

ここでは、「知らなかった」では済まされない生活保護における子供のバイト収入について特筆します。

申告しないと不正受給扱いに!?子供のバイト収入は注意が必要

通常、生活保護では収入があると、以下のようにその分を生活保護費から差し引かれて受給します。
生活保護費-収入の手取額=支給される生活保護費

また、働いて得た分だけではなく、市役所から支給される児童手当や児童扶養手当なども差し引かれる対象になります。

これは、子供がアルバイトをして得た収入でも例外ではありません。

子供のバイトが決まったら、その旨をすぐにケースワーカーに申告しましょう。

このことを知らずに報告せずにいると、後から発覚した際に不正受給としてみなされ、収入の手取り額分を返さなくてはならないので、大きな損をしてしまいます。

正しい申告で「基礎控除+未成年者控除」が受けられる!

生活保護でうたわれている自立の助長を基に、働いて得た収入については「基礎控除」が受けられる仕組みになっています。

さらに子供が未成年者の場合、未成年者控除を受けることができます。

その際、子供がアルバイトをして得た収入認定額は以下のようになります。
子供のバイト収入手取り額-(基礎控除+未成年者控除)=収入認定額

基礎控除は収入の金額に応じて控除額が変動します。

厚生労働省 平成30年度生活保護実施要領等【H30基準額】14ページ目を参考にして下さい。

例えば、受給額24万円世帯の子供のバイト収入月額手取りが8万円の場合でみてみましょう。

この場合、収入認定額は下記のようになります。

収入80,000円-基礎控除額21,600円-未成年者控除月額11,400円=47,000円、従って総受給額は240,000円-47,000円=193,000円となります。

高校生なら「就学に必要な費用」は収入認定の対象外に!

バイトをして収入を得るのが高校生であれば、私立高校における授業料の不足分、修学旅行費、クラブ活動費については就学の為に必要な費用として収入認定の対象外となります。

それを踏まえ、授業料の不足分が1万円、修学旅行費とクラブ活動費を合わせて1万円だった場合、最終的に生活保護費から差し引きされる金額は47,000円‐20,000円=27,000円となり、受給額は213,000円という計算になります。

これが、報告なしで不正受給とみなされた場合は、受給額240,000円-バイトの手取り額80,000円=支給される受給額160,000円となってしまいますので、結果、きちんと報告した場合と比べると、53,000円も差が出てくることになるのです。

事態が変わった際にはとにかく報告を!それが生活に困らないための方法です

生活保護世帯の子供がバイトを始める際には、とにかく市役所へ報告しましょう。

とにもかくにも、きちんと市役所の職員に話さなければ、市役所側としても良い解決方向へ導くことが出来ません。

素直な申告があなたの生活を守るのだと心に据え置き、子供のバイトに対処するようにして下さい。

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子供は集団生活の中で、生きていくための様々な知識や経験を吸収していきます。

生活保護を受けているご家庭でも、子供を幼稚園に通わせてあげたいと思うのは親心です。

ここでは、生活保護受給世帯の子供が幼稚園に通えるのかどうかをご説明します。

生活保護費をやりくりすれば幼稚園に通うことは可能

最終的な答えとしては、「月謝さえ支払えれば幼稚園に通うことは出来る」です。

少し回りくどい表現をしたのには以下のような理由があるからです。

・通わせるのは家庭の自由なのでできるが、生活保護からなんの支援もありません
・幼稚園は義務教育ではないため、私立、公立を問わずに保育料(月謝)は支給されません

そのため、毎月支給される生活保護費の中から工面して、幼稚園の月謝等を用意しなければならないため、生活は一気に苦しくなる可能性が高いと言えます。

それを覚悟の上で、あなたは子供を幼稚園に通わせたいと思いますか?

幼稚園の検討は、それほど慎重に考えなければならない事なのです。

どうしても子供を預けたい時に出来る2つの方法

1、「私立幼稚園就園奨励費補助制度」の利用

生活保護のように、全額は負担してもらえないけれど、その一部を補助してくれる制度があるのをご存知ですか?

「私立幼稚園就園奨励費補助制度」といって、入園料と保育料の一部を補助するものです。

補助される園児一人当たりの金額は各世帯の所得と何番目の子供なのかによって変わってきますが、生活保護受給世帯は何番目の子供でも最高額が補助されます。

▼福島県郡山市の例

生活保護法の規定による保護を受けている世帯…308,000円(園児一人当たりの補助限度額:年額)※1

※1…詳しくは、以下の郡山市公式ホームページ「私立幼稚園就園奨励費補助制度のご案内」をご覧ください。
◆私立幼稚園就園奨励費補助制度のご案内

2、生活保護受給世帯の方が子供を預けるなら「保育園」がおすすめ

仕事をしたい、自立したいという考えで子供を預けたい、預ける先は幼稚園か保育園、どちらでもいいというのであれば、幼稚園ではなく、保育園に預けることをお勧めします。

なぜなら、保育園は幼稚園と違い、生活保護受給中の場合、月々の月謝は0円だからです。

もちろん子供を預ければ時間が出来るわけですので、ケースワーカーから就労指導を受けることになります。このように、じっくりと相談や就活できる時間が手に入ります。

就労できない状態で預けたい場合はケースワーカーに相談

前述の通り、自立を目指して働きたい場合には、幼稚園より保育園を検討するのが良いでしょう。

しかし、病気等で就労できる状態ではないのであれば、ケースワーカーに自宅での保育が体調的に厳しいことを相談し、解決策を見つけましょう。

もし、そうではないのであれば、義務教育が始まる小学校までは、自宅で子供を育てる方が色々と問題がなくて良いかもしれません。

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【もっと教えて生活保護】持ち家やローン付き住宅に住んでいても受けられる?

水道光熱費や各種保険料金、住宅ローンなどの引き落としで毎月カツカツな生活を送っている。そろそろ生活保護も考えたいと思っている方がよく疑問に思うことの一つに、「持ち家に住んでいるけれど売らなきゃダメ?」というものがあります。

ここでは、生活保護ではどのように決められているのか?についてご紹介します。

生活保護では原則認められている「持ち家」という持ち物

生活保護では、「当該世帯の居住の用に供される家屋」については、原則として保有を認められています。
ただし、処分価値が利用価値に対して著しく大きいと認められるものについてはこの限りではありません。

例えば、豪邸に近い家に住んでいる場合は売却を求められる、ということです。

また、持ち家でも「住宅ローン付きの家」に住んでいる場合は、以下の理由から生活保護は受けられませんのでご注意ください。

▼生活保護費がローン返済という個人の資産の形成を助けることになるため

原則として、ローン返済の残った住宅は、まず売却してからの生活保護の申請となります。

しかし以下のような例外も認められますので、窓口へ相談しましょう。

▼ローンの返済が金融機関で猶予されるケース
▼ローンの残りがほとんどなく、支払いの残りの期間や金額が少ない場合

このように、現在住んでいる「家」に関しては、条件によっては生活保護を受けられることもありますので、まず福祉事務所に相談した方が良いでしょう。

原則は原則、悩んだりフライングで家を売却する前にまずは相談を

住まいは生活に必要なもので、最低限の生活をするために持っている資産を活用しているという考え方で、保有が認められます。

生活保護でうたっている「資産の活用」とは、けっして売却することだけではないのです。

しかしながら、例外や条件などもありますので、そこは福祉事務所によく確認をしてから、売却等をお考え下さい。

早まって売らなくてもよい家を売ってしまう前にまずは相談することが大切です。

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生活保護一歩手前で受けられなかった方へ自立支援制度という選択

全国で生活保護を受給している世帯は今年1月の時点で164万2971世帯となり、7か月連続の増加であると厚生労働省の発表があったのは記憶に新しいことと思います。

これだけでも相当の数と感じますが、今回注目したいのは、「福祉事務所に相談したが生活保護に至らなかったという方が約30万人もいる」という事実です。

そんな一歩手前で生活保護を受けられなかった方が生活を立て直すことが出来るよう、各種支援制度についてまとめました。

生活保護だけじゃない!生活困窮者をバックアップする自立支援制度について

平成27年4月に新しい仕組みとして創設された生活困窮者自立支援制度は、生活保護制度と比べるとまだまだ周知徹底されていないのが現状です。

しかし、相談者が経済的に自立するための様々なサポートはとても充実しています。

以下に全国の自立支援窓口と、どのようなサポートが受けられるのかについてまとめましたので、生活保護を申請する前にぜひご一読ください。

◆厚生労働省「自立相談支援機構 相談窓口一覧」はこちらからご覧ください

※一覧に、お住いの窓口の連絡先が無い場合は、都道府県、市町村へお問い合わせ下さい。

生活困窮者が受けられる手厚い6つのサポート

1、就労準備支援

コミュニケーションに不安を抱いている方や、その他の諸事情により今すぐに働くことが出来ない方向けのサポートです。


2、就労訓練

その人に合った作業機械を提供し、一般労働に向けた就労訓練を中・長期的に実施してくれます。


3、一時生活支援

住居を持たない方に対し、一定期間宿泊場所や衣食を提供してくれます。退所後の生活に向けて就労支援も行っています。


4、住居確保給付金の支給

住まいを失ったもしくは失うおそれのある方向けのサポートです。就労活動することを条件に一定期間家賃を支給してくれます。


5、家計相談支援

家計の立て直しをアドバイスしてもらえます。必要に応じて貸し付けのあっせんも行い、早期の生活再生を支援してくれます。


6、生活困窮世帯の子供の学習支援

子どもの学習支援、日常的な生活習慣、仲間と出会い活動ができる居場所作りなどをサポートしてくれます。


各種支援制度を上手に利用して生活保護を申請しなくても良い生活を

生活保護を申請しなくても良い暮らしをするための様々な自立支援制度ですので、自分には必要と思うのであれば思い切って相談窓口へ行き、支援員さんへ相談しましょう。

相談した結果、生活保護を受けることになっても、自分を恥じず、積極的に自立に向けて努力されることを願います。

今回ご紹介した自立支援制度があなたの未来を明るくするものでありますように。

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【生活保護ニュース】当事者の声が国政の場に響いた3月30日異例の質疑

3月28日に今年10月からの生活保護基準引き下げを含む2018年度予算が成立された一方で、生活保護の分野では明るい兆しも報道されています。

それは、当事者の声が初めて国政の場に響いた、というものです。

新人議員が過去の貧困を告白、生活保護の現場の声を伝えるリアル

2018年3月30日の衆議院本会議で関連法案として立憲民主党など野党6党が提出した「子どもの生活底上げ法案(正式名称:生活保護法等の一部を改正する法律案)」と政府提出の「生活困窮者の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案」の趣旨説明と質疑が行われました。

注目すべきは、立憲民主党が起用した新人議員の「自分自身が生活保護を受けた経験がある」それに基づいた発言、まさに現場の声を国政の場に届けているリアルさにあると思われます。

自分自身が生活困窮者であった過去を政治の場で告白し、以下のような質問を安倍首相に投げかけたことは異例ともいえるでしょう。

新人議員:「総理は今までの人生の中で生活するお金が無くて困った経験はありますか?」

これに対し安倍首相は「私には生活するお金が無くて困った経験はありません。(生活困窮者に対し)想像力と共感力が欠如しているのではとの批判は甘んじて受けなければならない。」と述べるにとどまりました。

今回の質疑から、少なくとも今後、政府は響き始めた生活保護当事者の声を黙殺することは難しくなりそうです。

当事者の声はどこまで届くのか?生活保護分野で今後も注目の内容

前項のような質疑が行われたとはいえ、もちろんこうした事実によって今すぐ生活保護をめぐる政治の力学が変わるという事ではないでしょう。

しかし、今までなかった「国政の場に当事者の声を響かせる」ということ自体が、今後の変革を期待させる有意義なものであったと思われます。

これにより政府はどう動いていくのか?生活保護受給者(当事者)の声をどこまで響かせることができるのか?今後も注目していきたい内容です。


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