【生活保護の疑問】高齢者の生活保護  介護扶助の範囲(4)

前回の医療扶助の範囲で解説した通り生活保護には8つの扶助があります。
ここでは、高齢者が気がかりな介護扶助について解説します。

介護扶助とは?

介護扶助とは、要介護者及び要支援者が最低限度の生活を維持するための介護や支援を、困窮のために受けられない場合、介護サービスや福祉用具の貸与が受けられるようにするための扶助です。

介護扶助の範囲

要介護者対象
・居宅介護(居宅介護支援計画に基づき行うものに限る)
・住宅改修
・施設介護
・移送(生活保護制度によるもの)
要支援者対象
・介護予防(介護予防支援計画に基づき行うものに限る)
・介護予防福祉用具
・介護予防住宅改修
・移送(生活保護制度によるもので介護保険外)

介護扶助の内容は基本的に介護保険の保険給付の対象となるサービスと同じ内容です。
支給方法は現金支給ではなく現物支給(サービスの提供)
※ただし、住宅改修、福祉用具購入等は金銭給付

生活保護と介護保険の関係

生活保護の扶助の種類のうち、主に介護保険に関係するのは介護扶助です。

第1号被保険者…65歳以上
第2号被保険者…40歳~64歳未満で尚且つ医療保険加入者
介護保険の被保険者でない者…40歳以上65歳未満(医療保険未加入者)

介護保険法による第1号被保険者又は第2号被保険者の場合、9割は介護保険が負担し1割が自己負担となります。この1割の自己負担分が介護扶助費として支給されます。
医療保険料を納められない生活保護者を受給している人の大多数が介護保険の未加入者と言えます。
こうした人が要支援または介護状態になった場合、全額自己負担になってしまいますが、もちろんそんなことはなく生活保護費のなかの「介護扶助費」という予算で利用者の負担なしに現物給付の形で支払われます。

自治体によって申請の仕方や様式が違うのが現状なので、詳しいことが知りたい方や、内容について相談したい方は福祉事務所に相談する必要があります。

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生活保護とは国が健康で文化的な最低限の生活ができるように援助し将来的に自立を助長する制度です。
▶︎ 生活保護-まずは知ることから-

生活保護には8つの扶助があります。
1.生活扶助
2.教育扶助
3.住宅扶助
4.医療扶助
5.介護扶助
6.出産扶助
7.生業扶助
8.葬祭扶助

その中でも高齢者が利用する機会がおおい医療扶助について解説します。
医療扶助は、医療費は全額補助するというものですので、無料で医者にかかれます。また生活保護を受けると国民健康保険から除外ということになっていますので、保険料の負担もありませんが、健康保険証も交付されません。そのため「医療券」を持って医療機関を受診することになります。

医療扶助の注意点

✔︎指定医療機関
原則、福祉事務所が指定した生活保護指定医療機関を受診することになります。緊急の場合は除きます。医療扶助の指定を受けている病院は、福祉事務所で調べられます。
✔︎医療費に含まれるのも・含まれないもの
保険の範囲内であれば全て支給されます。保険の対象外になる、薬や治療は対象外になるので注意が必要です。ガン治療など対象外の治療が多いです。もちろん、本人希望の差額ベット代は自己負担になります。
✔︎医療機関を受診する流れ
生活保護者が医療機関を受診するためには2通りあります。市町村によって手続きの流れは異なることもあるので、確認してください。
本人申請(風邪などの数日の通院の場合)
1.まずは福祉事務所に申請をします
2.福祉事務所で医療券を発行します
3.その医療券を持って指定医療機関を受診します
これは一度提出すれば、同じ月の同じ病院の2回目以降の診察では提出の必要がありません。
医師申請(急病や事故などで急遽病院を受診した場合)
1.病院に支給表等(市町村で名称が異なる)を提示して治療
2.福祉事務所で医療券を発行します
3.福祉事務所から病院に医療券を送付します

生活保護には手厚い社会保障があります。体調を崩しても我慢せずにしっかり治療をしてほしいと思います。

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【生活保護の疑問】高齢者の生活保護  扶養調査の流れ(2)

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生活保護の申請をすると、まず申請者の方にどのような親族(絶対的扶養義務者)がいるかの調査から始まります。

申請窓口は、現在住んでいる地域の福祉事務所になります。
厚生労働省「生活保護と福祉一般:福祉事務所一覧」

生活保護の申請自体は思ったほど複雑ではありません。
⑴相談
⑵申請
⑶調査 (扶養照会書また扶養届の送付)
⑷決定・却下

ここで多くの疑問について解説します。

Q:子の負担になりたくない、親族に迷惑をかけたくないので絶対的扶養義務者の存在を伝えなかった。
A:戸籍などから必ず事実はわかりますので、きちんとした回答をしましょう。
Q:決定・却下の通知はどの様に、どのくらいの日数できますか?
A:申請の結果は、後日、本人に通知されます。
2週間以内に行われますが、延長があった場合、最大1ヶ月まで延長される事もあります。
もし2週間以上たっても連絡がなく不安な場合は、担当者に状況をたずねてみてもいいでしょう。
Q:申請している間に生活が苦しくままならない場合
A:一時的な生活費が必要であれば生活福祉資金制度が利用できます。
社会福祉 法人全国社会福祉協議会
自治体により制度も異なりますので、迷わずに担当者に相談してください。

自ら申請しないことには何もはじまりません。
誠心誠意、生活に困っていることを説明し嘘をつかずに伝えることがとても大事です。

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【生活保護の疑問】高齢者の生活保護  扶養義務の範囲(1)

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生活保護の申請を行うとあなたの身の回りの情報、親族について幾つか質問があります。

といっても、親族って一体どこまでが親族と言うのでしょうか?どこまでが扶養の範囲なのでしょうか?

実際のところを解説していきましょう。

生活保護法 第4条2項
民法に定める扶養義務の扶養および他の法律に定める扶助は、すべての法律による保護を優先して行われるものとする。
つまり生活保護を受ける前に優先されるだけあって強制ではありません。

扶養義務の範囲は?どこまでの親族に援助が求められる?

生活保護の制度上、扶養範囲がある親族の範囲は

・絶対的扶養義務者
父母、祖父母、曾祖父母、子、孫、ひ孫、兄弟姉妹、配偶者
・相対的扶養義務者
伯父、叔母、甥姪、甥姪の配偶者、叔父叔母の配偶者、配偶者の父母、祖父母、曾祖父母、その伯父叔母、伯父父母の兄弟、甥姪

相対的扶養義務者には直接的な血のつながりはありません。現に相対的扶養義務者から援助を受けているか、相対的扶養義務者との間に金銭の援助を受ける、もしくは行っていたという特別な事情があった場合に対象者になります。

まずは生活保護を受ける前に高齢者の子などの絶対的扶養義務者に援助をお願いする事が求められます。

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【生活保護の疑問】 高齢者の生活保護 扶養調査の流れ(2)

母子家庭の働き方。企業とのより良い関係を

介護施設などを運営する東京町田市の社会福祉法人が母子家庭専用という珍しい社員寮を開設しました。母子家庭の働くことへの難しさを考慮したこの取り組みは、生活保護に頼らざるを得なくなる母子家庭の方への支援につながっています。

母子家庭になって必ずぶつかる子供と仕事のバランス

“子育てと仕事をするというのはとても大変なことです。もちろん子供との時間も大切にしたい、具合が悪くなることも多く休むことが多い、残業もできない…会社としては使いづらい…”
http://mlm-seikosya.com/fatherless-family-work/
“日々の生活で手いっぱいで、将来のことを想うと不安に押しつぶされそうになるという人も…また子どもにもそのしわ寄せが行ってしまう罪悪感によって、追い詰められてしまうことも”
https://mamanoko.jp/articles/18160

母子家庭の問題と人材不足の会社のwin winな関係

▼ シングルマザー用社員寮開設。介護職場の人材確保に
http://www.asahi.com/articles/ASJ8M2CWNJ8MUBQU00B.html
町田市や横浜市で老人ホームや通所介護施設などを運営する社会福祉法人「合掌苑」がつくったシングルマザー専用という珍しい職員寮が話題に。
▼社会福祉法人 合掌苑
http://www.gsen.or.jp/
「介護は人手不足。働く意欲のあるお母さんが欲しい。シングルマザーは宝の山。離婚 で心に傷を負った人の働き方にも配慮する」と森一成理事長。日勤と夜勤を分離するなど、仕事と家庭の両立を進めている。「シングルマザーは、自分たちは夜勤を伴うような働き方は無理と思いがち。その意識を変えたい」という。

母子家庭を支援する団体でも社会復帰をサポート

▼日本シングルマザー支援協会
http://xn--qckmb1noc2bzdv147ah7h.com/
企業の間で、ひとり親を多様な人材の一つと位置づけ始めたのでは。
「自立には責任ある仕事に就くのが不可欠。殻を破って外に出よう」と、江成さんはひとり親に呼びかける

母子家庭になって仕事を探すとき、仕事と育児と家事のバランスに戸惑い悩むものです。お給料の高い仕事はリスク多い。全てこなさなければならない母子家庭ではどうしても生活保護に頼ることになってしますのです。 しかし、母子家庭の親はおおきな即戦力。働きたい意欲と子供を立派に育てあげたい意欲に溢れています。企業側とシングルマザーは条件さえ揃えばお互いがより良い関係になれるのではないでしょうか?

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生活保護受給者の健康管理強化へ。必要な医療を受けられる取り組み。

生活保護受給者の医療費が問題となっていますが、 厚生労働省が生活保護の医療費の適正化を目指すため健康管理を強化する方針を固めました。

▼生活保護者の医療費抑制、データで健康管理強化
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160722-OYTET50024/
生活保護の受給者は、運動不足なうえ安価でカロリーは高いが栄養価の低い食品を多く摂取しがちなことから、厚生労働省は受給者の健康管理を強化する方針を固めました。
▼生活保護者の医療費控除
https://seikatsuhogo.jp/benefit/
生活保護世帯の方が医療機関にかかる場合にお住まいの地域の福祉事務所に相談をし、金銭ではなく「医療券」を発行してもらい、その「医療券」で受診できるというものです。

生活保護は、糖尿病、肝炎など重症化すると完治が難しいと考えられる傷病の割合が多い。
また、精神関連疾患では統合失調症など一般的に長期治療が必要とされる精神疾患の割合が国保より多い。(厚労相調べ)

▼生活保護者の健康管理のあり方に関する研究会とりまとめ
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000068893.pdf
生活保護受給者は様々な課題を抱えて保護受給に至っているが、制度の目的である自立助長を図る基礎としては、何より健康状態を良好に保つことが重要です。
▼全国へ!生活保護受給者の健康診断
福島県郡山市
https://www.city.koriyama.fukushima.jp/215500/kenko/kenko.html
福島県いわき市
http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1001000000493/index.html
福島県福島市
http://www.city.fukushima.fukushima.jp/soshiki/36/kenkou14121101.html

生活保護から自立した生活に戻ることができるのは、受給後半年ぐらいまでの人が多と言われています。
病気などで受給せざるをえない人は、早期に健康を回復させることが重要です。受給者の健康回復や増進は、生活保護を考えるうえで必要不可欠とも言えるでしょう。
限りある財政。本当に必要な人が安心して必要な医療を受けられるような社会が望まれます。

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多くのコミュニティで母子家庭でも変わらぬ環境を

母子家庭世帯の多くが直面しているといわれる貧困や家族機能の低下だけが連日話題に上がる中、行政、NPOが行っている支援が注目されることはあまり多くはありません。家庭環境が厳しい状況にあり、人のつながりや経験、機会が得られなかった子ども達でも多様な関係性や経験が得られるサポートを行っています。

▼【本当は寂しい】母子家庭の子供に見られる特徴
http://tokutyou.com/tokutyou/207
母子家庭の大半は母親が仕事をして家計を支えています。 さまざまな援助があるものの仕事をしないわけにはいかないのですが、その間子供は1人で寂しい思いをすることになります。 これがストレスとなって精神的に不安定で周囲に攻撃的になってしまう子供も …
▼厚労省でも家庭環境の多様化に伴い自立支援が課題に
すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト
内閣府が掲げる【すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト】

▼地域ぐるみで子どもを育てるコミュニティを生み出す

▼NPO法人PIECES(登記申請中)
http://www.pieces.tokyo/
母子家庭や父子家庭、貧困や虐待など様々な課題を抱える子ども達とその子にあったサポートをし、人と人のコミュニティを繋ぐことを団体のミッションとし、多様な生が共存していくための活動を実践・研究の両面からすすめている団体です。
▼広がる支援「子ども食堂」で空腹満たす貧困世帯の子供達
https://seikatsuhogo.jp/news/kodomo-20151112/
以前、ご紹介した「子ども食堂」
子どもがお腹いっぱいでホッとできる居場所。気持ちに寄り添い悩みや相談もできる昔ながらあたたかいの支援が母子家庭のお母さんや子供達からも感謝の声が上がっている。
▼全国に広がりを見せる「子ども食堂」
http://xn--h9jxj0btf1e7712a27wb.jp/1485.html
NPO法人だけではなく、ボランティア団体、社会福祉法人、一般の主婦の方…などたくさんの方が賛同し全国に広がりをみせています。

様々な問題を抱えながらも、おかれている環境を生き抜いている子どもたちを見ると、どうしてもその問題のほうに目が向けられがちです。でも、どの子どもも、それぞれに魅力や可能性を持っていて、安心や信頼、尊重を基盤にして、その力を大きく発揮していくことができます。母子家庭で卑屈になることはなく、地域や支援を上手に利用して子ども達がのびのび育つ環境を親とともに作ること。それこそが、社会に新たな価値を、そして文化を作っていくことになるでしょう。

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生活保護受給者でも利用可能。介護施設で安泰な老後を。

厚労省の発表によると、いまや生活保護受給者のほぼ半数が高齢世帯。

もちろん誰しもが老後の安泰を願うのは普通のことです。それは生活保護受給者も同じこと。

老後、身の回りの世話をしてくれる介護サービスやどんな施設があるのは気になるところです。

生活保護受給者でも利用可能!現状による施設の選択

生活保護受給者が入所できる高齢者の施設は、条件等はありますが以下の通りです。

・介護老人保健施設
原則65歳以上で「要介護1」以上の介護認定を受けていることが条件になります。医療管理下での看護や介護、回復期のリハビリが受けられ、医療法人や社会福祉法人などが運営する公的な施設です。
・介護老人福祉施設
常に介護が必要で自宅での介護が困難と認められた方を対象に、食事や排せつの介護、機能訓練などを行う入所施設です。
・養護老人ホーム
自立した65歳以上の高齢者の方で、生活保護を受けている、または低所得などの原因によって自宅で生活ができないなどの経済的な理由を持つ方が入所対象となる施設です。
・認知症対応のグループホーム(認知症患者のみが入れる施設)
認知症の高齢者が少人数で共同生活を送りながら、専門スタッフによる身体介護と機能訓練、レクリエーションなどが受けられる施設です。認知症高齢者グループホーム、認知症対応型共同生活介護とも呼ばれます。

生活保護受給者の為の養護老人ホーム

ここで出てくるのが、「養護老人ホーム」という存在です。これは、「特別養護老人ホーム」とは別物。 養護老人ホームは、身体的・経済的な問題があることから、自立することができない人のために作られた施設のこと。お年寄り限定の施設で、介護福祉を目的にしています。この施設では、あくまで「社会復帰」を目指しての生活になりますが、入居するための一時金は必要ありませんし、月々にかかる費用も0~10万円程度とかなり安くなっています。誰でも入れるわけではありませんし、審査により必要性の高い方から優先的に入所できるようになっています。全国的にも数がまだまだ少ないのも現状。それでも生活保護を受給する高齢者にとっては心強い存在になるはずです。

生活保護への意識

生活保護の不正受給がニュースになる一方で、抵抗感から「生活保護を受けるのは抵抗がある」という人もいる様です。しかし、生活保護というのは「何らかの事情で経済的に困っている人を助ける制度」ですので、本当に需給の資格があるのであれば、堂々と受けるべきものです。
その上で、ご自身の健康状態、生活にあった介護の方法を選択することが老後の安泰へ繋がるのではないでしょうか?事前に生活保護担当者に相談したり、パンフレットを読むなど情報集めてみるのもいいでしょう。

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母子家庭でも不利なく。奨学金で大学進学しても生活保護全額しない運用へ。

「母子家庭の子供にも等しく教育の機会は与えられるべき」

厚生労働省が生活保護世帯の「貧困の連鎖」を防ごうと子供の教育に関する運用を見直しました。しかし、解消に向けての一歩だが、いまだ十分とは言えないのが現状です。

奨学金で大学進学。生活保護費は減額しない方針決定
厚生労働省は、生活保護世帯の高校生が大学や専門学校の受験料や入学金を奨学金から捻出しても、保護費を減額対象しない方針を決めました。大学や専門学校は一般的ではないとして以前の運用見直しには盛り込まれなかったが、親から子へ「貧困の連鎖」を防ぎ、進学に不利にならないようにする為、追加を決定をしたのです。

生活保護は最低限の生活を保障する仕組みで、収入が増えた分は支給額が減らされるのがルールです。以前は奨学金も子供に対する収入とみなされ減額対象だったのですが、厚生労働省の「貧困の連鎖」を防ぐ狙いで、昨年10月運用を改善。更に、今回の追加方針で大学進学までの教育関係費の出費は減額対象外になることになりました。

2015年10月除外対象→学習塾・家庭教師の授業料・模試代・入会金・教材費・交通費
2016年5月追加除外対象→大学の受験料・入学金

いまだ十分とはいえない支援

このように政府も様々な取り組みをし「貧困の連鎖」を打開しようとしていますが、十分とは言えない現状です。
そう言わざるを得ない問題として、大学進学後の授業料は引き続き減額対象になるということです。
大学に入学したとしても、授業料や生活費の為、長時間のアルバイトをせざるを得ず、体にも心にも大きな負担がかかり、中途退学をしてしまうという問題もよく耳にします。
また近年おおきく問題視されてブラックバイトに絡め取られやすいのもこの低所得世帯の学生です。収入が途切れることができない引け目から、アルバイトを辞められず、学生らしい生活を送ることができなくなってしまうのです。

埼玉県で教育支援!未来へつなぐ取り組み

平成18年に、関西国際大学の道中教授が行った実態調査によると、貧困の連鎖の発生率は25.1%でした。この貧困の連鎖を断つために、埼玉県では平成22年度から教育支援事業を始めました。
平成22年度から中学生を対象に、高校進学を目指した学習教室を県内5か所で始め、平成26年度には17教室までに拡大し、生活保護受給世帯の子供たちが、高校に進学してきちんと卒業し、安定した仕事に就いてもらうことを目標に取り組みが行われています。

このように各地域での地道な取り組みが政府の取り組みの後押しをし、貧困の連鎖の打開に向けて取り組んでいます。母子家庭世帯の子供達が安心して学生生活を送れるようになる日はそう遠くはないのではないでしょうか。

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第二子以降の「児童扶養手当」増額。求められる母子家庭の貧困対策

厚生労働省の「25年国民生活基礎調査の概況」によりますと母子世帯は82万1千世帯、その中でも生活保護を受給している母子世帯及び父子世帯はともに1割となっています。

母子家庭の貧困問題が多く取り上げられるようになって深刻なことが表面化してはきましたが、まだまだ現状改善できてはいません。

第2子以降の「児童扶養手当」増額へ…子どもの貧困への支援策

我が子を守っていく手当や助成金はとてもありがたい制度です。

そんな中、児童扶養手当の額が変更になりました。

【すでに2016年4月に変更になっている額】
・平成28年3月まで 全部支給 月額42.000円 一部支給 月額41.990円〜9.910円
・平成28年4月以降 全部支給 月額42.330円 一部支給 月額42.320円〜9.990円

2016年8月 2人目、3人目の加算額の増額
今の制度では、2人目はプラス5.000円、3人目はプラス3,000円という加算がされていますが、2016年8月分(12月支給)から2人目以降の児童扶養手当が所得に応じて最大2倍まで引き上げになるということです。具体的には2人目が5千円→最大1万円、3人目以降を3千円→最大6千円となります。

縮小傾向だったひとり親世帯への現金給付が拡大することで、貧困に悩むひとり親世帯の未来が少し明るくなってきたのではないでしょうか。

福島県いわき市の考え

母子家庭の多くは、経済的・精神的に不安定な状態に置かれています。いわき市では、母子家庭の生活の 安定と自立の促進を図るため、各種福祉手当及び貸付金などの経済的援助の充実と相談体制の強化を図 っています。また、父子家庭では、家事及び子供の生活指導など、養育面に困難をかかえており、その対策が課題となっています。

母子家庭が暮らしやすい社会へ

母子家庭の母は、親であり家庭を支える大黒柱でもあります。ひとりでその責任を背負っていると考えるだけでも、重圧を感じてしまう方が多くいらっしゃるのではと思います。助成金や手当も昔と比べると手厚くなってはきましたが、まだまだ困難さの中での生活を余儀なくされている方も多いのです。今ある手当、助成金などの支援制度を積極的に活用しても経済的に余裕ある生活を送れるかというと、必ずしもそうではないでしょう。しかし、生活の助けになることに間違いはありません。社会に蔓延する貧困の問題が改善され、子育てをする親はもちろんのこと、成長していく子どもたちがすこしでも暮らしやすい社会が実現するような政策を政府には望みたいものです。

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