今、問題になっている「手遅れ死」。
その大半が経済的事由によるものなのです。
全日本民主医療機関連合会が2018年4月に発表した「2017年経済的事由による手遅れ死亡事例調査概要報告」では、全国で63人の方が治療の手遅れで亡くなったことが分かります。
このような生活保護一歩手前である低所得者の命を繋ぐ、国の制度をご紹介します。
無料低額診療事業の概要と対象者とは
無料低額診療事業とは、低所得者などに医療機関が無料または低額な料金によって診療を行う事業のことをいいます。
また、この制度の実施は、社会福祉法第2条第3項第9号「生計困難者のために、無料または低額な料金で診療を行う事業」と定められたものに基づいている、立派な国の制度です。
その中で、厚生労働省は以下に挙げられる生計困難者の方を対象と説明しています。
低所得者 / 要保護者 / ホームレス / DV被害者 / 人身取引被害者 / 日本の外国人など
また、無料低額診療を受ける流れとしては、概ね以下のようになっています。
患者からの申し出や患者の生活困窮を職員が知った場合に、医療相談員が面談し、公的制度や社会資源の活用の可能性を考えたうえで、適用を判定する。
しかし、この制度の適用はあくまでも「生活が改善するまでの一時的な措置」であり、健康保険加入または生活保護開始、までの原則1か月、最大3か月を基準にしています。
ここで、気を付けたいのは、制度の対象となる医療費は診療費だけということです。薬局で支払う薬代は含まれませんので、ご注意ください。
福島県郡山市の無料低額診療事業実施医療機関
福島県郡山市では、以下の医療機関で制度を実施しています。(五十音順)
・寿泉堂綜合病院 〒963-8833 郡山市駅前1-5-7 024-932-6363
・坪井病院 〒963-0197 郡山市安積町長久保1-10-13 024-946-0808
・針生ケ丘病院 〒963-0201 郡山市大槻町字天正坦11 024-932-0201
・星ケ丘病院 〒963-0211 郡山市片平町字北三天7 024-952-6411
・星総合病院 〒963-8051 郡山市向河原町159-1 024-983-5511
その他の都道府県につきましては、全日本民主医療機関連合会「無料・低額診療にとりくんでいる事業所」を参考になさってください。
無料低額診療事業で助かる生活保護一歩手前の命たち
生活保護は受けていないが、生活は苦しい。そんな方が無料低額診療事業自体を知らず、医療費が心配で受診を見送った結果、手遅れで死亡する痛ましい事件が日本全国で起こっています。
あと1週間、1日、受診が早かったら助かったかもしれないのに…。事例を耳にするたび、切にそう思います。
日本国憲法で守られている私たちは、誰もが人間らしく生きる権利があり、そのために利用できる様々な制度の一つとして無料低額診療事業が用意されているのです。
命に関わる医療は大切な社会保障ですので、遠慮なく相談や必要であれば利用しましょう。
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