生活保護の利用に関するトラブル相談窓口「NPO法人POSSE(ポッセ)」

度々報道される生活保護の不正受給のニュースなどで、受給者全体に対する風当たりが強い昨今、役所も相当に厳しい対応をしてくるケースがままあります。

そのような時、「自立できない自分が悪い」と自分を責め、納得は出来ないけれど言う通りにしてしまい、モヤモヤは募るばかり…。なんてことはありませんか?

このような役所へのモヤモヤを相談できる機関をご紹介します。

「NPO法人POSSE(ポッセ)」は生活保護受給者の駆け込み寺的存在

2006年に結成されたNPO法人POSSE(ポッセ)とは、労働相談、労働法教育、調査活動、政策研究、提言を若者自身の手で行うNPO法人です。

その他、社会保険、生活保護、奨学金等の相談にも対応してくれる機関ですので、生活保護を受給する上で、何かお困りの際には、相談できる場所があるということを覚えておくと安心です。

【NPO法人POSSE(ポッセ)連絡先】
メール相談:東京 soudan@npoposse.jp
メール相談:仙台 sendai@npoposse.jp
電話相談:TEL 03-6693-6313

※受付時間は、木曜日18:00~21:00、土曜・日曜日13:00~17:00となっています。
※全国からの相談を受け付けています。

生活保護の利用に関するトラブルの相談から、申請同行をはじめとする制度利用のサポートまで行っているNPO法人POSSE(ポッセ)は、生活保護受給者にとって万が一の駆け込み寺的存在なのかもしれません。

ケースワーカーの言動に疑問を持ったら専門家へ相談

自分では相談する程度の問題でもないと思っていても、専門家からみれば明らかに役所側のミスであったり、誤対応であるというケースは少なくありません。

NPO法人POSSE(ポッセ)では、相談内容に応じた法律、制度の知識や解決の仕方など、アドバイスが受けられます。

また、ケースによっては弁護士などの専門家の紹介もしているそうですので、どうしても我慢できない、この扱いは不当だと思うなどの際は、一度相談してみるのも良いかもしれません。

【生活保護について関連記事はこちら】

【もっと教えて生活保護】生活保護受給世帯の子供が幼稚園に通える?
生活保護一歩手前で受けられなかった方へ自立支援制度という選択
【生活保護ニュース】当事者の声が国政の場に響いた3月30日異例の質疑
「生活保護世帯から進学へ」反貧困ネットが冊子作成
生活保護受給者の健康管理強化へ。必要な医療を受けられる取り組み。

生活保護世帯の子供のバイト|きちんと申告で受けられる控除

生活保護を受給している方なら、かなり重要になってくる「子供のアルバイト収入」について、正しい知識を知っておかないと、後々損をしてしまいます。

では、正しい知識を持っていないとどのようなことになるのでしょうか?

ここでは、「知らなかった」では済まされない生活保護における子供のバイト収入について特筆します。

申告しないと不正受給扱いに!?子供のバイト収入は注意が必要

通常、生活保護では収入があると、以下のようにその分を生活保護費から差し引かれて受給します。
生活保護費-収入の手取額=支給される生活保護費

また、働いて得た分だけではなく、市役所から支給される児童手当や児童扶養手当なども差し引かれる対象になります。

これは、子供がアルバイトをして得た収入でも例外ではありません。

子供のバイトが決まったら、その旨をすぐにケースワーカーに申告しましょう。

このことを知らずに報告せずにいると、後から発覚した際に不正受給としてみなされ、収入の手取り額分を返さなくてはならないので、大きな損をしてしまいます。

正しい申告で「基礎控除+未成年者控除」が受けられる!

生活保護でうたわれている自立の助長を基に、働いて得た収入については「基礎控除」が受けられる仕組みになっています。

さらに子供が未成年者の場合、未成年者控除を受けることができます。

その際、子供がアルバイトをして得た収入認定額は以下のようになります。
子供のバイト収入手取り額-(基礎控除+未成年者控除)=収入認定額

基礎控除は収入の金額に応じて控除額が変動します。

厚生労働省 平成30年度生活保護実施要領等【H30基準額】14ページ目を参考にして下さい。

例えば、受給額24万円世帯の子供のバイト収入月額手取りが8万円の場合でみてみましょう。

この場合、収入認定額は下記のようになります。

収入80,000円-基礎控除額21,600円-未成年者控除月額11,400円=47,000円、従って総受給額は240,000円-47,000円=193,000円となります。

高校生なら「就学に必要な費用」は収入認定の対象外に!

バイトをして収入を得るのが高校生であれば、私立高校における授業料の不足分、修学旅行費、クラブ活動費については就学の為に必要な費用として収入認定の対象外となります。

それを踏まえ、授業料の不足分が1万円、修学旅行費とクラブ活動費を合わせて1万円だった場合、最終的に生活保護費から差し引きされる金額は47,000円‐20,000円=27,000円となり、受給額は213,000円という計算になります。

これが、報告なしで不正受給とみなされた場合は、受給額240,000円-バイトの手取り額80,000円=支給される受給額160,000円となってしまいますので、結果、きちんと報告した場合と比べると、53,000円も差が出てくることになるのです。

事態が変わった際にはとにかく報告を!それが生活に困らないための方法です

生活保護世帯の子供がバイトを始める際には、とにかく市役所へ報告しましょう。

とにもかくにも、きちんと市役所の職員に話さなければ、市役所側としても良い解決方向へ導くことが出来ません。

素直な申告があなたの生活を守るのだと心に据え置き、子供のバイトに対処するようにして下さい。

【生活保護について関連記事はこちら】

【もっと教えて生活保護】生活保護受給世帯の子供が幼稚園に通える?
【生活保護の生徒も対象】福島市の 新しい奨学金制度で高校進学を諦めない!
母子家庭でも不利なく。奨学金で大学進学しても生活保護全額しない運用へ。
第二子以降の「児童扶養手当」増額。求められる母子家庭の貧困対策
母子家庭世帯必見!子どもの学習の場を守る「無料塾」

【もっと教えて生活保護】生活保護受給世帯の子供が幼稚園に通える?

子供は集団生活の中で、生きていくための様々な知識や経験を吸収していきます。

生活保護を受けているご家庭でも、子供を幼稚園に通わせてあげたいと思うのは親心です。

ここでは、生活保護受給世帯の子供が幼稚園に通えるのかどうかをご説明します。

生活保護費をやりくりすれば幼稚園に通うことは可能

最終的な答えとしては、「月謝さえ支払えれば幼稚園に通うことは出来る」です。

少し回りくどい表現をしたのには以下のような理由があるからです。

・通わせるのは家庭の自由なのでできるが、生活保護からなんの支援もありません
・幼稚園は義務教育ではないため、私立、公立を問わずに保育料(月謝)は支給されません

そのため、毎月支給される生活保護費の中から工面して、幼稚園の月謝等を用意しなければならないため、生活は一気に苦しくなる可能性が高いと言えます。

それを覚悟の上で、あなたは子供を幼稚園に通わせたいと思いますか?

幼稚園の検討は、それほど慎重に考えなければならない事なのです。

どうしても子供を預けたい時に出来る2つの方法

1、「私立幼稚園就園奨励費補助制度」の利用

生活保護のように、全額は負担してもらえないけれど、その一部を補助してくれる制度があるのをご存知ですか?

「私立幼稚園就園奨励費補助制度」といって、入園料と保育料の一部を補助するものです。

補助される園児一人当たりの金額は各世帯の所得と何番目の子供なのかによって変わってきますが、生活保護受給世帯は何番目の子供でも最高額が補助されます。

▼福島県郡山市の例

生活保護法の規定による保護を受けている世帯…308,000円(園児一人当たりの補助限度額:年額)※1

※1…詳しくは、以下の郡山市公式ホームページ「私立幼稚園就園奨励費補助制度のご案内」をご覧ください。
◆私立幼稚園就園奨励費補助制度のご案内

2、生活保護受給世帯の方が子供を預けるなら「保育園」がおすすめ

仕事をしたい、自立したいという考えで子供を預けたい、預ける先は幼稚園か保育園、どちらでもいいというのであれば、幼稚園ではなく、保育園に預けることをお勧めします。

なぜなら、保育園は幼稚園と違い、生活保護受給中の場合、月々の月謝は0円だからです。

もちろん子供を預ければ時間が出来るわけですので、ケースワーカーから就労指導を受けることになります。このように、じっくりと相談や就活できる時間が手に入ります。

就労できない状態で預けたい場合はケースワーカーに相談

前述の通り、自立を目指して働きたい場合には、幼稚園より保育園を検討するのが良いでしょう。

しかし、病気等で就労できる状態ではないのであれば、ケースワーカーに自宅での保育が体調的に厳しいことを相談し、解決策を見つけましょう。

もし、そうではないのであれば、義務教育が始まる小学校までは、自宅で子供を育てる方が色々と問題がなくて良いかもしれません。

【生活保護について関連記事はこちら】

【生活保護の生徒も対象】福島市の 新しい奨学金制度で高校進学を諦めない!
「生活保護世帯から進学へ」反貧困ネットが冊子作成
【生活保護の疑問】母子家庭の生活保護 平成29年 児童扶養手当変更
母子家庭でも不利なく。奨学金で大学進学しても生活保護全額しない運用へ。
高校就学に利用できる生活保護「生業扶助」の内容

【もっと教えて生活保護】持ち家やローン付き住宅に住んでいても受けられる?

水道光熱費や各種保険料金、住宅ローンなどの引き落としで毎月カツカツな生活を送っている。そろそろ生活保護も考えたいと思っている方がよく疑問に思うことの一つに、「持ち家に住んでいるけれど売らなきゃダメ?」というものがあります。

ここでは、生活保護ではどのように決められているのか?についてご紹介します。

生活保護では原則認められている「持ち家」という持ち物

生活保護では、「当該世帯の居住の用に供される家屋」については、原則として保有を認められています。
ただし、処分価値が利用価値に対して著しく大きいと認められるものについてはこの限りではありません。

例えば、豪邸に近い家に住んでいる場合は売却を求められる、ということです。

また、持ち家でも「住宅ローン付きの家」に住んでいる場合は、以下の理由から生活保護は受けられませんのでご注意ください。

▼生活保護費がローン返済という個人の資産の形成を助けることになるため

原則として、ローン返済の残った住宅は、まず売却してからの生活保護の申請となります。

しかし以下のような例外も認められますので、窓口へ相談しましょう。

▼ローンの返済が金融機関で猶予されるケース
▼ローンの残りがほとんどなく、支払いの残りの期間や金額が少ない場合

このように、現在住んでいる「家」に関しては、条件によっては生活保護を受けられることもありますので、まず福祉事務所に相談した方が良いでしょう。

原則は原則、悩んだりフライングで家を売却する前にまずは相談を

住まいは生活に必要なもので、最低限の生活をするために持っている資産を活用しているという考え方で、保有が認められます。

生活保護でうたっている「資産の活用」とは、けっして売却することだけではないのです。

しかしながら、例外や条件などもありますので、そこは福祉事務所によく確認をしてから、売却等をお考え下さい。

早まって売らなくてもよい家を売ってしまう前にまずは相談することが大切です。

【生活保護について関連記事はこちら】

「生活扶助」引き下げ検討、どうなる?生活保護受給者の生活
生活保護受給者でも利用可能。介護施設で安泰な老後を。
増える生活保護受給者と広がる支援|大分県の「宿泊型福祉施設」
生活保護受給者が賃貸を借りる時|気になる住宅扶助と心構え
多くのコミュニティで母子家庭でも変わらぬ環境を

生活保護一歩手前で受けられなかった方へ自立支援制度という選択

全国で生活保護を受給している世帯は今年1月の時点で164万2971世帯となり、7か月連続の増加であると厚生労働省の発表があったのは記憶に新しいことと思います。

これだけでも相当の数と感じますが、今回注目したいのは、「福祉事務所に相談したが生活保護に至らなかったという方が約30万人もいる」という事実です。

そんな一歩手前で生活保護を受けられなかった方が生活を立て直すことが出来るよう、各種支援制度についてまとめました。

生活保護だけじゃない!生活困窮者をバックアップする自立支援制度について

平成27年4月に新しい仕組みとして創設された生活困窮者自立支援制度は、生活保護制度と比べるとまだまだ周知徹底されていないのが現状です。

しかし、相談者が経済的に自立するための様々なサポートはとても充実しています。

以下に全国の自立支援窓口と、どのようなサポートが受けられるのかについてまとめましたので、生活保護を申請する前にぜひご一読ください。

◆厚生労働省「自立相談支援機構 相談窓口一覧」はこちらからご覧ください

※一覧に、お住いの窓口の連絡先が無い場合は、都道府県、市町村へお問い合わせ下さい。

生活困窮者が受けられる手厚い6つのサポート

1、就労準備支援

コミュニケーションに不安を抱いている方や、その他の諸事情により今すぐに働くことが出来ない方向けのサポートです。


2、就労訓練

その人に合った作業機械を提供し、一般労働に向けた就労訓練を中・長期的に実施してくれます。


3、一時生活支援

住居を持たない方に対し、一定期間宿泊場所や衣食を提供してくれます。退所後の生活に向けて就労支援も行っています。


4、住居確保給付金の支給

住まいを失ったもしくは失うおそれのある方向けのサポートです。就労活動することを条件に一定期間家賃を支給してくれます。


5、家計相談支援

家計の立て直しをアドバイスしてもらえます。必要に応じて貸し付けのあっせんも行い、早期の生活再生を支援してくれます。


6、生活困窮世帯の子供の学習支援

子どもの学習支援、日常的な生活習慣、仲間と出会い活動ができる居場所作りなどをサポートしてくれます。


各種支援制度を上手に利用して生活保護を申請しなくても良い生活を

生活保護を申請しなくても良い暮らしをするための様々な自立支援制度ですので、自分には必要と思うのであれば思い切って相談窓口へ行き、支援員さんへ相談しましょう。

相談した結果、生活保護を受けることになっても、自分を恥じず、積極的に自立に向けて努力されることを願います。

今回ご紹介した自立支援制度があなたの未来を明るくするものでありますように。

【生活保護について関連記事はこちら】

3か月連続!生活保護受給者の止まらない増加と自立支援の重要性
就職率60.7%!生活保護受給者に人気の「ジョブスポット」
制度運用に懸念の声|困窮者を救う正しい運用とは?
生活保護に頼らない!「生活困窮者自立支援制度」とは?
見つけて欲しい「生活保護を必要とする困窮者」

【生活保護ニュース】当事者の声が国政の場に響いた3月30日異例の質疑

3月28日に今年10月からの生活保護基準引き下げを含む2018年度予算が成立された一方で、生活保護の分野では明るい兆しも報道されています。

それは、当事者の声が初めて国政の場に響いた、というものです。

新人議員が過去の貧困を告白、生活保護の現場の声を伝えるリアル

2018年3月30日の衆議院本会議で関連法案として立憲民主党など野党6党が提出した「子どもの生活底上げ法案(正式名称:生活保護法等の一部を改正する法律案)」と政府提出の「生活困窮者の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案」の趣旨説明と質疑が行われました。

注目すべきは、立憲民主党が起用した新人議員の「自分自身が生活保護を受けた経験がある」それに基づいた発言、まさに現場の声を国政の場に届けているリアルさにあると思われます。

自分自身が生活困窮者であった過去を政治の場で告白し、以下のような質問を安倍首相に投げかけたことは異例ともいえるでしょう。

新人議員:「総理は今までの人生の中で生活するお金が無くて困った経験はありますか?」

これに対し安倍首相は「私には生活するお金が無くて困った経験はありません。(生活困窮者に対し)想像力と共感力が欠如しているのではとの批判は甘んじて受けなければならない。」と述べるにとどまりました。

今回の質疑から、少なくとも今後、政府は響き始めた生活保護当事者の声を黙殺することは難しくなりそうです。

当事者の声はどこまで届くのか?生活保護分野で今後も注目の内容

前項のような質疑が行われたとはいえ、もちろんこうした事実によって今すぐ生活保護をめぐる政治の力学が変わるという事ではないでしょう。

しかし、今までなかった「国政の場に当事者の声を響かせる」ということ自体が、今後の変革を期待させる有意義なものであったと思われます。

これにより政府はどう動いていくのか?生活保護受給者(当事者)の声をどこまで響かせることができるのか?今後も注目していきたい内容です。


【生活保護について関連記事はこちら】

【生活保護法改正案が閣議決定】生活保護受給の高齢者に優しい法律改定
生活保護費が突然の減額?期末一時扶助の誤解
「生活扶助」引き下げ検討、どうなる?生活保護受給者の生活
生活保護受給者の健康管理強化へ。必要な医療を受けられる取り組み。
見つけて欲しい「生活保護を必要とする困窮者」

【生活保護法改正案が閣議決定】生活保護受給の高齢者に優しい法律改定

政府が2018年2月9日に生活保護法などの改正案を閣議決定したことはお耳に新しいかと思います。

今回の改定では、生活保護法、生活困窮者自立支援法、社会福祉法、児童扶養手当法の4つの法律を一括していますが、その中でも「高齢者に関する改定」について着目したいと思います。

生活保護の高齢者が安心して暮らせる2つの法律改定

高齢者を巡る住宅について、直近で衝撃的だったのは札幌にある自立支援施設「そしあるハイム」の火災です。
生活保護受給者を含む入居者11人が亡くなるという心痛いニュースでした。

通常、消防法では自力での避難が難しい入所者が一定の割合を超えた場合には、スプリンクラーを設置する義務が課されています。
しかし、この自立支援施設では各部屋に火災報知器はありましたが、スプリンクラーは設置されていませんでした。

そのような背景もあってか、生活保護を受給している高齢者が安心して暮らせる場の必要性が改めて注目されています。

そんな中、改定された法律は以下のようになっています。

  • 1、無料定額宿泊所のうち、病院への付き添いや服薬指導などの生活支援も行う施設を新制度「日常生活支援
      住居」に位置付け、財政面で支援する
  • 2、無料定額宿泊所にとどまる施設に対する規制を強化する

特に、2つ目は消火設備や避難訓練の実施などを最低基準として義務付け、自治体が事業者に改善命令を出せるようになったことで、高齢者がより安心して暮らせる環境が整いつつあります。

今回の改正案はいずれも2020年4月施行予定になっています。

生活保護費平均1.8%削減でも高齢者の住みやすい環境を考えた法改正

今回の改正とは別に、2018年10月から生活保護受給額を段階的に平均1.8%削減すると政府の決定がなされています。

そのような中でも、高齢者が住みやすい環境を考慮した法改正であると言えるでしょう。


【生活保護について関連記事はこちら】

生活保護受給者でも利用可能。介護施設で安泰な老後を。
高齢者の生活保護、親族が確認しておくべき2つのこと
厚生労働省が方針固める「後発薬を原則に」生活保護受給者に強制
同居の親だけ受給させたい!「生活保護世帯分離」という方法
【生活保護の疑問】高齢者の生活保護  介護扶助の範囲(4)

【生活保護の生徒も対象】福島市の 新しい奨学金制度で高校進学を諦めない!

先般、一般財団法人ふくしま未来研究会(福島市)が福島市の公立中学校の生徒を対象にした給付型奨学金制度「ふくしま未来研究会清水奨学金」を設立したという報道がありました。

生活保護を受給している生徒も対象になったこの奨学金制度をご紹介します。

生活保護受給の生徒もOK「ふくしま未来研究会清水奨学金」の概要

将来的な市の発展に携わる人材育成を目的として創設された奨学金制度ですが、受けるためにはもちろん条件があります。

以下にまとめましたので、希望される方は参考になさって下さい。

◆正式名称

ふくしま未来研究会清水奨学金

◆対象者

福島市の公立中学校の生徒

◆奨学金

一律10万円

◆募集人数

今春中学校を卒業し、高校進学を予定する200人

◆条件

・申請日に生活保護を受給、又は就学援助制度を受けている家庭の生徒
・市町村民所得割額が0円の家庭の生徒
・学習成績の評定が全教科平均3.0程度で、学校長の推薦を受けること

◆募集締切

2018年2月22日まで

◆お問い合わせ

一般財団法人ふくしま未来研究会 TEL024-522-4610

この奨学金の特徴は、他の奨学金との併願も可能であるという点です。

同研究会の佐藤代表理事は「来年以降も継続して県内一円に対象を広げたい」、福島市の木幡市長は「制度を踏まえ、子どもに関する政策全体の充実を図っていきたい」と語っています。

希望者は学校を通じて市教委に必要な書類を提出し、認められれば3月9日に交付予定となっています。

人々の渇きを潤す清水となって欲しい、名称に込められた切なる願い

奨学金の名称になっている「清水」は、奨学金が人々の渇きを潤すような清水となり、若者が学業を修め、それぞれの舞台で活躍できるようにとの願いが込められています。

このように、家庭の経済状況に左右されない勉学の道が確保されるのは喜ばしいことです。

【生活保護について関連記事はこちら】

「生活保護世帯から進学へ」反貧困ネットが冊子作成
母子家庭でも不利なく。奨学金で大学進学しても生活保護全額しない運用へ。
高校就学に利用できる生活保護「生業扶助」の内容
母子家庭世帯必見!子どもの学習の場を守る「無料塾」
広がる支援「子ども食堂」で空腹満たす貧困世帯の子供達

生活保護費が突然の減額?期末一時扶助の誤解

皆さんは生活保護費の中に、「期末一時扶助」という項目があるのをご存知でしょうか?

この期末一時扶助は「急に減らされた」という誤解が生じやすく、その仕組みについて特筆したいと思います。

生活保護「期末一時扶助」とは?誤解されやすい理由

◆期末一時扶助とは?

あまり聞き馴染みのない「期末一時扶助」について簡単に説明しますと、年に一回、12月分の保護費に上乗せされて支給される、いわゆるお餅代というものです。

では、支給されるといくらになるのか?3つのケースを挙げてみます。

  • 1級地―1の単身世帯の方(例:60代単身)
    基準額133,490円+期末一時扶助13,890円=支給される金額147,380円

  • 1級地―1の2人世帯の方(例:40代夫婦)
    182,201円+22,650円=204,851円
    ※(上記13,890円よりの上げ幅 8,760円)

  • 1級地―1の3人世帯の方(例:30代夫婦と7歳子供1人)
    221,863円+23,340円=245,203円
    ※(上記22,650円よりの上げ幅 690円)

期末一時扶助はお正月のお飾りやお餅代を名目に支給されます。そのため、二人から三人に人数が増えても690円と上げ幅はあまりないのが特徴です。

特にお飾りなどは一家に一つで十分という考え方です。

◆なぜ誤解されるのか?

お正月を迎えるにあたり何かと嬉しい期末一時扶助ですが、これが誤解を招くには下記のような理由が挙げられます。

  • 年末に一度しか支給されない期末一時扶助のことを知らない
  • 1月の保護費に上乗せされると勘違い(本当は12月です!)

そもそも支給されることを知らない場合、単身の方を例に挙げると、1万3千円程度の金額のため、上乗せされても気付かないケースや、知っていたとしても、貰えるのは1月と勘違いされているケースが多く見られます。

両者共に、12月と1月の総支給額を比べるともちろん1月の方が低い(通常の金額に戻るから)ため、生活保護受給者から「何の連絡もなしに突然減らされた!」と市役所に苦情の電話が殺到するのです。

増える分には問い合わせはしませんが、減った分はすぐにクレームになる、シビアな金銭感覚が露呈した問題と言えます。

増えても減ってもケースワーカーに相談・確認

期末一時扶助について少しでもご理解頂けたら幸いですが、これに限らずどのような名目でも、支給額が増えたり減ったり「いつもと違うな?」と感じたらすぐにケースワーカーに聞いてみると余計な誤解を抱かずに済みます。

また、今回特筆した期末一時扶助は、つつがなく年を越すための扶助でもありますので、お餅を食べてこたつで暖まる、そんな幸せを感じられる使い道であって欲しいと思います。

【生活保護について関連記事はこちら】

生活保護「冬季加算」見直しへ|どうなる?命の最終ライン
生活保護受給者が賃貸を借りる時|気になる住宅扶助と心構え
高校就学に利用できる生活保護「生業扶助」の内容
「生活扶助」引き下げ検討、どうなる?生活保護受給者の生活
【生活保護の疑問】母子家庭の生活保護 平成29年 児童扶養手当変更

「生活扶助」引き下げ検討、どうなる?生活保護受給者の生活

厚生労働省は2017年12月7日に来年度の生活保護費見直しで、食費や光熱費などに充てられる「生活扶助」を最大1割程度引き下げる検討に入りました。

これが決定すれば、生活保護受給者の生活は今後ますます苦しくなっていくことが予想されます。

2013年度に続き2回連続での引き下げ見通し、苦しい生活保護受給者

生活扶助の支給水準は5年に1度見直していますが、全体では前回2013年度に続き2回連続での引き下げになる見通しです。

高齢単身世帯なども多く対象に含まれているため、強い反発の声があがりそうです。


では、実際に決定されたらどのように変わるのか?福島県郡山市の高齢単身世帯(67歳)を例に見てみましょう。

【現在の生活扶助支給額概算】
67,100円
【1割引き下げ後の生活扶助支給額概算】
60,390円

高齢単身世帯ではそもそもの支給額が低いので、6,700円ほどの減額になりますが、これが標準三人世帯になると135,170円の支給額に対して約13,000円とカットされる金額も大きくなっていきます。

このように、一部の子育て世帯での減額幅が大きいため、厚生労働省は別の案も検討しているそうです。

引き下げ方針の背景とは?生活扶助が一般世帯の支出を上回る現状

今回の引き下げは生活保護受給者にとって心痛いことでしょう。

しかし、実際厚生労働省がまとめた報告書では「生活扶助が収入の低い一般世帯の支出を上回っている」という結果もでています。

また、会議の委員から「低所得世帯との差額をそのまま適用すると大幅な減額に繋がる」との指摘もあり、厚生労働省は慎重に検討したいとしています。

今後、厚生労働省はどう対応していくのか?動向に注目していきたいと思います。

【生活保護について関連記事はこちら】

母子家庭の健康と生活を守る医療費助成の大事な話
【生活保護の疑問】高齢者の生活保護  医療扶助の範囲(3)
【生活保護の疑問】母子家庭の生活保護 一般と母子家庭の生活保護の違い
3か月連続!生活保護受給者の止まらない増加と自立支援の重要性
厚生労働省が方針固める「後発薬を原則に」生活保護受給者に強制