3月28日に今年10月からの生活保護基準引き下げを含む2018年度予算が成立された一方で、生活保護の分野では明るい兆しも報道されています。
それは、当事者の声が初めて国政の場に響いた、というものです。
新人議員が過去の貧困を告白、生活保護の現場の声を伝えるリアル
2018年3月30日の衆議院本会議で関連法案として立憲民主党など野党6党が提出した「子どもの生活底上げ法案(正式名称:生活保護法等の一部を改正する法律案)」と政府提出の「生活困窮者の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案」の趣旨説明と質疑が行われました。
注目すべきは、立憲民主党が起用した新人議員の「自分自身が生活保護を受けた経験がある」それに基づいた発言、まさに現場の声を国政の場に届けているリアルさにあると思われます。
自分自身が生活困窮者であった過去を政治の場で告白し、以下のような質問を安倍首相に投げかけたことは異例ともいえるでしょう。
新人議員:「総理は今までの人生の中で生活するお金が無くて困った経験はありますか?」
これに対し安倍首相は「私には生活するお金が無くて困った経験はありません。(生活困窮者に対し)想像力と共感力が欠如しているのではとの批判は甘んじて受けなければならない。」と述べるにとどまりました。
今回の質疑から、少なくとも今後、政府は響き始めた生活保護当事者の声を黙殺することは難しくなりそうです。
当事者の声はどこまで届くのか?生活保護分野で今後も注目の内容
前項のような質疑が行われたとはいえ、もちろんこうした事実によって今すぐ生活保護をめぐる政治の力学が変わるという事ではないでしょう。
しかし、今までなかった「国政の場に当事者の声を響かせる」ということ自体が、今後の変革を期待させる有意義なものであったと思われます。
これにより政府はどう動いていくのか?生活保護受給者(当事者)の声をどこまで響かせることができるのか?今後も注目していきたい内容です。
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